あるタカムラーの墓碑銘

高村薫さんの作品とキャラクターたちをとことん愛し、こよなく愛してくっちゃべります
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Q82 「田舎」からイメージする本は?

2005-01-24 23:36:10 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
レディ・ジョーカー (単行本版のみ毎日新聞社)

1.ライムを栽培して暮らしたいと言った、倉田副社長から。・・・願いは叶ったんでしょうか? 

2.青森県の戸来村(だったと思うが)で生活をするようになった、物井さん・ヨウちゃん・レディから。もぎたてのトマト、食べたいね。私は大のトマト好きなので(笑)

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高村作品には、第一次産業・第二次産業の人々が描かれていることが多いです。プロレタリア文学の影響や匂いが、感じ取れることもあるかと思います。(・・・あくまで推測。プロレタリア文学、読んだ記憶がないぞ、私は・苦笑)

1.は、日之出ビールの内部告発をした倉田さんが、城山社長に瀬戸内海に所有している島で旧友とやりたいと夢を語った内容。宮仕えはもうごめん、と仰る気持ちも解ります。
 ネタバレ 
城山社長が暗殺された後、悠々自適にライムを栽培して暮らしたとは思えないことも事実・・・。それに城山社長の妹・晴子さんとの不倫関係も、どうなったんだろう? 晴子さんは未亡人だけど、倉田さんは奥さん&子供もいるし。城山社長の死が遠因で、一緒にライムを栽培しているとも思えないなあ・・・(苦笑)

2.に挙げた事柄はラストの場面なのですが、これを読んだ後に、『地雷震』(高橋ツトム) の某作品を読んで、「この方に『レディ・ジョーカー』の漫画化をしていただきたい!」 と切に思った。ラストページにトマトと骨壺が出てくる話があるんですが、『LJ』とものすごくシンクロしてますよ! 絶対マッチしますって! 高村さんと高橋さんの底辺にあるものが、ホントによく似ているんですよ。
もしもこれを読まれた関係者の方がいらしたら、ご一考お願いします。あ、別に『LJ』に限らず、他の作品でもOK!

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Q73 「王」からイメージする本は?

2005-01-23 18:02:16 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
リヴィエラを撃て (単行本版、文庫版ともに新潮社)

サー・ノーマン・シンクレアしかいないでしょう。

1.ブラームスのピアノ協奏曲第2番を演奏中、そして弾き終わったシンクレアさんから。
2.ダーラム侯がシンクレアさんを称した台詞から。

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1.これはそのまま原文を味わって下さい。
交響楽の大地からたったひとり立ち上がった、至福の、あるいは至高の王者のようだった。 (文庫下巻p234)

2.まずはこれも原文を。
「私の誇りだ。私のキングだ。私を騎士道へと立ち返らせてくれたキングだよ」 (文庫下巻p243)

それにしては騎士役のダーラム侯が「騎士」に戻ったのは、遅すぎるような気もしました(苦笑) こんな扱いにくくて困ったちゃんな騎士は、私が王ならとっくに契約解除。ダメダメ駄々っ子ダーラム侯(←ファンの方、ごめん)、あなたがもうちょっとしっかりしていたら、シンクレアさんも身を粉にするほどまで、苦労せずにすんだのに・・・(恨み言)

そう、私はダーラム侯はダメなんです。「そのダメっぷりが好き」「情けないところが良い」と仰るファンの方々には申し訳ないんだが、私には受け付けない。(大きなお世話かもしれないが、↑こんなことを言っている女性は、男性との恋愛・結婚関係で、失敗するorしたことが多いじゃないかと、余計な心配を・・・) 

一方、王であるシンクレアさんは飄々・淡々としている。見方を変えると、騎士が「この人ならば」と、仕えるべき王の資質も逆に問われているわけですね。
幸か不幸か二人は従兄弟同士。この台詞を言った時点では、愛憎渦巻く時期はとっくに超越して、外野は何も出来ない、何も言えない、割って入れない強い信頼関係を築いている状態。

ま、王様がこんなダメな騎士で良いのなら、それはそれでいいんですけど?(←ナゲヤリ) シンクレアさんがそれで幸せならば・・・。
(以下、大したネタバレではないんですが、恥ずかしいので隠し字) 個人的好みとしては、シンクレアさんには《ギリアム》の方がいいと思います。「美男と野獣」で(笑)

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Q53 「無人島」からイメージする本は?

