窯元日記復活

奈良博三昧『重要文化財 大般若経厨子 附大般若経』

奈良博三昧『重要文化財 大般若経厨子 附大般若経』
一基 166巻
厨子:木製 黒漆塗 彩色 彩絵 金泥 截金 金銅金具、大般若経:紙本墨書
高165.0 径62.5

平安時代 12世紀
伝 来
神光院(京都)伝来
クリーブランド美術館




奈良博収蔵品データーベースから「『大般若経』を納めた経筒(きょうづつ)形の厨子。別に一具と思われる棚坂等が伝来しており、内部を三段に仕切り、経筒と同様に経巻を縦に置いたと推定される。扉上部に打たれた題箋金具の内容から『大般若経』六百巻を二つの厨子にそれぞれ三百巻ずつ納めたものと考えられ、もう一方は米国・クリーヴランド美術館に現在所蔵されている。元上加茂社(かみがもしゃ)御読経所に安置されたが(東京文化財研究所・皿井舞氏の教示による)、神仏分離の影響を受けて近在の神光院(じんこういん)に移り、後に国の所有となった。屋蓋(おくがい)と軸部、基壇からなり、軸部に観音開きの扉が取り付けられる。屋蓋は八角で軒下に中台八葉院(ちゅうだいはちよういん)を表し、内部には彩絵が施された天蓋を取り付け、頂部には宝珠(ほうじゅ)を載せる。基壇は八角二重基壇に円形基壇を重ね、軸部内にも円形の台が据えられる。基壇や台にはいずれも蓮弁があしらわれる。円筒形の軸部には、内側に蓮台に乗る釈迦(しゃか)と阿弥陀(あみだ)の種子(しゅじ)を表した円相(えんそう)が彩絵され、扉部分の内側に四尊ずつ『大般若経』を守護する十六善神(じゅうろくぜんじん)が美麗に描かれている。クリーブランド美術館品の天蓋裏から建久年間(一一九〇~九九)の記念銘を有する文書残欠が発見されており、おおよその製作年代が推定される。

(清水健)
天竺へ―三蔵法師3万キロの旅―, 2011, p.225 

大般若経1部600巻を2基に分納した黒漆塗円筒形厨子。京都・神光院(じんこういん)伝来で、現在、当館とクリーブランド美術館に1基づつ分蔵される。2基とも同形式で、八角二重蓮華座上に円形の十六弁蓮華座をのせ、その上に円筒形の軸部を置く。軸部内にも十六弁蓮華形の置台をのせ、軸部は前方半分を観音開き扉とする。屋蓋は八角形で、軒下に中台八葉院(ちゅうだいはちよういん)のように葉と葉の間に三鈷杵を置く八葉蓮華を刻出し、頂に擬宝珠(ぎぼし)をのせる。扉にはそれぞれ四善神を描き、2基で大般若経の守護神の十六善神が表される。彩色は鮮やかで截金(きりかね)をふんだんに用いている。平安仏画の趣到とも通ずるが、像容は同時期の十六善神の図像とは異なり、異国風の着甲から見て唐本によった可能性もあろう。軸部奥壁に阿弥陀と釈迦の種子を表し、天井には天蓋(てんがい)を飾っている。奥壁の痕跡から各厨子とも経巻300巻を100巻ずつ3段に安置したものと推測される。円筒形の軸部に擬宝珠のある屋蓋をのせた姿は平安時代の経筒に近似しており、平安時代の経荘厳のありかたを伝えており興味深い。なお、当館所蔵の厨子には大般若経166巻が付属している。

(内藤栄)
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, pp.285-286, no.36. 」



https://www.narahaku.go.jp/collection/1115-0.html


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