『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・哀悼:『JET STREAM』城達也氏:下/SOUNDアーカイヴ:Vol.4

2014年02月28日 00時07分29秒 | □Sound・Speech

 

 前回ご紹介した「JET STREAM」の「ナレーションメッセージ」をご覧ください。「ゴシック」(太字)になっている部分が2か所あります。

 「たゆみない」については、「限りない」となっているものもあるようです。「限りない」から「たゆみない」へと後に変わったものでしょう。私見ですが、「たゆみない」の方が、ぴったりしていると思います。

 「限りない宇宙の営み」となれば、「時空」すなわち「時間・空間的」な「制限」あるいは「限界」といったニュアンスがありますが、「たゆみない宇宙の営み」となれば、「時間・空間」を超えた「宇宙の意思」のようなものを感じさせます。そこに「果てしない広がりや深さ」が、いっそう表現されているような気がするのですが……。

 「光と影」については、「消えて行った遥かな地平線」が「まぶたに浮かんで……」ということですから、ここでの「」とは、本来「(翳)」のことでしょう。つまりは、「」=「光がある部分」と、「(翳)」=「光がない部分」との対比なのだと思います。

 

  ◇ヴァイオリンSOUND と 城氏のナレーション……奇跡のコラボ

 それにしても、城達也氏のメッセージナレーションとバックの音楽が見事に調和しています。高音部中心の、ゆったりと流れるような「ヴァイオリン SOUND」がいいですね。清浄無垢な “夜の静寂(しじま)” が、余すところなく表現されています。そのため、 “果てしない宙空” への誘(いざな)いがいっそう感じられ、 “SPIRITUALな夜間飛行” が巧みに演出されているようです。

 そこに、“さまざまなしがらみ” に疲れた、人それぞれの “安らぎ” もあるのでしょう。同時に、明日への希望と再生も見いだせるようです。まさに「ヴァイオリン SOUND」と「城氏のナレーション」との “絶妙なコラボレーション” といえるでしょう。いえ、“奇跡” と言うべきかもしれません。

 なお「番組終了時」の「エンディング・メッセージ」は以下の通りです。

        ☆

  夜間飛行のジェット機の翼に点滅するランプは、遠ざかるにつれ 次第に星のまたたきと区別がつかなくなります。

  お送りしておりますこの音楽が、美しく、あなたの夢に溶け込んでいきますように。

    「お送りしております」には、「お聴きいただいております」というバージョンもあります。

        ☆   ☆   ☆

  城達也氏を初代の「機長」すなわち「パーソナリティ兼ナレーター」として、現在は「五代目」の「大沢たかお」氏が担当しています。しかし、筆者は前回述べたように一度もこの『JET STREAM』を聴いたことはありません。そして、これからも聴くことはないでしょう。

  それはおそらく、筆者にとっての「JET STREAM」とは、「城達也氏そのもの」であり、あの衝撃とも言える感動をもたらした「詩の朗読者」だからです。40年以上前に “LIVE” で触れたその “姿” と “肉声” を大切に “ しまっておきたい ” という気持ちが強いからでしょう。() 

  ◆動画『JRT STREAM ENDING』(エンディング:夢幻飛行[4:26][y1945yyさんの作品です]

 

   ★★★★★★★ Passenger ★★★★★★★ 

   ――JET STREAM でしょ。わァ~ 懐かしい! あたくし、ず~っと聴いてたの。城達也さんの声が甦って来るみたい……。 

   ……夜間飛行のお伴をいたしますパイロットは、わたくし、城、達也です……って。 とってもステキ! ねえねえ。あなたが「機長」で、あたくしが「キャビン・アテンダントCA)」って、いいと思わない? ちょっとやってみようかしら?