2005-01-22 23:10:01 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
レディ・ジョーカー (単行本版のみ毎日新聞社)

根来さんの「無人島に持っていく10冊」というエピソードから。読んだ時に、持って行く半分はシモーヌ・ヴェーユだ、と言い切ってました。

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根来さんが愛読しているシモーヌ・ヴェーユ、読んでみたいものですが、なかなか入手しにくいみたい・・・。
講談社現代新書の『シモーヌ・ヴェイユ』も、ぜひ読みたいものです。これも絶版ですが。もしも復刊するから、学術文庫に収められるんだろうなあ、多分。

「ヴェーユ」「ヴェイユ」と表記は違いますが、同一人物です、念のため。何でそれを知っているのかというと、講談社現代新書の解説目録を熟読していた結果です はい(笑)

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Q32 「山」からイメージする本は?

2005-01-18 22:44:05 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
マークスの山 (単行本版・早川書店 文庫版・講談社)

そりゃあタイトルに、 とありますから。・・・これまた身も蓋もない・・・。

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タイトルの「山」には、いろんな意味が含まれていることは、読了された方ならお解りのはず。それを逐一書くのはネタバレになるのでやめておきますが、単行本版である登場人物が言った、私が最も好きな「山」に関する台詞だけ挙げておきます。

「現実的であると同時に厭世的で、自己陶酔的で、限りなく献身的で利己的で、且つ……繊細なところが」 (単行本p429)

〈お蘭〉こと森義孝の一世一代の名台詞。
ところが素直に受け止めるには、あまりに意味深なので、読み手はさまざまにこの台詞の解釈が出来るわけです。私が知る限りでは、3通りあったかな?

1.そのまま素直に「山」のことを述べている。
2.合田さんの性格・性情を語っている。
3.自分自身(=お蘭)の性格・性情を述べている。


初読時は1かと思ったんですが、再読してみての現在は、2が心情的に近いですね。というより、そうであって欲しいとも願う(苦笑) つまり1と2の両方を語っている、というのが私の個人的な解釈。3は某サイトさんでちらっと見たことがある解釈です。なるほど、それも有りかも・・・?
とにかく、どれをとっても、恐るべしお蘭。(←車田○美風)

残念ながらこの名台詞、文庫版ではカットされてしまいました~  文庫を初めて読んだ時はショックでしたよ・・・。

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Q31 「海」からイメージする本は?

2005-01-18 22:15:31 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
神の火 (旧版は単行本版のみ。新版は単行本版、文庫版ともに新潮社)

「 これって海洋小説?」と感じる部分が、結構あるから。最初は海で始まり、最後も海で終わる物語。

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何と言っても、 海と船と人の描写が素晴らしい。特にオープニング、良ちゃんが海を眺める場面。

男はときどき船の夢を見る。三年半前に自分をこの国に運んできた船。いつか迎えに来るかもしれない船。どこから来てどこへ行くのかも知れない船。
あの船はどこへ行くのだろう。あの雲の海を行く船は……。
 (文庫上巻p12)

良ちゃんがその船を見つめたら、パッと画面がズームして切り替わるかのように、島田先生が登場。

島田はそうして一分ほど裸眼をそらした後、 (・・・略・・・) 再び眼鏡をかけ直した。そうして島田が眼鏡のレンズで隠したのは、眼前に広がる日本海と同じ、深い緑色の眼球だった。 (文庫上巻p15)

島田先生がサングラスで隠した瞳の色も、海を連想させますね。

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Q30 「いとおしい」からイメージする本は?

2005-01-17 21:32:48 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
神の火 (旧版は単行本版のみ。新版は単行本版、文庫版ともに新潮社)

島田先生が、良ちゃんを想う気持ち。 (旧版では、またちょっと違った関係なんですけどね) これをいとおしいと言わずして、何と言うの!?

