夫と珈琲専門店に行きました。
近所にありながら行ったことがなかったのですが
それは、かつて私がこのお店を調べた時には、喫煙店だったからかもしれません。
現在は店内は完全禁煙で、コーヒーを飲まない私も
「もしかしたら紅茶もおいしいかも」と、訪ねてみる気になったのでした。
禁煙のお店では、体調のことを心配することなく寛ぐことができますし
コーヒーや紅茶の香りはもちろん、ケーキやランチの味わいも
タバコの臭いで台無しになることはありません。
かつての喫煙店だった臭いは、壁や調度から放出されているのでしょうが
私が自覚できる臭いはしていませんでした。
店を出る時、店内が禁煙であることのお礼を述べつつ
禁煙にした際のお話を伺うことができました。
こちらのお店を開業したのは38年前で、店内で喫煙でき、タバコの販売もしていたそうです。
経営者ご夫婦はタバコを吸わないので、ずっとお店を禁煙にしたいと考えていました。
38年前といえば、1979年のこと。
当時の成人喫煙率を調べてみたところ、男性73.1%、女性15.4%でした。
2017年現在の喫煙率が、男性28.2%、女性9.0%であることと比べても
相当タバコを吸う人が多かったことが窺えます。
禁煙にしたいと思いながら、来店するお客のほとんどが喫煙者だった場合
経営者や従業員に健康被害が出ない限り、売り上げが減ることを恐れる経営者は
なかなか禁煙に踏み切ることはできないようです。
こちらのお店が店内全面禁煙に舵を切ったのは、6、7年前だったそうです。
ちなみに、6年前(2011年)の成人喫煙率は男性33.7%、女性10.6%で
男性の喫煙率は開店当時の半分以下にまでなっています。
店内全面禁煙にした理由は、「時代の流れ」。
「時代の流れ」という言い方は、不思議な感じがしますが
タバコの害について、メディアなどを通じて周知され始めた時期なのかもしれませんし
来店客の喫煙率が、目に見えて低くなってきていると感じた時期なのかもしれません。
それでも、禁煙にした当初は、喫煙者の常連客から
「タバコとコーヒーはセットなのに、それができないなんて…」
と苦情を言われ、外のテラス席でタバコが吸えるようにしたそうです。
私が
「喫煙者のお客から苦情が出たとしても、タバコを吸わないお客が増えたのでは?」
と尋ねると、首を傾げられたので、実感がないのかもしれません。
また
「禁煙にしたことで、タバコを吸わないお客からありがたがられたのでは?
私はタバコで具合が悪くなる病気なので、禁煙のお店は本当にありがたいのですよ」
とお話ししても
「いやー、そんなこと。それより、タバコを吸えないのかって言われると…」
と、喫煙者からの苦情を、強く感じていらっしゃるのがわかりました。
ほんの少しのやり取りでしたし、あくまで私の印象でしかありませんが
飲食店経営者にとって、いかに常連客をつなぎとめるかが大切で
来店客のタバコによる健康被害に関しては、あまり重要視していない感じでした。
「時代の流れ」は、タバコの害が立証されてきたことより
来店客における喫煙率の低下
あるいは来店客の喫煙者と非喫煙者の比率の逆転を実感した時期があったのだと思います。
そして、「タバコを吸わない人こそ意思表示を」でも書いたように
非喫煙者は喫煙者と比べると、お店に対してタバコに関する行動を積極的にとらないので
お店の側としては、積極的に意思を表明してくる喫煙者のお客の方が多いと勘違いをして
「やっぱりタバコを吸えた方が良いのかな」「禁煙にしたらまずいのかな」
「禁煙より分煙にした方がお客が来るんじゃないか」と、考えてしまうようです。
また、禁煙にしたことによる謝意よりも、禁煙にしたことによる苦情の方が
経営者にとっては、後々まで記憶に残ることのようなのです。
それを避けるためにも、タバコを吸わない私たちが
お店に対して、「禁煙で良かった」とか、「安心して食事ができた」など
積極的に声を上げて、禁煙店を支えていくことが大切です。
私はお店の反応を知りたいので、自分がタバコを吸わないと言わずに
「こちらのお店は禁煙ですか?」とか「禁煙にされた理由は何ですか?」などと尋ねます。
私がそのような質問をしたお店で、胸を張って
「はい。うちは禁煙です」とか「子供も来るからね、禁煙なんだよ」
と、即答してくれたお店はたった2軒しかありませんでした。
たいていのお店が
「すみません」とか「申し訳ありません」と、一言目はおっしゃいます。
禁煙のお店が、胸を張って「はい。禁煙です」と言えるように
そして、「禁煙にして良かった」と思えるように
タバコを吸わない私たちが、お店の方に伝えていきましょう。
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自分も禁煙であるか確証持てない店舗で「禁煙ですか?」と訊くと、
「大丈夫です」か「すいません」のどちらかが返って来ることに違和感を感じておりました。
一体何が大丈夫なんでしょうかねw
(無言で立ち去ります。)
今回その理由が分かったので、これからは「禁煙でよかった。安心した。清潔で助かる。」などと伝えるようにしようと、思いました。
ありがとうございます。
禁煙のお店に謝意を伝えることは誰にでもできますし、謝意を伝えた方も、謝意を言われたお店も、双方がうれしくなりますね。
もしかしたら、謝意を伝えられたお店の経営者は、禁煙にしてよかったと思うと同時に、同業の喫煙可能な店の経営者に、禁煙店の良さを話してくれるかもしれません。