犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

おとうさん。

2012年05月26日 | おせわがかり日誌


「あ、ピーター」


おれこはテレビ好き。

家にいるといっても、殆ど仕事しているので、おれこはひとりぼっち。

つまらない。

時々、パソコンから手を離し、のび、なんかしたスキに、

「ねえねえ、あそぶ?あそばない?」

てな感じに目をらんらんと輝かせて、ハリーちゃんや、ペンちゃんをくわえて、走ってやってくる。



 ・・・ごめんにょー。

 かーさん、まだ仕事おわんないんだわー。



がっかり、とぼとぼ、きた道を帰るおれこであった。

てーのが、かわいそうなので、テレビをつけておくことがある。

オレコのスキなのは・・・動物が出てるテレビ。

でもアニマルプラネットはディープすぎて、時々吼える。

アニメの「ピーターラビット」とか、警察犬が出てるサスペンスドラマとか、そういうのをつけておく。

(あ、「結婚できない男」というドラマも、よく見てる。あれも犬が出てくるもんね。)

そうすると、じーっと、テレビ見てるのだ。

話がわかってるかどうかはわからないけど。

でも、さんぽに誘うと、いく、という。

それはそれ、これはこれ。






「おとうさん」


仕事が遅くなって、散歩の時間も遅くなると、おれこは「るんるん」する。

町は人も車も少なくなって、とても静かだし、おれこが好きな環境になるから。

それだけじゃない。遅いとおとうさんが帰ってくるかもしれないから。





「あのひとそうかな?」


何度か、示し合わせて、お父さんの帰宅タイムにあわせて散歩したら、それから、

「遅い時間の散歩はお父さんが帰ってくるかもしれないもの」

と思うようになったみたい。

以前は「さあかえろうね」といったら、一緒に帰っていたのに、

「かえろうね」といっても、帰らなくなってしまった。

ロータリーでたたずんで、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。

駅のほうから歩いてくる大きな黒い服の人や、うちの車と似たような車に向かって、

うれしそうに、しっぽを振って、近づくのだ。

あるとき、やっぱり間違えて、

若い男の人にうれしそうに近づいていって、

にっかにかの笑顔でしっぽを振って、前にいって顔をみたら、違う人だった。

おれこはがっかりしていたんだけど、その男の人は、にこにこしてた。

「こら、お父さんじゃないんだよ、すみません」

って私がいったら、もっとにこにこにこにこー、さ~。

なんかこっちまでうれしくなるようなにこにこだったのよー。

動物、きらいな人もいるから、あんまり喜んでばかりもいられないけどもね。

やさしそうな人だった。



でも一番にこにこしているのは、あとからこのハナシを聞いた「お父さん」である。

「おれこいのち」の人だから。

なんともいえない、顔をしていた。

あんな顔ははじめてみたといってもいいくらいの顔。

20年近くの付きあいになるけれども。

あんな顔を持っているとはしらなんだ。

一番面倒みてくれるお母さんが一番好き、と、いうのは、ある程度どこのうちも仕方ないことなのかもしれないけども。

お父さんというのは、いつも一緒にいられないからこその存在感がある。

こういう話を聞くと、本当に、うれしそうなんだよね。

そういえば、もうすぐ父の日だなあ。





「・・・おとうさん、だいきらい」


ねこは、おもいどおりにはなりませんもんねー。