 『……みなさまに、ご案内いたします。この飛行機は、ただいまからおよそ30分ほどで「サンフランシスコ国際空港」に到着の予定でございます。地上からの連絡によりますと、サンフランシスコのお天気は晴れ、気温は摂氏18度とのことです

   ……Ladies  and  gentlemen, we  are  landing  at  San Francisco International Airport ……』

   この英語のアナウンス、一度言ってみたかったの。憧れていたのね。 

    ……………でも、でも……あたくし、何か違うような気がするの。ねえ、そう思うでしょ? ああ。やだ、やだ! やっぱり……そうよね~。 <あたくし>と<あなた>って、「機長」と「CA」っていうより、やっぱり「passenger(乗客)」のほうがピッタリしてるわ。絶対そう! ねっ? そうでしょ? 

   もう、オフシーズンみたいなものね。きっと今は、ず~っと格安よ。……ああ。ここはやっぱり、北イタリアのような気がしません? ……水の都・ヴェネチア……モードの街・ミラノ、食の都・トリノ、そして港町のジェノヴァ……。

    なかでもミラノね。あなたが大好きなレオ様の『最後の晩餐』の壁画……それってミラノの……え~っと……サンタマリア……何とか教会……なんでしょ? ああ❢ ヴェネチアにも、すご~く、関心がおありでしょ? でもここまで来たら、あなたのお得意のルネッサンス発祥の地、中部のフィレンツェも入れなくっちゃ。

 ……ねえ? あたくしのお友達のお友達が、何とか旅行社にいるの。きっと、とっておきのパッケージがあると思うの。尋ねてみようかな? あたくし、お友達にも呼びかけて……あなたも大学時代のSさんなんかどうかしら? 

 ね~え? 聞いてる? ねえってば…… ねえ? あれっ? 眠ちゃったの? 

          ★   ★   ★

  ◆『総督(Doge)のクジ運―遥かなりヴェネチア共和国』(本ブログ:2011.6.24)

  ◆『法皇選挙の白い煙/続・Dogeのクジ運(2011.12.28)

  ◆『万能の天才――レオナルド・ダ・ヴィンチ』(2009.5.24)

  

          ★   ★   ★

 

 ※詩のご紹介

   明 日    黒田三郎

 明日などはなかった

 この世の汚辱のなかで 滅びるに任せようと

 明日のないその日その日を送る以外に

 僕にはどんな運命もありはしなかった

 明日も今日のように

 僕は煙草をくわえ

 ビルディングの二階で エンピツを握って暮らすであろう

 しかし 明日などはありゃしないのだ

 腹立ちまぎれに

 僕がくしゃくしゃに書類をまるめようと

 僕がのんびりビールを飲んでいようと

 いつのまにか有能な課長になっていようと

 しかし明日などは ありゃしないのだ

 

 風のように気まぐれな少女よ

 そのとき僕はあなたの眼のなかによんだのだ

 その言葉を

 「明日はある

 信じなさい 明日はある」

 気まぐれな少女よ

 もしもそのとき僕が

 あなたに賭けさえしなかったら!

 


・哀悼:『JET STREAM』城達也氏:上/SOUNDアーカイヴ:Vol.3

2014年02月25日 00時00分01秒 | □Sound・Speech

 

  ◇城氏の “命日”

  今日、2月25日は、伝説のナレーター・城達也氏の命日です。氏は、1967年7月3日から27年間、7387回にわたって『JET STREAM』のナレーションを担当しました。そして19951230日、この「音楽定期便」のラスト・フライトを終え、その2か月後の1996225日、死へと旅立ったのです。享年63歳でした。 

  実は筆者は、今日にいたるまでこの「番組」を、一度もリアルタイムで聴いたことがありません。1967年と言えば、筆者は大学受験予備校へ通っており、翌1968年4月に大学に入学しています。

 

  ◇“なま” で触れた城達也氏の「詩」の朗読

  筆者が「城達也」という名前を初めて知ったのは、大学を卒業した翌年の1973年12月、東京での妹の「結婚披露宴」に出席したときです。その「司会進行」を務めたのが氏でした。このとき、筆者はたったひとりの身内の撮影者として、料理をほとんど口にすることなく、とにかくシャッターを切り続けていました。「司会者」をゆっくり観察するといった余裕はありませんでした。