この俺は、良から、人間は献身ということが出来るという希望一つを貰ったのだ。自分が食べるより、良に食べさせてやりたいと思う。犬一匹可愛いと思ったことのない人間が、ほんとうにそんなことを考えるようになったのだ。罪滅ぼし半分、痛恨半分。 (文庫上巻p400)

Дорогой друг Павел (親愛なるパーヴェル) (←ここだけ原文ロシア語。入力ミスがあったらごめんなさい。どう発音していいのかも知りません)
君の顔がぼくの頭から消える日はない。君に会えるという思いがゆらぐ日もない。(・・・略・・・)
ぼくは必ず君を迎えに行くから、君はそのとき、ぼくにこの小説の話をしてくれ。
君のことを考えたら、ぼくは眠れなくなる。
 (文庫下巻p79~80)

後半はまるで恋文のようですね・・・。

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参考までに旧版では、「父親が息子を想うような気持ち」と表現すれば、解りやすいかもしれません。言うまでもなく、「父親=島田先生、息子=良ちゃん」だ。先生、事あるごとに「俺の息子」なんて思っているしなあ。(そこに思い至るまでの詳しい経緯を語るとネタバレになってしまうので、実際にお読み下さい)
ちなみにこの二人の年齢差は、14、15歳だ。・・・島田先生、あなたいくつの時の子供になるんですか・・・?

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Q29 「映画」からイメージする本は?

2005-01-17 21:32:38 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
照柿 (単行本版のみ講談社)

合田さんが美保子さんと逢引き(と言っていいのか?)した場面から。
何の映画を上映しているのかは解らないのですが……恐らく合田さん唯一の、あのシーン があるので(苦笑)

『マークスの山』 で、義兄弟が映画館で会う場面と重複するので、こちらを。

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やっと美保子さんと二人きりになれた合田さんですが、美保子さんに振り回されています。圧倒されています。それでもやることはやって(上記に書いたあのシーンのこと)、想いをますます募らせて、その自分の想いにがんじがらめになって・・・。

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Q28 「贈り物」からイメージする本は?

2005-01-17 21:32:31 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
レディ・ジョーカー (単行本版のみ毎日新聞社)

加納さんが合田さんの誕生日に贈った、CS放送のアンテナとチューナーが付いたテレビ。
合田さんが加納さんに(会った時に)、贈る(予定の)ロイヤルマックスフライのゴルフボール二ダース。
合田さんの説明に( )があるのは、はっきり原作に書かれていないから。想像に委ねるしかないんです。

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ところでこの二品の値段の差は、どれくらいあるんだろうか? ゴルフボールがテレビよりも高いということは、まずなかろう。
それよりも大人の男性(30代半ば)が、同じ年齢の大人の男性に贈り物をするのって、一般的なんでしょうか? 私には良く解りません~ 
しかしこの義兄弟は一般的じゃないからなあ~、という言葉で逃げる(苦笑)

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Q24 「図書館」からイメージする本は?

2005-01-17 00:15:27 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
マークスの山 (文庫版のみ講談社) (これは文庫版で加筆されたので、単行本版は挙げません)

文庫版でようやく明かされた、合田さんと加納さんの出会い。
十九の夏、大学の図書館で知り合った加納祐介 (文庫上巻p339)
という部分に、狂喜乱舞した義兄弟ファンは多いと思われます。義兄弟ファンにはニヤニヤもんです(笑) ←アンタこればっかり…… 

***

二人の出会いが解った時点で、更に妄想をたくましくしてみましょう。
どちらから先に声をかけたのか? きっかけは何だったのか? いつから「祐介」「雄一郎」と呼び合うようになったのか? などなど。
きっと二人に尋ねても黙して語らないだろうし、多分高村さんも書きはしないだろう。永遠に答えは出ない、想像に任せるしかない、そういうところが私にとっての高村作品の魅力の一つです。

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Q22 「大迷惑 」からイメージする本は?

