金柑と山茶花
先ずはキンカンから。
我が棲家の地域では庭先に観賞用として植えられている。
もちろん食用も兼ねているが。
いとうつくしきもの 庭に成りたる 金柑の実
<カモシカ枕草子>あしからず
口にぽ~んと放り込むには誠に都合のいいサイズだ。
砂糖漬けより枝からもいだのをそのまま口の中で転がし、そっと皮に歯を当てて
香りと共に独特の甘みと酸味を味わうのが好きだ。
皮を食することがメインな果物も少々稀だ。
この食べ方は冬場の低山ハイクの際の私の定番のスタイルだが、
今季はそれもかなわない。
近所を散歩する折に、青空に映える小さなオレンジ色の輝きを
下から見上げるのみである。
金柑(キンカン):ミニミニ講座
・蜜柑(みかん)科。
・学名 Fortunella japonica
Fortunella : キンカン属
japonica : 日本の
Fortunella(フォーチュネラ)は、
イギリスの学者で東洋に旅行した、
「Fortune さん」の名前にちなむ。
・中国原産。
・1826年に、中国の商船が遠州灘(静岡県沖)で
遭難し、漂着して清水港に寄航した際に、
船員が、助けてくれた地元の人に砂糖漬けの
金柑果実をプレゼントし
その種が育って日本で広まった。
・花は夏から秋に何回か咲く。白い5弁花。
・みかんの小型の実がなる(直径2cmくらい)。
皮がついたままでも食べられる。
(よく洗ってから食べようね)
・のどあめとしても使われる。
・「金」は実の色から。
「柑」は「柑子(こうじ)」で、みかんの古名。
・「金橘」とも書く。
・別名 「姫橘(ひめたちばな)」。
藪椿ならぬ野生の山茶花が住宅街の外れに自生している。
♪さざんか、さざんか咲いた道 たき火だ たき火だ 落ち葉たき
あたろうか あたろうよ しもやけ おててがもうかゆい♪
焚き火は、幼稚園の頃の思い出と共に懐かしい。
煙の匂い、お尻を火にあぶって、手もあぶって・・・
そんな街角の風景はもうどこにもありはしない。
幼稚園の先生が弾くオルガンの音色が懐かしい。
童謡「焚き火」の中にも登場する山茶花!
我が地方では11月半ば~桜が散る頃まで長い期間咲いている。
私の嫌いな寒い時期に咲くので、実はあまり好きな花ではない。
つやつやした濃い緑色の葉の中に鮮やかな補色の赤を以って咲くので
遠くからでもよく目立つ。
だが、この花を見て私はどうも軽やかな気分にはなれないのである。
椿同様妖艶な感じすら感じる。
救いは椿の赤より幾分薄いのと 散る際に塊でぼたりと落ちないことであろう。
ひとつの花をじっくり観察すると芸術的な花弁のつき方に
はっとさせられるのではあるが・・・。
やはりどこかに「曇りガラスを 手で拭いて あなた 明日が見えますか」♪
という大川栄策が歌った『さざんかの宿』の
咲いてさびしい イメージがつきまとう。
山茶花(さざんか):ミニ講座
椿(つばき)科。
・学名 Camellia sasanqua
Camellia : ツバキ(カメリア)属
sasanqua : サザンカ(日本名)
Camellia は、17世紀のチェコスロバキアの
宣教師「Kamell カメル」さんの名にちなむ。
・開花時期は、10/10頃~翌2/10頃。
・花の少ない晩秋から初冬にかけて咲き出す。
長い間咲き、正月を過ぎても楽しめる。
・椿(つばき)の漢名(中国名)「山茶花」が、
いつの頃からかこのサザンカの名前として
間違って定着した。
読みは「山茶花(さんさか)」
→「茶山花(ささんか)」
→「さざんか」というぐあいに変化したらしい。
上記から、「山茶花」の漢字名も本当は誤用。
(どこかで椿とサザンカが混同されたのでしょう。
こういうのって、一度定着したら軌道修正は
ほとんど不可能ですね。みんな、その間違ってる方
を本物と思ってしまうから)
・日本が原産地。江戸時代に長崎の出島の
オランダ商館に来ていた医師ツンベルクさんが
ヨーロッパに持ち帰り、西欧で広まった。
学名も英名もサザンカ(Sasanqua)。
・花はとてもよい香り。
・1枚ずつ散る。(薮椿は花ごと散る)。
開花時期は、薮椿は春になってから、
山茶花は秋から冬咲き、と異なる。
また、寒椿とは、葉っぱも花も開花時期もほぼ同じで
なかなか見分けがつかないが、
背丈でおおよそ区別できる。
(ただ、寒椿の中でも背の高い「獅子頭」などとは
なかなか区別しにくいです)
・11月3日、12月4日の誕生花(山茶花)
・花言葉は「困難に打ち勝つ、ひたむきさ」(山茶花)
・「山茶花を 雀のこぼす 日和かな」 正岡子規
「山茶花の 花や葉の上に 散り映えり」高浜虚子
焚き火・・本当に懐かしいですねぇ。。。
あたろうかあたろうよ♪涙が出そうになりました。
金柑の甘酸っぱい色、咲いてさびしい真紅に癒されて朝・・・
色々と詳しいですね。近所を歩いて、これだけの豆知識があれば、楽しいですね。身近なところを歩いても色々と発見はあるんですね。
「焚き火」の歌、懐かしいでしょ。
幼き日の想い出が蘇ります。
金柑に続いて、日曜日はスクープです!
ひゃぁ~、お恥ずかしい。知識があいまいなものだから図鑑の解説のまんまです。
>身近なところを歩いても色々と発見はあるんですね。
2月1日(日)ヤマノボラーの皆さんはいい山登りしてるんだろうなぁと指をくわえて 見ているしかない今の私ですが、
「発見!」ありました!