翡翠庵閑話

野鳥が好きな、閑人の独り言と日常の見聞録。少し遅れてUPする場合が多いですが、内容と日付は、合うようにしています。

名古屋ボストン美術館最終展関連講演会(ビゲロウ) (都市センターホール)

2018年08月18日 | 講演会、公開行事

 名古屋ボストン美術館は10月8日に閉館します。今、最終展「ハピネス」が行われています。今回は最終展関連の講演会へ行ってきました。

演題 : ウィリアム・スタージ・ビゲロウ-日本の染織を誰よりも愛した外国人-

講師 : 長崎 巌 氏 (共立女子大学 教授)

 講師は30年以上毎年ボストン美術館へ出かけて今回テーマの染織関係のコレクションを調査研究されている由で、その中で得られた裏話的なことにも触れられ余韻ある内容でした。頭に残っていることを残しておきます。

① 明治維新後、封建制の崩壊、廃仏毀釈 等により多くの日本の美術品がお雇い外国人の手で海外へ流出したが、ビゲロウは自費でコレクションを作り、そのままボストン美術館へ寄贈している点は、一度他の人へ渡ってから寄贈されたフェノロサなどとは違う。

② 日本の美術品が買い手を捜しているという情報を有力仲介者としては中山商会が挙げられる。同商会は国内だけでなく、米、英、仏 等海外にも支店を出している。

③ ボストンに収蔵されているものの中には有力な情報が得られる、着物の畳紙(たとう)や陶磁器の箱が捨てられているものがある。収蔵するのにスペースを取る?からというのが理由だったようだが、今となっては、作者、出所などを調べる術がなくなり残念なことである。

④ 能衣装、内掛け 等の艶やかなものが米国や西欧諸国で人気があった理由の一つに、これらをテーブルクロス的な使い方が持てはやされた時期がある。

 この話を聴いたとき、イタリアを旅したときのことを思い出しました。日本人(陶芸家)とイタリア人(画家)が共同で農家を改装してアトリエを持っているという所へ寄ったことがあり、そこでイタリア人の画家がベッドカバーに内掛けを使っている所を目撃し、日本人では考え付かない、しかし実用的な発想にびっくりしたものです。どこで手に入れたのか聞いたら、神戸にいる時だと云っていました。  蛇足ですが、このとき案内してくれたのは、ホームステイした家の両親(Papaはカメラマン)。芸術家2人の展覧会をドイツで行う際の図録の写真を頼まれており、ちょうどドイツからも美術館の担当者が打合せに来ていました。思わぬところで、3ヶ国語入り乱れての日独伊会談?を楽しめたものでした。

 その他、今回展示されている染織関係のものの見所を解説してくれました。