やめた今でも、夢の中で煙草を喫っていて、「うまい!」と思ったり、「あゝ、また喫いはじめてしまった!」と後悔することがあるという話を聞くが、おれは一度も夢に煙草が登場したことがない。やめることに抵抗も苦しみも優越意識も何もなかったからだろう。
肺病になったのは10年くらい前のことで、一週間入院した。退院して、というか入院途中に病室を抜け出して、OMMビルの地下にあった生活菜館というコンビニで購入したのがこの煙草である。
3〜4日ぶりに喫ったジタンはうまかった。クラクラした。それから何年かして肺がんになった。手術を言い渡され、入院した。その前から身体の調子が良くなくて、仕事もうわの空気味だった。当然、煙草が喫えなかった。
手術して、傷口がなかなかひっつかず一ヶ月を超える入院生活になり、常に点滴などの管を身につけていたから抜け出すことも出来ず、しかし、階下のコンビニまでは行けたから、コーヒーとドーナツ、新聞は買いに行けた。病院のコンビニには煙草、酒類は置いていないのである。ま、当然かもしれないけどね。
そんな生活を40日以上続けていると、煙草のことは気にならなくなった。そのままフェイドアウトという感じだった。
今思うのは、どこか公共の施設に入場したとき、そのあたり一帯が禁煙だと表示されていたら、「あゝ、喫煙者でなくて良かった」と思うくらいだろうか。人が煙草を喫っているのを見て、「うまそうに喫うなぁ」と思うことはある。家に灰皿、ライターはまだある。捨てることはないだろう。
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