窯元日記復活

「白釉水注」東京国立博物館蔵

「白釉水注」東京国立博物館蔵 1口 中国・磁州窯 北宋時代・11~12世紀 伝中国河北省鉅鹿出土 高29.4 口径14.9 高台径8.7 横河民輔氏寄贈 TG-768
解説→「鉄分を含む灰色の胎に厚く白化粧を施し、透明釉を掛けているため、おっとりと暖かみのある白色を呈しています。華北の民窯、磁州窯で焼かれた日用の器。造形には粗さがみられるものの、北宋らしい均整のとれた姿が魅力です。 」(ColBaseから)

「磁州窯
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
中国の代表的な陶窯で、広狭両義に大別される。狭義には河北(かほく/ホーペイ)省磁県一帯に広がる古窯址(し)をさし、邯鄲(かんたん/ハンタン)市郊外の観台鎮(かんだいちん)、東艾口(とうがいこう)村に北宋(ほくそう)(960~1127)時代のすばらしい窯址が発見されており、磁県彭城鎮(ほうじょうちん)窯は現在でも磁州窯の伝統を守っている。製品の特色は、灰白色、黄白色の陶胎に純白の化粧土をかけて透明釉(ゆう)を施す白釉陶にあり、観台鎮窯では白地黒掻(か)き落し法で文様を表す典型的な白釉陶が焼造されており、ほかに白釉緑彩、白地線彫り、白掻き落し白地鉄絵を中心とし、黒褐釉陶や緑釉陶、翡翠(ひすい)釉陶を焼き、華北の民間雑窯の象徴的存在となっている。
 一方、広義には、こうした華北陶を焼造した窯の総称である。すなわち河南(かなん/ホーナン)省を中心に、山西(さんせい/シャンシー)、陝西(せんせい/シャンシー)、安徽(あんき/アンホイ)、山東(さんとう/シャントン)、河北省と広大な地域に窯は分布しており、活動時期は晩唐(9世紀)に始まり、北宋に最盛期をつくった。窯によって起伏消長は異なるが、山東省の博(しはく)窯、博山窯、山西省の平定窯、河北省の磁州窯などは現代まで存続する代表的な窯である。[矢部良明]
『長谷部楽爾著『陶磁大系39 磁州窯』(1974・平凡社)』 


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