けんけんブログ -guide diary-

国際山岳ガイド近藤謙司の冒険案内記!
“ハイキングからチョモランマまで”

チュクンにちゅくんです。

2009-04-23 02:06:04 | エベレスト09
けんけん@チュクン(4700m)です。

みなさん、コメントありがとうございます。
ひとつひとつにお返事返せなくてごめんなさい。でも皆で見てますよ!
コメント聞いてる隊員の顔を見せてあげたいです。
キラキラして、メラメラして、確実にパワーもらってます!
メインフォトは、ローツェをバックにチュクンに向かうアイランドチーム!
そして、下はディンボチェの朝に髪を洗うヒロちゃん。



さて、ディンボチェを後にして、
ロブチェチームとアイランドチームに分かれて、
AG隊は、それぞれの道を進みました。

村はずれの分かれ道で、ガチョン姉さんが荻パパの手を握り
頑張ってくださいねとウルウルしてる姿にヒロちゃんもウルウル。

それぞれの登山後にもう一度ディンボチェで会えるはずなのに、
みんな胸にグッと来るものがあったらしく、握手を繰り返して、
名残惜しくてたたずんで、後ろ髪を引かれて振り返って。
ロブチェイースト隊!左からマック、禅ちゃん、ランバブ、荻パパ。

空は青空。風はさわやか。
周りの山々が迫る勢いで山頂をのぞかせ、
360度のパノラマを堪能しながら歩くことができましたが、
さすがに4500mを越えるので、息はぜーぜー、足は重く、
のろのろの歩みでした。

お昼ごろにアブレーションバレーの最奥地のカルカ(放牧小屋)跡
につくられた数軒のロッジが集まるチュクンに到着。
チュクンにちゅいたアイランドピーク隊。バックはアマダブラム。

午後は時間にたっぷり余裕があり、隊員たちはリラックス。
僕もチャンスとばかり、ソーラーのカートンを開けて、
“黒いシーツ”をテントの屋根に広げました。
(ちゃんと広げてるんですがたまに風がイタズラします。>た)


午後のひと時をのんびり過ごしていると、
ロッジのダイニングにある電話が鳴ってプラチリが呼び出された。
各地のスタッフの動きがサーダーに報告されてくるのかと感心していたら、
後から聞いたところによると、この地区の村を結ぶための特別な電話らしい。

「バラサーブ!」今度は僕がプラチリに呼び出された。
ピンと来るものがあったりして、数秒の間にいろんなことを想像して
電話のところまで近づくと
「ロブチェチーム ヒトリ ディンボチェ ニ オリマシタ。」 ええ!!

電話は、ロブチェに向かったはずのネパールスタッフからで、
下山したのは、誰かまだわからない。

電話口に本人を出すように言って、少しの時間待たされた後に耳にしたのは、
「ご迷惑をおかけします!」という、いつも通りの元気な荻パパの声だった。

今朝まで絶好調の荻パパだったけど、1時間ほどトレックを開始したら、
かなり疲れて脈拍が上がったようで、サンタマンと相談して下山してきたとの事。

現在の声は元気で、聞きなれたいつもの声だけど、胸に秘めた思いは…。
状況の確認と事務的なしっかりとした会話のやりとりの後に、
「俺の高所登山は、これで終わりにしますよ。」
という言葉に、少し詰まって、ろくな返事が返せなかった。

まだチャンスはいくらでもあるって伝えたかったのに。

とても残念ですが、陽は傾いていくので、下山のための手配を大至急に考え、
うちのチームにいるポーターに無線と手紙を渡してディンボチェに下山させました。

2時間後くらいにポーターが到着し、荻パパとの交信ができ、
いつもの荻パパ節を聞くことができアイランドチームの面々も一安心。

オリンピック史上に記録を残す、双子の息子たちを持つ荻パパ。
その心臓の強さとおおらかな性格は、隊員誰もが認めていました。

荻パパのエクスペディションのフィナーレに乾杯。
そしてまた戻ってくるのを待っています。
夢をあきらめるのは、まだ早いです!