木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

フェアウェイの悩める警部

2012-11-17 17:55:31 | 日記


『フェアウェイの悩める警部』バリー・コーク
『P・G・ウッドハウスの笑うゴルファー』P・G・ウッドハウス

貧弱なゴルフの知識もなんのその。
楽しく読了出来る本、2冊。

ユーモア溢れる文体にニヤニヤしっぱなし。
この2冊を読んでいると、
‘ユーモア’とは、限りなく‘サービス精神’に近いという確信に至る。

『フェアウェイ~』の主人公ストローン警部。
ゴルフ好きで腕前も確か。
最近、12世紀を舞台にした小説を出版したところ、
なんとベストセラーに。
印税をつぎ込み購入した愛車マセラッティの目立つこと。

なんとなく、浮世離れした登場人物たち。
行き当たりばったりな事件。
捜査だって、手際が良いとは言えず。
グイグイと読ませるタイプのミステリとは違いますが。
のんびり構え、人物描写を楽しみつつチビリチビリと読む本。
欲を言えば、切れ味をもう一振り、と言ったところか。


ウッドハウスの燦然と耀くユーモア。
こみあげる笑いに体をヒクつかせつつ。

ゴルフをめぐる滑稽なラブストーリー6編を収録した短編集。
いやぁ、ハッキリ言って、話は全部同じパターン。
にも関わらず、楽しめてしまう妙技。
あぁ、ユーモアは偉大なり。

会話は漫才、文章はユーモラス。
実に魅力的な名前を登場人物に与えるセンス。
洗練された機知というより、
身近な感覚としてのユーモアが読者を作家に近づける。
上流を愛着をもって描く庶民派作家の才能に感謝。
そう、結局のところ。
誰も悪い気はしないのである。

女性キャラに関しては、
若かりし頃のコメディ作品のキャサリン・ヘップバーンや、
「或る夜の出来事」のクローデット・コルベール、
キャロル・ロンバートの姿が目に浮かぶ。
ってあくまでも個人的に。