落武者姿の案内役さんによる、気の利いた説明で始まった上久堅公民館の人形劇。「竹田人形座 竹の子会」による。竹田人形は江戸時代に大阪で生まれた糸繰り人形。この日は4演目
①獅子舞…蝶々を追う獅子の動きが良かった。そして獅子にはちゃんと二人が入っている。人形の中に人形。
②さくらさくら…女性の舞が美しい。
③子どもの夢…子どもがくつろいでいると母親くらいの歳のきれいな女性が現れる。“江戸子守歌”が流れている。子どもが気を許すと女は被り物と着ているものをするりと脱いだ。被り物の下はなんと髑髏、着物の下は驚くことに骸骨。子どもは必死に逃げる、恐ろしい夢だ。骸骨はなお“スイングジャズ”にのって踊る。何とも糸繰り人形にあっている。「糸に止めがないんですよ、だから引っ張れば糸が抜けて着物はばらけるんです」と。
<知久氏の幽霊と連歌師>
④神之峰…「“神之峰”の初演はここ上久堅でやらなくちゃと考えてきました。“神之峰”何とも心惹かれる地名ですね」と館長さん。私もそれで来てしまった。戦国時代に神之峰城を構えた知久氏が、甲斐の武田氏に攻められて落城した史実を題材にしたオリジナル作品。江戸前期に城跡近くを訪れた連歌師が、知久氏の殿様が化けた幽霊と出会い、武田氏に攻められた際の籠城戦の話を聞くという筋書きだ。
<母子連れ>
「ちょっと待ってよお母さん、おばあちゃんちまだあ?」、「こことても景色いいわよ!」、「ぼくもう歩けないよ」、「こっちに来てみなさい、ここには昔お城があったんだね、そこに見えるが“ジタジタ峠”、おばあちゃんちはもうすぐだよ」。神之峰の地理や歴史を知る観客ばかりではない。ある程度知識のある人にとっても神之峰を説明する「母子連れ」の登場は素晴らしい演出だ。
<地元のお年寄りと連歌師>
「私は各地の旧所や名跡を訪ね、発句を読む旅を続けております」と連歌師がやってくる。地元のお年寄りと出会い、神之峰の場所を尋ねる。そしてひとつ歌を詠む。“ちはやぶる 神の峰より 吹く風に”。この発句にどのような脇の句がつきますやら、楽しみだな。
出会った地元のお年寄りが脇の句を詠む。
“古偲ぶ 夏の夜の夢”
「ちはやぶる 神の峰より 吹く風に 古偲ぶ 夏の夜の夢」
“夏の夜の夢”はシェイクスピア作の喜劇。メンデルスゾーンが作曲した音楽作品でもある。「神之峰」は竹の子会のメンバーさんによる脚本だそうです。人形劇ではBGMに太鼓音を使っていたが、太鼓にメンデルスゾーン曲のような雰囲気があった。「子どもの夢」もそうだったが、とても音楽心があると思う。
ウクレレスターズ 今後の練習予定(時間は14:00~16:30)
★8/22飯田市上郷公民館204号室
★9/4飯田市キャンバス(15:00~)、9/19飯田市上郷公民館206号室