以心伝心 from Bolivia

青年海外協力隊として2年間、ボリビアの小学校で活動。

それからこれから

2011年09月27日 | 日記
昨日の夜、エボ大統領は道路建設停止を表明。

しかしインディヘナに対する暴力行為に怒りは収まらず、労働組合による全国

的なストライキは明日決行されることとなった。

もちろん学校もお休み。

今日、自由の家(ボリビア独立の調印の場)の前を通ると、門は完全に閉めら

れ、その前にはテントや垂れ幕が張られ、今回の行為に反対する団体がアピー

ルをしていた。

インディヘナの保護区とされている場所は、自然や動物が多く住んでいるとい

う。

学校の秘書は、「きっとブラジルにコカの密輸がどんどん行われるんだから、

大陸横断道路なんてできないほうがいいわ。」と言った。

ボリビアでは、コカの葉の栽培が認められている。

アメリカ側は、このコカ葉生産の全廃を迫っているが、コカの葉はインディヘ

ナの文化の一部であり、高山で暮らす者にとってはなくてはならないものだ。

コカの葉を噛んだりお茶にすることで、天然の痛み止めになる。

精製すれば麻薬となるのでもちろん違法である。しかしボリビアで生産されて

いるコカ葉の多くはコカインとして密輸されているのだ。

先日アメリカのオバマ大統領は、「ボリビアは薬物対策に対して失敗した」と

批判した。

それに対しエボ大統領は、「資本主義国が結局、薬物の需要が高い状態になっ

ている」とし、アメリカをを批判し返している。

このコカの問題はまだまだ批判合戦が続きそうだが、闇で儲ける者がどこの世

界にもいて、規制があるといいながら全くなされていないのが現実である。

賄賂をもらって、警察が黙認してしまうのだから。

今回の強制排除もそうだが、警察って市民を守るためのものじゃなかったの。

政府、警察。感情的にならず、しっかりしておくれ。

ボリビアに住む日本人は思いましたとさ。

残念だけどお疲れさま

2011年09月26日 | 日記
思いがけない出来事は、次から次へとである。

今週開催を予定していた「虹の架け橋」が延期になった。

延期だと信じたいが、中止も五分五分だという。



いまボリビア政府が進めているチリとブラジルを結ぶ道路建設に、インディヘ

ナ(先住民)の人たちが反対をしている。

道路がインディヘナの保護地域を通ることから、環境への影響を懸念して社会

闘争をしているのだ。

しかし政府側としては、ブラジルから多額の資金を援助してもらっていること

もあり、引くに引けない状態なのだ。

つい最近、インディヘナとの対話に赴いたボリビアの外相が一時人質にされ

た。

そして今日は、警察がデモをしているインディヘナを強制排除に踏み切った。

暴力的なやり方で、子どもたちも多く亡くなったという。

今週の水曜日は、反対する先住民デモ隊への警察による弾圧に抗議して、ボリ

ビア労働総同盟が全国規模でストライキや道路封鎖をするという。

あぁ。

もう。

この社会情勢に、日本人としてのわたしたちはただじっと見守るしかない。

でも「虹の架け橋」で歌う予定だった「We are the world」と「imagin」の歌

詞は、私たちの願いであったし、今もその願いはここにある。



私も微力ながら実行委員として、ステージの企画を考えていた。

スペイン語の司会にどきまぎしながらも、ひそかにNHKのど自慢的なアット

ホームなステージを目指し、思い描いていたわけで…。

他の実行委員も、会場交渉や会計、ポスター作りとわたしと比べものにならな

いほど駆け回っていた。

本当にここまでお疲れ様でしたと言いたい。



発展途上国にいるという現実。

移動禁止令が出ているので、任地でじっと自分と向き合うしかない。

まず自分が事故に巻き込まれることなく、健康に暮らすこと。

そして今の自分の立ち位置で人のために行動すること。

これ以上の死者がでないことを、平和を願うこと。

Gracias mi directora

2011年09月21日 | 日記
                
チャージされた水が、どばっと溢れ出た。

彼女は星になった

祈りは届かなかった。

それでも彼女は彼女らしく懸命に生きた。

厳しい人だった。

負けず嫌いな人だった。

泣き虫な人だった。

チャーミングな人だった。


昨日の夕方。事務室に先生たちが集合した。

キリストの像を校長の机に置き、宗教の先生のことばに合わせて、みんなで

祈った。二本のろうそくは、静かに揺れていた。

さっきまでの曇り空から、一気にどしゃぶりになった。

外ではしゃいでいた子どもたちは、慌てて廊下に雨宿りをする。

どしゃぶりの音にかき消されて、先生たちがすすり泣いていた。


書きかけの手紙は届かなかったけど、一度だけ校長に手紙を書いたことがあっ

た。

午前中、彼女の働く小学校で1年生の授業を見せてもらったとき。

歌で言語を教える楽しさ、丁寧な準備。

「学ぶ楽しさを、発見させてもらいました。担任としての校長を見れて嬉し

かったです。」と綴った。

昨日のお通夜には、入りきれないぐらいの人が彼女を訪れていた。

もう人目をはばからずに泣いた。泣いて泣いて、溢れ出るものを止めることが

できなかった。

夜の9時過ぎまで、わたしたちバレンティン・アベシアの先生たちは彼女の側

に、ただ座っていた。