  それでも、司会者・城氏の“洗練された立ち居振る舞い”や“端正な顔立ち”、それに“軽妙な語り口や魅惑的な声”については、すぐに感じていました。このとき、城氏は42歳。男として、もっとも勢いのある時期といえるでしょう。

   しかしそのとき、筆者が何よりも驚き、そして感動したことがあります。それは城氏が、「詩の朗読」をしたときでした。その「詩」は、黒田三郎の『明日』という作品でした(※次回、全文を紹介しましょう)。

 

   明日などはなかった

   この世の汚辱のなかで 滅びるに任せようと

   明日のないその日その日を送る以外に

   僕にはどんな運命もありはしなかった

 

    ……という最初の一節から、内容は無論のこと、その素晴らしい声テンポ抑揚間の取り方とに、たちまち魅了されたのです。 “ 魅了 ” というより “ 驚き ” といってよいでしょう。

   筆者も文学青年の端くれとして、多少、詩人・黒田三郎のことは知っていました。しかし、特に彼の詩が好きというほどではありませんでした。だがその後、さっそく黒田三郎の「詩集」を買い求め、しばらくの間その詩の世界に“はまった”ものです。「院浪」つまりは「大学院受験浪人中」の頃でした。

      ☆

  今でこそ、多くのフアンによって語り継がれる『JET STREAM』。そして、そのナレーションを務めた城達也氏――。だが1973年12月の時点では、それほど知られてはいなかったようです。それもそのはず、同番組は当初、東海大学の試験放送局「FM東海」としてスタートしたものであり、全国放送となったのは1970年4月からです。筆者が参加した披露宴当時の首都圏では、やっと3年半の「番組」にすぎません。

  ましてや、まともにラジオを聴くこともなかった筆者にとって、氏は、少なくとも「詩の朗読」を聴くまでは、「ただの司会者」でしかなかったのです。今思えば、なんと “ 贅沢な朗読 ” でしょうか。ファンであれば、それこそ  “垂涎の時間 ” となったことでしょう。

      ☆

  それから20数年――。知人より、筆者の声が城達也氏に似ていると言われたことがあります。数日後、彼は『ジェット・ストリーム/城達也』というカセットテープを持ってきました。聴いていたところ、当時、小学生だった娘が、『お父さんの声?』と尋ねたものです。

  今思えばそのとき、城達也氏はすでに故人となっていました。その後、やはり誰かに『声が似ている』と言われ、少し意識し始めたような気がします。氏の風格ある喋り方や余韻を感じさせる声は、当時、「セミナー講師」を「本業」としていた筆者にとって、大いに参考になったものです。そのため、以下の「メッセージ」や、番組終了時の「エンディング・メッセージ」を完璧に暗唱しようとしました。おかげで、今でもしっかりと記憶しています。 

  黙祷…………………。   [下]に続く

      ★   ★   ★

 

   JET STREAM 

 の ナレーション・メッセージ

  遠い地平線が消えて

  深々とした夜の闇に心を休めるとき

   遥か雲海の上を 音もなく流れ去る気流は

  たゆみない宇宙の営みを告げています

 

  満点の星をいただく 果てしない光の海を

   豊かに流れゆく風に心をひらけば

  煌(きら)めく星座の物語も聞こえてくる

  夜の静寂(しじま)の、何と饒舌(じょうぜつ)なことでしょうか

  光と影の境に消えて行った

  遥かな地平線もまぶたに浮かんでまいります

        ☆   ☆   ☆

 

  ◆『ジェット・ストリーム』(城達也ラストフライト)tarerouさん編集(9:52)

  ◆城達也(Wikipedia)

  ◆JET STREAM(Wikipedia)

   


・『テイク・ファイブ』のドラム美学-3/ディヴ・ブルーベック・カルテット

2014年02月22日 20時15分11秒 | ●Jazz名演・名曲

 

