「なかなかうまくいかないのよ」
これで大丈夫だろう、と思って、満足して出かけた。
さあ、今日こそは、と帰ってみると・・・。
「えー、なんでそうなるのー???」
が(その2)の終わりであった。
なんでどうしてそうなったのか。
その後の出来事を書いてみようじゃないか。
【トレーニング4日目のつづき】
やはりというべきか。
残念ながら4日目も、和室にうんとしーがしてあった。
障害物があったので、畳ではなく、主に敷居の上に・・・。
しかも前日の食がよかったために、2回分である。・・・うう、たっぷり。
(フンだり蹴ったり)
「どうしたらうまくいくかしら・・・」
ブルーな気持ちでお片付け。
しかし昨日より落ち込みはひどくなかった。
どこか開き直りができている。
こうなったらもう、和室は閉めておくしかないね。
開けておくからしてしまうのだ。
おれこは和室が大好きなのだが、
今はレッスン中なので仕方がない。
ちゃんとできるようになったらオープンにしてあげっからね!
「おれこもちゃんとしたいんだけど」
前日と同じように丁寧に丁寧に清掃し、
敷居の溝にしみこんだおしっこをぬぐいとった。
それから除菌と消臭である。
こんなところにするよりトイレのほうがいいと思うが、
一体なんでトイレを使ってくれないんだろうかね・・・。
素朴な疑問だったが、何が悪いのかはわからない。
「もしかしたらシーツの敷きすぎがいけないのかも」
と(ごく軽く)思い、リビングのトイレの下に大業に敷いていたシーツを数枚抜いてみた。
寝室のほうも、広げすぎていたのを少し狭めてみる。
これで明日はどうだろう。でもあんまり変化はないか。
「おねしょしーつはいらないわのよ」
【トレーニング5日目】
5日目の朝を迎えた。
和室は閉めてしまったし、今度失敗する(といやなところは)としたら、ベッドの上だろう。
ああ、どうかそれだけは勘弁してもらいたい。
だけどもししちゃったときには、おれこを責めないように・・・。
なんだか毎日ギャンブルをしているような気分だ。
そうして、出かけて帰ってきたところ、今度はどこにもしていなかった。
なんだかあっけにとられるというのか。
「和室でないとしないルールがつくられたのではないか」
と内心ヒヤヒヤしたが、おれこの様子を見ると、目がしょぼしょぼしている。
ためしに体を触ると、とってもあったかい。
どうやらず~っと寝ていたらしい。
まあ、そういうこともある。
我慢していたのではなくて、長い昼寝をしちゃったのだね。
(和室で排泄ルールができたようでなかったので、ちょっとほっとした)
「ところがなのね」
ところが、しなければしないで、今度は健康が心配になってくる。
「もう室内トイレはちゃんとできないんではないだろうか」
「ストレスがたまっているようではないけれど、かわいそうだから、散歩に行こうかなあ」
と逡巡。めぐりめぐる、思い。
いいや、待て。待て、わたし。
書いてあったじゃないか、ルールブックに。
「このトレーニングは飼い主が我慢できなくなって失敗するケースが多い」って。
関係ないけど「犬猫のダイエットの成功は、飼い主にかかってる」というのも同じことだよなあ。
・・・じりじりと我慢。飼い主の根気が問われているのだ。
その夜、出かける予定があった。
遅い時間の外出だったので、それまでに、ごはんをあげて、お水を変えて、ボール遊びなど。
時間がきたので、じゃあねえ、と言って出ていこうとしたら、散歩に飢えていたおれこさん、
ちょこちょこっすいっ、と扉を出てしまい(いつも呼べばかえってくる)、
後ろを振り返りながら、ついついつい~、と先を歩いていく(走って逃げるかたちではない)。
しかし、こんなことはまったく初めてあった。
おれこはもともとそんなに散歩好きではない。
散歩大好き犬とは違う。
散歩の「さ」の字を口にしただけで、たたたたーっと、リードを持ってくるようなタイプの女ではない。
散歩のときにつける、リードやら、洋服やらを見せると、なんとイヤそうに逃げるのだ。
「それきらいです」
な感じで、あっちへよろよろ、こっちへふらふら、とにかく逃げる。
観念しなさい、とばかりに捕まえて、装着するのであるが、このときがまたどんより顔なのである。
「こどもだってお風呂上りに洋服きたくないって逃げるだろ、それと同じだよ」と夫。
だけどもさ、おれこはドアを開けようと、一人では外にも出ない。
なんとまあ、扱いやすい犬であることか。
(昔、実家で飼っていたオス犬は、自分の鼻で門扉を開けて出て行くので、錠前をつけたことがある)
とはいえ、散歩がきらいというわけではない。
行けば行ったでお散歩は好きだし楽しいし、普通のわんこ並に「まだ帰りたくないもんね」など、
多少の「いやいやえん」はあるものの、
「ねえ、家かえってボール投げしようか」というと「それいいですね」とばかりについてくる。
それにおれこはちょっとした『臆病ちゃん』なので、
お外の世界には7つの敵ならぬ『おれこの怖いもの』がいっぱいあって、
それらと遭遇するとちょっとしたパニックになる(これがまた心臓の病に悪いのだ)。
そういう怖いものに出会うのは嫌いだし、だけど、野山をふむふむ歩くのは(本当は走りたい)好き、てな具合である。
だから散歩は「ほどほどの好き」である。
・・・と思っていた。
きっと本人もそう思っていたに違いない。
それがやっぱり3日も4日も散歩にいかないとなると、やっぱり行きたくなるのですねえ。
同じフロアのつきあたりの一番はじっこのおうち(うちはその反対側のはじっこ)まできて、
さて、どうするかなあ、と見ていたら、そのおうちの入り口のところまできて、
「あ~あ」
という表情。
「いきどまりかあ・・・」
というかんじ。
無抵抗で抱っこされて家に帰る。
「おれこちゃん、ちゃんとおトイレでき(て大寒波が去っ)たら、お散歩いこうねえ」
と声をかけて、なでて、そうして、でかけようとしたのである。
が。
エレベータで1Fフロアまで降りていくと、夫が忘れものに気がづいた。
それで、また部屋に戻ることになったのである。
忘れ物をしたのは夫なのになんで私がとりに行くのか。
文句たらたらで戻り、部屋にあがると・・・おや。
あ! あ! あ!
してあった!してあった!
リビングのトイレにうんち(どっさり)。
あ! あ! あ!
それからそれから、寝室のシーツにおしっこも!(たっぷり)
えー!えー!やったー!
こんな短い時間にできちゃったのか。
すごいじゃないか、おれこちゃん。
すごいじゃない。すごいじゃない。
やればできるんじゃないのさ。うふふー。
お散歩にいかなくなって、4日目の出来事であった。
(つづく)