たそがれトンボ

京都福知山市三和町の丹波風景写真、歴史。福知山のイベントや時事。福知山市三和町でタオルを織る三和タオル製織

映画「おくりびと」

2008-12-23 | 音楽・映画
映画「おくりびと」
見てきました。

個人的に
今年後半に見た映画の中では、一番ぐっとくる映画でした。
いろんな事を思い出しました。
そして、愛情ある映画だと思いました。

人の死を、納棺師という職業を通して描いた映画なのですが
ポジティブにとらえるわけでも、ネガティブにとらえるわけでもなく
フラットな感じがなんとも安心出来ました。

観ていて、こんな風景を思い出しました。

母方の僕にとってはひいおじいさん、ひいおばあさんにあたる人の
葬式ですが、これが記憶の中で一番古いお葬式の風景です。

いつも二人で同じ部屋でくつろいでいて、遊びに行くと
お菓子が貰えたので、よく行っていたように憶えています。

高齢でしたが、いつ行っても同じ部屋で、テレビを観たり
編み物をしていた、これが繰り返される印象です。

葬式はひいおじいさんのものからはじまり
小さな僕は、たくさんの人
お坊さん、料理などで目が回りそうでした。

まるで何かのイベント会場のように慌ただしく過ぎていくなかで
突然「おかあさん!」という祖母の悲鳴で
縮みはじめていたものが、またふくらんだようになりました。

式が執り行われている最中に
誰も観ていない、いつもの部屋で、ひいおばあさんが亡くなっていました。
老衰です。

ひいおじいさんが亡くなって、それを見届けてから亡くなった
ひいおばあさんの人生。二人の人生。
戦時中も、貧しいときも、乗り越えてきた二人の人生。

そしてそこにしかなかった、ささやかな奇跡のような
不思議な空気の感触が
いまも胸に残っています。