   ◇「シンバル」を使わないドラム・ソロの魅力

   ともあれ、少年のドラム修行にとってジャズ系の「デューク・エリントン」、「ライオネル・ハンプトン」、それに「ジョージ・ケイツ」という3楽団のドラム奏法(ドラミング)は、とても参考になりました。ことに「ジョージ・ケイツ楽団」の「2小節」や「4小節」のドラム・ソロは、コンパクトな中に “洗練されたキレ” と “豊かな創造性” を感じさせるものであり、“脱エレキバンド・ドラム” を目指していた少年の、その後のドラミングに大きな影響を与えたのです。

   特に惹かれたのは、シンバル」類を使わないところでした。つまりは、何枚ものシンバルを、これでもかと叩きつける “うるさい” ドラム奏法(ドラミング)ではなかった点です。「バスドラ」「スネアドラム」「タム」三者のコンビネーションによる、“落ち着きと品位 ”をもった ドラム・ソロでした。そのとき体感したリズムやビート、そしてテンポは、ほぼ半世紀を経た今も、筆者の身体にはっきりと刻み込まれています。

       ☆

   当時、日本人ドラマーとしては「白木秀雄」氏や「ジョージ川口」氏に人気があり、ときどきテレビで観ることができました。「フランキー堺」氏や「ハナ肇」氏のドラミングも二、三度観た記憶があります。白木氏については、高校卒業の1966年夏、「後楽園」の野外ステージで実際のプレイを観ました。ステージの一番前に、ドラム・スティックを持った何人もの若者が陣取っていたのが印象的でした。氏のスティックに合わせながら、自分のスティックを叩き、そのドラム奏法のテクニックを盗み取っていたのです。

 

  ◇『テイク・ファイブ』のドラム奏法の美しさ

  確かに、上記「4人のドラマー」のドラミングやドラム・ソロは迫力があり、「ドラム少年」が遥かに及ばないテクニックを駆使していました。しかし、それを凌駕したのが、前回、「視聴動画-1」でご紹介した「ディヴ・ブルーベック・カルテット(Deve Brubeck Quartet)」の「テイク・ファイブ(TAKE FIVE)」であり、「ジョー・モレロ」のドラム演奏です。

  結論的にいえば、それは少年にとっての“究極のドラム演奏”でした。聴けば聴くほど、そして研究すればするほど、ジョー・モレロが叩き出すドラミングに心を打たれ、その崇高な音楽性と、テクニックを超えた芸術に打ちのめされたような気がしたのです。これを会得するには、人間としての成長や芸術家と呼ばれる確たる何かがなければならない” という漠然とした想いが、少年の心に湧き起こっていました。

   今回、ほぼ半世紀ぶりに『テイク・ファイブ』を繰り返し聴き込み、またジョー・モレロのさまざまなドラミングを「動画」によって “観聴きした” とき、そのことをいっそう痛感しました。

 

  ◇「ドラムス」とは「太鼓」なり

  それでは、まず「視聴動画-3」をごらんください。『ジョー・モレロのテイク・ファイブのドラム・ソロ」』となっています。演奏スタイルは、「スネアドラム」と「バスタム」それに「小タム」の3つを「手」で叩きながら「ドラム・ソロ」をしているシーンが大半です。もちろん、この「ドラム・ソロ」は、本シリーズ「初回」の「視聴動画―1」の演奏時のものではありません。

  前半は一切「シンバル」類を使わず、ひたすら「ボンゴ」を叩く要領で、「手と指だけの「ドラミング(ドラム奏法)」を駆使しています。途中から「スティック」(いわゆる「撥(ばち)」)をもって通常のドラミング(ドラム演奏)を行うわけですが、それでも「ハイハット」以外の「シンバル」類を使うことなく、「ドラム」に固執した演奏を続けています。まさに“ストイックなまでにシンバル類を排し”という言い方がぴったりしているでしょう。

  なお「ハイハット」とは、左足で踏み続ける「小さなシンバル」が2枚合わさった形のものです。上下2枚の「シンバル」が、開いたり閉じたりしているのが見えると思います。

   さて、この「ドラム・ソロ」は、いろいろなことを教えており、“JAZZの本質”に迫るものではないかと筆者は考えています。

 第1に、「ドラム」の本質は間違いなく「太鼓」であること。

 第2に、「ドラム・セット」は、このようなシンプルな構成で充分であること。

 第3に、ことに「シンバル」は極力少なくすること。  [続く]