2005-01-17 00:12:12 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
照柿 (単行本版のみ講談社)

合田さんが色ボケしたせいで、最も迷惑を被ったのが、森義孝ことお蘭でしょう。捜査に身が入ってないと、お蘭には見えたのでしょう。
恋に迷って、刑事とはとても思えないケッタイな行動をしている様子の合田さんでは、『いいかげんにしてくれ』 (単行本p349)と、怒鳴りたくもなるよなあ~。

***

今思うと、これがお蘭の最後通牒だったのかもしれません。この直後に転属願いを出したと推測されるからです。
お蘭のその後は、『レディ・ジョーカー』 の終章で、名前こそ出てきませんが、判明。(以下、ネタバレなので隠し字) 結婚して子供も生まれるって・・・
彼の人生には、転属願いを出したことが吉と出たようですね 

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Q19 「お酒」からイメージする本は?

2005-01-17 00:09:12 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
リヴィエラを撃て (単行本版、文庫版ともに新潮社)

サー・ノーマン・シンクレアの台詞で、私が最も好きな台詞から。

「酔うというのは、こういうものじゃない。私はもう何年もほんとうに酔ったことはない」 (文庫下巻p15)

それでなくても高村作品には、お酒のある場面がゴマンと出てくるんですけどねー(笑) その中から一つを選ぶとしたら、これ。「酒」の単語は直接出ていませんが、一番最初に思い浮かんだのはこの台詞です。

***

実はこの台詞の直前、シンクレアさんの描き方の表現が単行本と文庫でちょっと違います。

「酔ってるな、あんた……」
「別に」と首を横に振って、シンクレアは蒼白な顔に硬い笑みを見せ、アルコールの匂いのする溜め息を吐いた。
 (単行本p304)

「酔ってるのか、あんた……」
「いや」と首を横に振って、シンクレアは蒼白な顔に硬い笑みを見せた。
 (文庫下巻p15)

この後に、「酔うというのは・・・」 の台詞が続くのです。

個人的解釈ですが、単行本の「別に」は、ちょっと強がった、反発したような感じ。一方、文庫の「いや」は、どうにもならない事柄に対して、甘受しているシンクレアさんのように思えます。
物語の前後や進展が解らない方には「何のこっちゃ」とお思いでしょうが、シンクレアさんを語る上で、この描き方の差は意外と大きいんですよ。
文庫の何もかも淡々と受け止めて、受け入れているようなシンクレアさんの方が、私は好き 

ところがこの時には、抗いを始めたばかりの状況だったんですよね。・・・何で私は、そんな風に感じたのでしょう?(苦笑)
抵抗を決めたことに、戸惑いがあったのか? 抗うことのむなしさを感じていたのか? 抗ってもどうにもならないことがある、ということに気づいていたのか?
シンクレアさんの諦観と言おうか、達観と言おうか・・・そんな一面にも、心惹かれます。

***

(2005.1.17追記) 高村作品にはお酒の出てくる場面がゴマンとあると書きましたが、『リヴィエラを撃て』 に限って言えば、お酒が絡んでいる好きなシーンがあります。ダーラム侯、シンクレアさん、手島さん、キム・バーキンの四人が初めて対面して、一時の休息を味わう場面です。

「東京で出会った勇敢なお二人に」とダーラム侯が言った。
「奇跡に」とシンクレア。
「今夜のブラームスに」と手島。
「私たちがまた揃って会えますように」とバーキン。
 (文庫下巻p240)

ここは本当の名場面。『リヴィエラを撃て』 の中でも、五指に必ず入る好きな場面です。

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Q18 「たばこ」からイメージする本は?

2005-01-15 00:03:51 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
黄金を抱いて翔べ (単行本版、文庫版ともに新潮社) 

吸いかけのタバコを握り潰した幸田さん。その文章の内容が、かなりの衝撃だったので(苦笑)
名高い『マークスの山』での合田さんの初登場シーンも捨てがたいのだが、衝撃度は幸田さんの方が強かったので(笑)、こちらを。

 ネタバレ引用  恥ずかしいので隠します。
幸田は、吸いかけのタバコを素早く手の中で握り潰し、下半身に溜った血を冷ました。寝ている春樹に気付かれずに、自分を処理するにはそれしかなかった。 (文庫p91)

こういう男の生理に関する事柄は、女は想像するしかありません(苦笑)
ちなみに私はタバコは吸いません。どちらかといえば、この世から無くなって欲しいものの一つに挙げるくらい、嫌いです。
最近、高村薫さんがタバコを吸うと知って、結構ショック受けました・・・。

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Q14 「友情」からイメージする本は?