今日の朝は、カトリックのミサがあった。

タクシーを降りると、アルコールと薬物を断ち切るための施設が目に飛び込ん

できた。

中に進んでいくと、小鳥のさえずるかわいい庭のような場所があらわれた。

そこには、西郷どんが隠れていた洞穴のようなものもあった。

わたしが腑抜け顔でベンチに座っていると、10メートルもあるヤシの木のよ

うな木から、小さな実がコツーーンと私の頭に飛んできた。

いくら小さくても硬い実が10メートルから降ってきたのだから、痛くて痛く

て頭のてっぺんがじんじんした。

お空から校長がげんこつをしたのかな。

「ほら腑抜ケイコ、あなたはやることがあるじゃない。」

4ヶ月前の元気な顔が浮かぶ。

あまりの痛さに、勝気な校長がそう言っているように思えてならなかった。


午後の学校はお休みになった。

神父の話を聞いた後、みんなで墓場までお花を持ってぞろぞろと歩いた。

お墓は小さなアパートのようになっていて、棺が入れられると、セメントで入

り口が固められた。

その正面に、持ってきた色とりどりのお花がいっぱいに飾られた。

学校の子どもたちも、お花を一輪握りしめ、お別れを言いに来ていた。

大勢の人に見守られながら、彼女は眠りに着いた。

手を合わせた後、わたしも列に並び、校長の旦那さんに最後の挨拶に行った。

「私は、彼女と働けて幸せでした。国も違う、宗教も違う。けれど、彼女が要

請したから私はここにいます。ボリビアを知ることができました。彼女に感謝

しています。これからも、彼女はわたしの心の中にいます。」 

と。

ジャッキーチェンのような髪型の旦那さんは、やつれた顔をくしゃっとさせ

て、わたしをぎゅっと抱きしめた。



ねぇ校長、たまに声をかけます。

どうしていますか、と。

みんながおもいを繋ぎます、と。

それでもなかなかうまくはいきませんよ、と。

帰り道、夕暮れの空を見ながら歩く。


明日の学校は、子どもの日と愛の日のお祭り。

何があっても、沈んだ太陽はまた昇る。

今日はずっと涙目。

明日は必ずやってくる。

こんな話しを

2011年09月19日 | 日記
                 
かけ算の考え方は、このまま日本式で進むことに。

尊敬する物知り博士、シマンシュタインのお言葉で決意したのだった。

今日は二年生のクラス。

アナベル先生も張り切ってやってくれている。

今日はアナベルが一斉に教えるT1の立場。

前回はわたしがT1の立場。

かけ算の式を一人ひとりがペットボトルのキャップで表す学習をした。

今日は問題文から式を考える授業のようだ。

問題文には私の名前が出てきて子どもたちは大喜び。

ケイコは4冊の本を買った。

テレサはケイコの3倍の本を買った。テレサは何冊本を買ったかという問題。

4が何回分か、何回繰り返されているかっていうところが大事。

先生が絵を描いて式をたて、答えを書くところまでを一斉に確かめる。

いくつかの問題文の後、最後にはほとんどの子が自力で絵を描いて式をたてる

ことができるようになった。

私はT2に徹して、個別指導。

二人体制のティームティーチングも、やっと定着してきた。

もうどこかに行く先生は、よっぽどのことがない限りいなくなった。

授業が始まり20分後、遅れてそっと後ろに座る男の子発見。

                

去年1年生だったときシャキーラを一緒に踊って、はしゃぎすぎて収集がつか

なくなった思い出の男の子だ。

2年生になって少し大人しくなり落ち着いたように見えたけれど、実は遅刻が

増えていた。いつの間にか、勉強も追いつかなくなっていた。

だから、算数の問題を一緒に確かめながらやっていった。久しぶりにゆっくり

その子に関わると、表情が柔らかくなっていった。

「あのね、7ヶ月前にお母さんが家から出て行って帰ってこないんだ。

お父さんもお兄ちゃんも、どこへ行ったのか知らないって言うんだ。」

突然そう私に話し出した。

「そうだったの…」と頭を撫でながら言葉をかけたが、その後が続かない。

終了のチャイムのとき、「学校ではアナベル先生とケイコが助けるからね。

待ってるからさ、学校にくるんだよ。」と伝えた。

こぼれそうな瞳の奥には、無限の可能性を持っている。

彼は7ヶ月経った今も、お母さんの帰りを信じているに違いなかった。

同時にこのまま帰ってこないんじゃないかって不安もいっぱいだろう。

家庭訪問なんてこの国にはないし、先生は勉強を教える役割になっている。

「学校が楽しい、そうするためにわたしに何ができる?アナベルは何をして

る?」その子の様子を交えながら話しをした。

アナベルとはそういうことが話せるから好きなんだ。

学校ってどんな場所だろう。

みーんなみんな違った環境、感情、考えで生きているものが集まっている。

だから面白いし、いざこざだってある。

にんげんってこと。

子どもが鎧を着てないかな。

大人というにんげんの見方を、子どもというにんげんがじいっと見てる。

悪いところばっかり目がついてしまってたら、はい!余裕がない証拠。

お好きなもので、チャージが必要です。

わたし、あなたのハートに水を与えましょう。

明日はいよいよ復活、算数勉強会。

長い間すいません。校長がいないからなんて言い訳にすぎません。

わたし、チャージされたのでもう大丈夫です。

まずはじめにごめんなさい、だな。