 

   ◆視聴動画-:ジョー・モレロの『テイク・ファイブ』のドラムソロ(1961年)[2:32]

  

  

  ★ ★ ★ 次回予告 ★ ★ ★

  次回は、2月25日 午前0時にアップいたします。

  この日は、『JET STREAM』の初代機長・城達也氏の命日です。

  「哀悼記事」を、2回に分けてお届けしたいと思います。

 


・『テイク・ファイブ』のドラム美学-2/ディヴ・ブルーベック・カルテット

2014年02月18日 18時51分51秒 | ●Jazz名演・名曲

 

  ◇ジャズ・ドラムへの傾倒

  少年が、“大人受けする格調高い”ドラム演奏をと思って目を付けたのが「モダン・ジャズ」であり、そのスイングから生まれる“重厚で奥深い”、「ドラム演奏(奏法)」でした。そこで注目したのが「アートブレーキ・ジャズメッセンジャーズ」の『危険な関係のブルース』です。

  このドラムスの「アート・ブレーキ」によって、少年はジャズの「スイング・リズム」の基本と、エレキバンドのドラムにはない「ジャズ・ドラム演奏」の魅力を知ることができました。他のお気に入り「ドラマー」は、「バディ・リッチ」や「マックス・ローチ」であり、「ディヴ・ブルーベック・カルテット」の「ジョー・モレロでした。

  しかし、複雑なリズムと速いテンポの「ジャズのドラム奏法」をマスターするのは、容易なことではありません。そこで少年は、「テープレコーダー」を手に入れ、レコードの回転数を遅くして「録音」し、それを何十回となく聴きながら「ジャズ・ドラム奏法(演奏方法)」をチェック分析し、その「スイング・リズム」や「ドラム・ソロ」の基本構成や独創性を掴もうとしたのです。具体的には、簡単な「譜面」にそれらのパターンを書き記すことでした。

  しかし、これは“気の遠くなるような作業”となりました。しかもそれを、 “受験勉強モード” 全開であるべき「高3の秋頃」から始めたのです。何事も徹底的にやらなければ気がすまない “少年の悪い癖” でした。

  

  ◆視聴動画-2:『危険な関係のブルース』 (アートブレーキーとジャズメッセンジャーズ)[7:23]

 

   ◇ドラムによる曲想・メロディの想起力

  とはいえ、この “気の遠くなるような作業” を経験したことで、以下のことが理解できました。といっても、当時は「明確な理論づけ」ができていたわけではなく、今回、当時を思い返しながら何とか「理論的に」まとめてみたものです。

 

1: 「ドラムス」という「楽器」および「楽器構成」の “音楽的意味” が、何となく判りかけたこと。

  少年が感じたことは、「ドラムス」を構成する「スネアドラム、バスドラ、各種タム、各種シンバル、そしてハイハット」が、「リズム&テンポ楽器」として、ピアノ・弦楽器・管楽器等の「メロディ楽器」に“どのように貢献するのか”ということです。具体的に言えば、「メロディ楽器」が奏でる “音の強弱・緩急・遅速 における「ドラムス」の “サポート機能”や“リード(導く)機能”  であり、ときには “コントロール力” というものでした。

 

2: 「ドラムス」という「楽器」の“曲想・メロディの想起力

   本来は「リズム&テンポ楽器」ではあっても、節度ある「ドラム演奏(奏法)」には、 “曲想(曲のイメージ)・メロディを想起させる力があることを学びました。

  といってそれは、「音色」の異なった数多くの「シンバル」類を用いて、“手数多く叩く” ことを “指している” のでもなければ、またそれを “善し” とするものでもありません。むしろ、その “逆” です。このことについては、本シリーズ「」において、「ドラム演奏の視聴動画」を確認しながら、具体的に説明したいと思います。

