「蛇の人」の今西と、「ダブルフェイス」の純。
どちらも天涯孤独の身の上だけれど。
純は自分がどこで生まれたかも知らない。
誰から生まれたかも知らない。
物心付いたときには一人きりだった境遇。
今西は自分の出生を知っている。
天涯孤独になったのは、想定外だったのか想定内だったのか。
純は中学の時に良い先生に出会っている。
(ハッキリした交流は分からないけど、純が今も先生って呼ぶなら慕ってるんじゃないかと。)
その恩師を蝕んだ薬に対する憎しみも、自分の道を決める理由の一つだったのでは。
今西は、天性の高い能力で義務教育でもその先でも成績はトップクラスだったろうし。
(勤めていた職場を見ると大卒でないと入れない所もあったようなので、
奨学金を貰いながら国立大を出て、職を転々としていたかと想像します。)
感受性の強い少年期に
心を壊す出来事に出会った今西と、
信頼できる大人に出会った純。
二人の道は、そんな違いから分かれたのでは。
作品の違う登場人物の比較をしても意味のない、
蛇の足のような余談です。
余計ついでに、「ダブルフェイス」の高山も天涯孤独でしたから、
彼も織田に出会うまで今西と似たような境遇だったのかもしれないなんて。