秋の光
2019年10月30日 | 詩
澄んだ秋の空から金色の光がふりそそぎ
あらゆるものが色づき熟していく
山はたしかな稜線を描いて立ち上がり
川は大地の帯のようにはるかに流れる
堆積した時間の層が重なり
過去と未来と現在が光の中でひとつになる
失われたものとまだ生まれないものが
今を生きるものとひそやかな言葉を交わす
穫り入れの済んだ野面は黒ずみ
せき立てられるように冬支度が始まる
まばらな林に鳥たちが鳴きかわし
日陰の道に冷気がまっすぐ降りてくる
一日の終わりの空は悔恨に染まり
夕映えの大気は真珠色に輝く
天球は鋭角に夜へと傾き
すべてが重い闇に沈み込んでいく