   簡単に言えば、「ドラムス」が「リズム&テンポ楽器」に徹することによって、「メロディ楽器」がいっそう「メロディ楽器」としての魅力を発揮するということであり、最終的には、メロディ」、「リズム」、「テンポ」三者の “渾然一体” こそが、ジャズを含む “音楽の美” であり、“音楽そのもの” であるとの確信でした。

 

 「ドラミング(ドラム奏法)テクニック”における“難易度の違い”

  つまりは、「ドラム奏法(演奏)」すなわち「スティック捌き」や「ブラッシング」(ブラシを使った奏法)における、「各テクニック」の“難易度の違い”です。

 

 「一つ一つの音そのもの」の持つ存在感や大切さ

  つまりは、「或る音(複数あるのが通常)」と「その前後の音(1音に限らず複数音)」との “連続・非連続性” による “SOUNDの妙” であり、究極的には “音楽としてのハーモニー” というものでした。

 

 他の楽器とのコンビネーションやコラボレーション

   さらに、他の楽器とのコンビネーションやコラボレーションの緊張感であり、その魅力でした。これは現時点で言い換えると、“インプロビゼーション” や “インタープレイ” すなわち “即興演奏の妙” ということになるでしょう。だが残念ながら、当時の「少年」には、まだこの両者を理解する知識もキャリアも、そしてドラマーとしての技術も、圧倒的に不足していました。

  しかし、以上のようにして “何となく掴みえた感覚” は、その後の「JAZZ」や「音楽鑑賞」にとどまらず、「文学・美術」そして「建築や都市」等の鑑賞の際にも活かされたように思います。 

  以上、理屈っぽい説明となりましたが、表題中にある『ドラム美学』を理解していただくために、どうしても必要でした。ご理解ください。 (続く)

 


・『テイク・ファイブ』のドラム美学-1/ディヴ・ブルーベック・カルテット

2014年02月14日 21時52分34秒 | ●Jazz名演・名曲

  

  読者のみなさんへ

   お待たせいたしました。ただいま、無事に「再アップ」することができました。

      ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

 

  ◇多くの日本人が耳にした『テイク・ファイブ』

   筆者が敬愛する建築家の安藤忠雄氏(1941年生)は、1950年台終わりから60年代半ばにかけて、足しげく「ジャズ喫茶」に通ったようです。その頃、初めて「ディヴ・ブルーベック・カルテット」の『テイク・ファイブ』(TAKE FIVE)を聴いたそうですが、氏はこの曲を「名曲」と言っています。

  この『テイク・ファイブ』は、巻末「視聴動画-1」のように、1959年7月1日【この日だけではなく、前後もあるようですが】に、ニューヨークで録音されたものと思われます。当時は「レコード盤」でした。

   そしてこの同じ曲を「東京オリンピック」(1964年)の翌年秋頃に、「ジャズ喫茶」や街中の雑踏の中で耳にし、影響を受けて購入した「少年」がいます。高校3年生の「筆者」でした。つまりこの時代、『テイク・ファイブ』はあちこちで流れていたため、“かなりの日本人”がどこかで耳にしていたはずです。

       ☆

   ところで、通常、「4/4拍子」や「3/4拍子」と言うリズムはよく耳にします。つまり、「1小節」の中に、前者であれば「4分音符」が「4つ」、後者は「3つ」(※註:「3連符」ではありません)ということになります。「4分音符」というのは「♩」ですね。一番「オタマジャクシ」らしい「♪」は、「8分音符」ですね。

   しかし、この『テイク・ファイブ』は、そのタイトル通り、「1小節」が「5/4拍子」(4ぶんの5びょうし)となるため、必然、スピード感に満ちたものとなります。「4分音符」が「4つ」ですむところを、「5つ」奏でるわけですから、必然、速くなるというわけです。この同じ「5/4拍子」で、みなさんがご存じの曲と言えば、『スパイ大作戦』のテーマ音楽でしょう。