2005-01-13 22:27:51 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
リヴィエラを撃て (単行本版、文庫版ともに新潮社)

手島さんとキムの関係。
これほど濃くて強くて深くて太くて、これほど短い友情を、私は知らない。
念のため声を大にして言うが、私にとっては、この二人の関係は友情だ。誰がなんと言おうと、友情だ。

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「息が合う」という言葉がありますが、息が合った時の「男の友情」って、何でこんなにあついのでしょうね。
特に、キムの信頼に応えようとした手島さん。

「初めにお断りしておくが、お互いもう《ミスター》はなしにしよう。この場所には、《ミスター》と呼ばなければならないような人間は入れないことになっている」
「僕は、日本からあなたを探りにきた男だ」
「探ってくれ。代わりに助けてくれ」
「そのつもりで来た」
「素晴らしい。ほんとうに嬉しいよ」
 (文庫下巻p274)
この二人の会話のやり取り、どれも好き  むっちゃ好き好き好き  「洒落た大人の男同士の会話」の匂いが漂います。(この会話を交わした時の状況は、逼迫しているのですが)

それに比べて「女の友情」なんて、TPOによったら(特に恋愛感情が絡んだら)、オブラートより薄いぞ・・・(笑) 

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Q13 「双子」からイメージする本は?

2005-01-13 21:53:37 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
<合田シリーズ> (『マークスの山』・『照柿』・『レディ・ジョーカー』)

二卵性双生児の、兄・加納祐介さんと妹・貴代子さん。・・・って、身も蓋もないな(苦笑)

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高村薫作品には「精神的双子」のような人物たちが良く出てきます。いちいち挙げていたらキリがないのでやめておきますが。ここは捻らずに、素直に加納兄妹を挙げておきましょう。
つくづく、でなくて良かったな~、と思った。叶だったら、某姉妹やん(笑)

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Q9 「切ない」からイメージする本は?

2005-01-12 23:02:24 | イメージが結ぶ100の言葉と100の本
マークスの山 (単行本版・早川書店 文庫版・講談社)

1.映画館で、合田さんが加納さんと会話していて、切なかったと感じている場面。
2.文庫版にしかない部分ですが、加納さんが合田さんの部屋を訪ねたと判る、仄かに残された整髪料の香りに、苛立たしさと切なさと隠微さを感じる場面。
どちらにしろ合田さんが「切ない」と感じる時は、加納さん絡みなんですね~。

***

1.これはネタが欲しいために、加納さんにすり寄っている気がするのがイヤで、切なくなったんですよね、合田さん。特に文庫の方が、合田さんの切なさ度は遥かに高いように感じられます。

学生時代、加納兄妹と過ごした賑やかな日々、自分の胸を満たした茫洋とした蜃気楼が、未だに身体のどこかに残っている。それが切なかった。 (単行本p162)
これがいやで会わないようにしてきた男なのに、いざとなればネタが欲しい一心ですり寄っていく自分が切なかった。あるいは、大事なネタの話をしている最中にふと脱線して、一人の男のことを無性に考えていたりする自分が。 (文庫上巻p254)

2.この場面、文庫はちょっと加筆されています。ポイントは加納さんの整髪料! その文章がこれまた絶品なんですよ~! 初めて読んだ時、私は悶えましたもん(笑) この色気のある文章は、読む度に悶えるでしょう・・・(笑)

互いにあえて顔を合わさないようにしている今の関係を、部屋に残されていくその香り一つがいつもちょっと裏切っていく。 (文庫上巻p237)

あえて何も言いますまい。強いて言えば、この一文だけで上巻一冊分の値段の価値は十分あります!(私にとってはね)

さらにとどめの一文。
そういう加納も、その本人にこうして合鍵を渡している自分自身も、どちらもが何か必要以上に隠微だと思いながら・・・(略)。 (文庫上巻p237)

出ました、「高村用語」の一つ、隠微淫靡ではありませんので、ご注意。

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