たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★次、涅槃衣を着るのは…

2023年01月28日 | おはなし
師匠が遷化した時に限り弟子が着用する
涅槃衣(ねはんえ;※注)という法衣があります。



 2列目中央に立つ現住職が着ているのが涅槃衣です。


昨年8月、先代住職が逝去した直後の荼毘式(だびしき)にはじまり、
9月の四十九日忌、11月の本葬儀と、3回も着用しましたが、
今後、私がこの涅槃衣に袖を通すことはありません。


次に涅槃衣を使うことになるは私が"三途の川"を渡る時。
私の弟子が遺弟(ゆいてい)として着ることになるでしょう。
その時がいつになるのかわかりませんが、きれいに保存しておくために、
法衣店さんに、アイロンを当てて仕付け糸をつけてもらうことにしました。





法衣を引き取りに来た職人さんが法衣のヒモを取り上げて
縫い付けている糸をほどくと、紙片が出てきました。

  「平成2年 55000」

と書かれていて、これは法衣が作られた年と、代金なのだそうです。
つまり、先代住職が今の私くらい(50歳)の時に作ったもののようです。





※注 涅槃衣を誰が着用するかは、諸説あるようです。

  ①遺された弟子が着る   →代々着用されていく

  ②亡くなった師匠が着る →涅槃衣もともに火葬される。

  ③師匠と弟子が着る     →同時に2着必要で、師匠の衣は火葬される。

地域性や、師匠からの言い置き等があるみたいです。
大龍寺では、先代住職の言い遺しがあったことから、
①遺された弟子が着る、ということで、勤めさせていただきました。



僧侶として、住職として、後世に残すべきものは、
お釈迦さま以来不断に繋がってきたこの仏法、
そして、多くの檀信徒のよすがとなるべき大龍寺。
それをずっと守り続けてきた歴代住職のおもい。

それらをまるごと象徴するもののひとつとして、
この涅槃衣を代々受け継いでもらえればと願っています。
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