   メロディをご存じの方は、〈ジャジャ・ンジャ・ジャン・ジャン・ジャン,ジャジャ・ンジャ・ジャン・ジャン・ジャン……………〉と、メロディを口ずさみながら「指」を折ってみてください。5本の指が自然に「折れ」、次にそれが自然に「開く」ようになりますね。つまりは「1・2・3・4・5,1・2・3・4・5……………」と「5拍」になっているからです。一度聴けば“記憶に残りやすいリズム”でしょう。

 

   ◇エレキバンドのドラムス担当

  さて、この「高3時代」、少年は同じ高校の友人と「エレキ・バンド」を結成し、ドラムスを担当しました。「ドラム・セット」などとても……と思っていたところ、奇跡のようなことが起きて、自分のものとすることができたのです。

   「バンド」は、ほとんど「ベンチャーズ」(The VENTURES)のコピーバンドでしたが、「ビートルズ」(The BEATLES)の曲目もいくつか採り入れました。

   当然、ドラムの練習をするわけですが、当時の「エレキバンド」系のリズムは、「アフター・ビート」という、4拍子の「2拍目と4拍目」に強いビート(アクセント)をおくものでした。その上、「ドラム類」や「シンバル類」を“強く叩く”ため、必然、大きな音量となり、ドラム担当の少年自身が“うるさい”と感じ、気が引けたほどです。しかし、少年にとっての最大の欠点は、「リズム」も「ドラミング」(ドラム演奏)も、“単調で退屈”なものということでしょう。

  もちろん、ベンチャーズ・ナンバーの「ワイプアウト」や「十番街の殺人」、それに「キャラバン」といった曲にも、エレキバンド独特の「ドラミング」や「ドラム・ソロ」があったのは確かです。    

  しかし、「モダン・ジャズ」の“それ”に比べて“あまりにも単調で味気なく”、何よりも“騒々しいだけのもの”でしかなかったのです。 [続く]

 

  視聴動画-1:『テイク・ファイブ』(ディブ・ブルーベック・カルテット1959.7.1New York

  ◇ディブ・ブルーベック(ピアノ)、ポール・デスモンド(アルト・サックス)、ジーン・ライト(ベース)、ジョー・モレロ(ドラム)

  ◇「TAKE FIVE」(Deve Brubeck Quartet):Deve Brubeck(piano)、Paul Desmond(alto sax)、Gene Wright(bass)、Joe Morello(drums)

             ★    ★   ★

 ――あれっ? 今日なのね。みなさん、大変そう……。え? あたくしですって? ああ。あたくしって“オーベイ・シコウ”でしょ? あちらではこの件は“男性から女性へ”って言うのが基本なの。何かを“あげる”ってことは、“まもる”ってことと同じじゃなくて?

  ……でも、“あげる”って言っても、すっかりわかりきった“あの甘いもの”ってのも、ね~え。すこ~し、工夫していただきたいかなァ~……なんて。

 その点、いつも“イマジネーション”を大切に、あくなき“クリエイティビティ”の追及者でいらっしゃる方が選ぶ“ミステリアスなもの”ってわくわくどきどきするわ。

  ああ。……でもサン・テグジュベリも『星の王子様』の中で言ってるのよ。

  『大切なものって、目に見えないんだね』……って。

  あなたと、あたくしにとっての“大切なもの”……何かしら。やっぱり……L??E……ってこと!? 目には見えない…ってわけなのね……そうよ、ね~え。

  あっ!! わかった!! 解けたわ!! きっと、こうなのよ!! “見えないL・?・?・Eの言” と “見えるSOMETHING” ……これこれ。これよ。絶対に! これで解決ね! ねえ? そうでしょ? そう思うでしょ? ね~え? 聞いてる? あれっ? 眠ちゃったの?

