「ジャーヘッド」 オレの明日はどっちだ？

ジェイク・ギレンホールが主演というので　興味があったんだけど、
なんとも感想が述べにくい映画、という感じなので迷いつつ見ました。
レディース・デーのシネコンだというのに、お客さんは７人ほど。
しかも、女子は２人だけだー。

監督は「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス。
湾岸戦争に従軍した若者、スオフォードの目から見た戦争は・・・

社会派ネタの感想を書くのが苦手な私には　
感じたことを上手く表現するのが難しい映画でした。

ちょうどこの主人公と同年代なだけに、不思議な感じ。
私が卒論の締め切りを前に、夜空に走るミサイルの閃光を
テレビで見ていた時、”大学に行く途中で迷って”入隊した青年が
鬼教官にシゴかれ、残してきた彼女のことばっかり考えて、
見えない敵の頭に銃弾を撃ち込む技術を磨いてた・・・。

「地獄の黙示録」を観て異常に盛り上がるワカモノたち。
そりゃ血の気も余るわな。
やっと砂漠に派兵されたと思ったら　そこでもまた、
防毒マスクをつけてアメフトなんかやらされるわ、
（「スター・ウォーズごっこ」には笑った）
彼女が浮気してないか気になるわ・・・。

じりじりと照りつける日差しと明日が見えない毎日に、
次第に気持ちも焦りはじめ、やがて始まった戦争。
油の黒い雨の中にスオフォードは何を見るのか。
この戦争で何を体験するのか。

後に残ったのは虚しさなんじゃないかなぁ・・・。
そんな簡単な言葉じゃ片付けられないんでしょうけれど。

こんなこと言うと不謹慎なのは重々承知なんですが、
戦争映画って、”ああ　今この映画を観ている自分は
平和な毎日を生きていてよかった”なんて　思ってしまうのです。

自分の手で敵の人間を殺しても、そして、殺さなくても
その瀬戸際に立った人間は　その後　どんな思いを抱いて生きていくのか
私には想像することしかできません。それもかなり平和ボケの頭で。

アメリカ人じゃないサム・メンデスは、
”ええかっこしい”なアメリカを
クールに外から見ている感じがします。

淡々と日記のように綴られていく兵士の日常で、
ドラマチックな事件や、仲間との泣かせて心温まる友情話が
織り交ぜられるわけでもなく、あくまで淡々と、です。
でも、つまらないことはなく、見入ってしまいました。
それは　スタイリッシュな映像と音楽のせいかもしれません。
これまた不謹慎ながら、打ち上げ花火のような銃弾や、
燃えさかる油田の風景が　美しく見えました。

ジェイク・ギレンホールは、内側から湧き出てくるエネルギーを
感じさせる人だと思います。
”男臭さ”むんむんで、この先も楽しみな俳優のひとり。
ええカラダしてますし（笑）
「遠い空の向こうに」から気になってる私としては
親戚の子を応援するような気持ちもチョットあります。

上官を演じるジェイミー・フォックスも、プロの軍人らしさ。

注目のピーター・サースガードは、砂漠なのに暑苦しくない、
不思議な空気を持った人だなーと改めて思いました。
体温低そうな感じ。爬虫類的な冷たさを感じるんだよなー。
（あ、キライじゃないんです、ピーター。むしろ好き。）

なんだか支離滅裂になってしまいましたが、
面白くないことはない、不思議な戦争映画でした。