

直木三十五賞作家・船戸与一が亡くなりました。
白川道に続いての小説家の訃報です。
ニッポンを代表するエンターテイメント作家が続いて亡くなるなんて、まことに残念。
さて、僕の印象ですと、白川道は90年代の作家で、船戸与一は80年代の作家ってイメージがあります。
80年代は船戸与一以外にもエンターテイメント作品界に逢坂剛・北方ラーメン謙三・佐々木譲・藤田宜永等錚々たる顔ぶれが登場した黄金期です。
文芸もさぞかし景気が良かったでしょう。
まぁ、白川道は80年代はナカに入っていたんでしょうけど。
あの近辺の作家で最初に触れたのは、逢坂剛だったと記憶しております。
そのせいでスペインまで行っちゃいましたから。

スペインの巻。
スペインの巻、ふたたび。
そうこうしているうちに、船戸与一に辿り着くのは当然かも知れません。
『逢坂剛に比べるとエグいなぁ』というのが最初の感想でした。
なんせ登場人物がほとんど死んじゃいますからね。
それに比べると逢坂剛はお洒落だなぁ、と。
船戸作品でもっとも好きなのは【猛き箱舟】です。
文庫本で全4冊。
実に読みごたえがありました。
友だちと『シャリシャリ心臓食っちゃうよ~』なんて言ってたものです。
壮大なスケールの中で繰り広げられる殺戮は、唯一無二のインパクト。
ヘラヘラした主人公が最後、孤独な復讐者に変貌を遂げた描写が今でも忘れられません。
ここ数年は船戸作品を読んでいませんでした。
正直、食指が動かなかったんです。
最後に読んだのは、確か【夢は荒れ地を】あたりかなぁ。
読み手も歳を食いますと、だんだん作家の好みが変化しますからね。
作家自身の作風も、もちろん変化しますし。
享年71歳。
先日、亡くなった白川道は享年69歳。
生死を問わず、ひょっとしたらエンターテイメント作家の限界って、その辺の年齢かも知れません。
今年68歳になる、北方ラーメン謙三もすっかりエンターテイメント作品を書かなくなっちゃったし。
ご冥福をお祈りします。