 

  お知らせ

  ご覧になった方はお判りのように、この「記事」は「2月14日の朝方」まで別の内容として記述されていました。

  ところが、筆者が微修正を試みようと14日早朝に操作した際、とんでもないミスを犯し、「今回の原稿すべて」を“消失”するという事態を招いてしまいました。まさしく、Oh My God! でした。

  残念ながら、「バックアップ」処理をしていなかったため、そっくりそのまま「再生する」ことができませんでした。そこで、やむなく「復元再書き起こし)」した次第です。記憶をたどりながら、多少は新たに書き加えたり、省いたりしました。

 ともあれ、ご心配をおかけいたしました。  花雅美 秀理


・ゼウスの休戦/ソチ冬季五輪の無事を祈って

2014年02月07日 01時05分47秒 | ■文化小論

 

  いよいよ、『ソチ・オリンピック(第22回オリンピック冬季競技大会)』が、日本時間の明日2月8日未明(1:14)に「開会式を迎える。 ※以下の「スタート時間」は、「日本時間」を意味しています。

  とはいえ「開会式」に先立ち、すでに「スキー・スノーボード」の「男子フリースタイル予選」が昨日15:00からスタートした。また0:30には、「フィギュアスケート」の「団体男子シングル ショートプログラム」もスタートのようだ。

  ◆ソチ・オリンピックの競技日程(全種目の「日程時間」を掲載)

        ★

  今回ほど、多くの<問題>を抱えたオリンピックもないような気がする。何事も強引に推し進めるプーチン大統領。そのやり方は、たび重なる民族・人権弾圧をはじめ、今回のオリンピック施設の建設にも表われている。地元住民軽視の開発・工事や無秩序に膨張した工事費問題であり、大統領関連組織への利権誘導や関係役人の汚職等が早くから取り沙汰された。

   しかし最大の問題は、やはり「セキュリティ」問題だ。「日本」は今回の「安全面」について、楽観的すぎるのではないだろうか。と言うのも、米国をはじめとする欧米主要国は、不測の事態の可能性をかなり高いとみている。その象徴として、今回のチケットの売れ行きが、1月中旬においても未だ7割程度であるということだろう。それでも、日本での売れ行きは好調のようだ。

  また米国のオバマ大統領をはじめ、フランスのオランド、ドイツのガウク両大統領、そして英国のキャメロン首相ら欧州連合の首脳や政府要人も、早くから「開会式」への出席を見送っている。

  しかし、安部首相は、イタリアのレッタ、オランダのルッテ両首相等とともに「出席」する。ロシアとの政治・経済の関係緊密化とはいえ、今後に問題を残したことは確かだ。

  上記首脳の不参加理由は、ロシアの「同性愛者宣伝禁止法」への抗議のためとあるが、それは建て前であって本音は「セキュリティ」に対するロシア当局への不信と不安が原因であることは否定できない。

   ◆ソチ五輪チケット売れ行き7割(朝日新聞デジタル1月24日5時25分配信)

       ★

  古代ギリシヤの「オリュンピア」(ギリシヤ語)において、「天空神・ゼウス」のために捧げられたという「オリュンピア競技大会」。この「オリンピック」の期間中は、「ポリス」(都市国家)間の抗争が中止され、外敵の侵入があっても救援活動をしなかったという。いかにも「ギリシヤ的な平和思想」の象徴といえる。

  そこで、この平和的な期間を《ゼウスの休戦》と呼んだ。しかし、戦争や地域紛争、テロ行為等が絶えたことのない現代において、「オリンピック」開催期間中の“平和”などどこまで可能だろうか。1972年の『ミュンヘン・オリンピックの事件』を忘れることはできない。

   それは、東西ドイツの統合前に旧西ドイツの『ミュンヘン・オリンピック』開催中に発生した人質監禁そして殺害事件だ。「パレスチナ武装勢力」によって、11人のイスラエル選手と1人の警官が殺害された。

   今回、会場施設や周辺での警備はかなりのものがあるようだが、それ以外の施設、場所そして都市ではどうだろう。遠隔操作によるさまざまな攻撃方法が否定できない以上、厳格な周辺警備がどれだけ安全を保障できるだろうか。

  ともあれ、ここはひたすら《ゼウスの休戦》を祈りたい。

   ◆ミュンヘン・オリンピック事件(wikipedia)

   ◆古代オリンピック(wikipedia)