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目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「その夜の侍」 孤独すぎておかしくなりそう

2013年11月28日 | 映画タイトル さ行
WOWOWは堺さん祭。
見たかったこの作品もちゃんと放送してくれた!

「その夜の侍」 (2012年・日)

あらすじと大枠だけは知ってたんですが、
いろんな意味ですごい映画だった。

以下、感想にはネタバレありです

愛する妻がひき逃げされて突然死んでしまった。
抜け殻になった夫ケンイチ(堺雅人)は
犯人を殺して自分も死のうと・・・

妻の遺骨を自宅に置いたまま、
妻の着ていた服や下着に囲まれ、
妻が最後に残した留守電のメッセージを
繰り返し再生し、
思い出のプッチンプリンを食べ続ける。
犯人を殺すのは妻の命日・・・

ああ・・・悲しみが癒えていないのね・・・
えっ?5年?
もう5年もこんな状態なのね。
被害者にとってはあっという間の月日も
人間のクズのような犯人・木島(山田孝之)には
なんの変化ももたらさない歳月。
ひき逃げの際に同乗していた小林(綾野剛)も
その日付すら忘れている。

この木島って男が、もうどうしようもなくひどい奴。
よくぞここまで、ってくらいの人。
(山田くん、こんな役を演じる気持ちはどうですか???)
人を殺す寸前まで暴行しておいて、
飽きた、とコロッと変わる。
工事現場の警備員にひどいことをする。
自分がひき逃げした遺族に対して尊大な態度。

こんな奴は殺されて当然だ、と思ってしまう。

対するケンイチ・堺雅人。
汚れた作業着にべっちょりした髪。
曇ったメガネにどんよりした目つき。
全身からかもし出される負のオーラ。
演じる役によって全く違う顔を見せる
すごい俳優だ、やっぱり。

二人は結局、嵐の夜に対決する。
泥まみれでもつれ合いながら
包丁を振りかざして。
精魂尽き果てた取っ組み合いの果てに
何が残ったのだろう・・・

よくある映画のように
悪人・木島が改心するわけでもなく
(あるいは、少しくらいはケンイチの
気持ちを理解するようなそぶりすらなく)
ケンイチが晴れ晴れするわけでもない。

しょせん理解できない人間同士なのだ。
たぶん。

この映画の登場人物はみんな
孤独すぎて寂しすぎてかなしい。
他人と触れ合うこと、
わかりあうことを求めているけど
それができない。
普通にコミュニケーションできない。

ケンイチも木島も
ケンイチの義兄も
工場の従業員も
木島にくっついてる同僚も
警備員の女の子も
ケンイチの相手をする女の子も。
暇で寂しくてすれ違ってる。

なんとも重くてヘンで
奇妙な映画だ。

決意を胸に歩いていくケンイチの後姿に、
なぜだか涙が止まらない久保さん。
私もなぜだかそんな気持ちだった。

演技のうまい豪華な役者たちが
とことんリアル。
中途半端なチンピラな綾野さんも
絶対に裏がありそうな新井さんも
情けない田口トモロヲさんも
こんな人いそう。
ダメダメだ。みんな。

すごい映画だけど、もう一回見たい気がしない。
でも、ものすごく気になる。
いろんなシーンが脳裏によみがえる。

とにかく堺さんも山田くんもすごい。
役者やのう・・・。
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