怒濤のようなゴールデンウイークが終わって、ほっと一息ついて、
その疲れも靴ずれも癒えた頃、また怒濤がやってきました。
屋根裏にムクドリが巣を作って、子育て中です。
そこから、ヒナが落ちてきました。
こういうとき、獣医さんや都道府県の担当者に連絡すると、「自然のままに」とは、よくある話です。
猫やカラスや蛇が見つければ、彼らのお腹を満たして、命をつなぐでしょう。
では、それが人間だったら?
無関心、見て見ぬふり、自分の物にしたい所有欲、助けたい等々、
いろんな気持ちも、それを持つ人間の存在もまた、自然の一部ではないかと思うのです。
私は鳥が好きで、鳥らしく生きてほしいと願う人間なので、
そんな人間がヒナを見つけたので、なんとか巣に戻すことにしました。
とはいえ、巣は二階の三角屋根の頂点の内側。その下は絶壁。どうしたものか。
ヒナは、羽も生え変わっていて、少し飛べそうなくらい育っています。
とりあえず、地面から手の届く高さの木の上に、移動させました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/fb/94e100315eb403646f4338bc1d2a9006.jpg)
1時間くらい様子を見ていても、飛び立ちそうにありません。
巣の手前にある電線まで送り届けたら、飛ぶかな?
一階の屋根に上って、物干し竿をその電線に伸ばしてみます。竿は届きました。
が、竿は太すぎて、ツルツルしていて、ヒナの足でつかめません。
次に長いもの。9尺の立てすはどう?
うんせ、うんせ、と屋根に運んだけれど、電線に届かない。
剪定して乾かしておいた2mくらいの棒は、ヒナが止まりやすい質と太さです。
ヒナを先端にのせて、屋根の端から、棒を持った腕を伸ばして、届いた!
でも、ヒナがなかなか電線に移動しません。
親鳥が、ガーガー騒ぎながら、近くで見守っています。
近くに住むスズメ夫婦まで、何事かと見ています。
その中で、「早く移動して・・・」、私の腕がぷるぷるしてきました。
すると、ヒナは、巣とは反対方向に飛んで行ってしまいました。
・・・逆・・・![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/namida.gif)
母鳥が後から追いかけて行ったので、あとは任せることにしました。
もう、うちの敷地ではないから、どうすることもできません。
母鳥に誘導されて帰ってくるかもしれないし、
茂みに落ちて残念なことになってしまうかもしれない。
考え出したら切りがなくて、また自分を責めてしまいそうになったので、
「精一杯、できることはした」とつぶやいておきました。
また、うんせ、うんせ、と立てすを下ろし、片づけて、
「ふー、やれやれ」
と思ったら、次の日、またヒナが落ちていました。
また!? おとん、おかん、頼むで~
昨日とは違う、もっと幼いヒナで、頭の上にまだ産毛が残っています。
もちろん、飛べそうにありません。
うちのにゃんこに見つかると危険なので、洗濯かごに入れて、
ネットで情報収集して、ごはんをあげました。
幸い、畑にはヨトウムシがうようよいるので、いいごはんになりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/e9/1e4c792d39b7588a60b6aa928a6429bb.jpg)
昨日と同じ方法を試してみましたが、棒の先から落ちてしまいました。
やっぱりまだ全然飛べないようです。
庭の松の木に巣箱を設置して、「別宅」で親鳥に子育てしてもらうことにしました。
家にあった材料で、巣箱を作りました。
ノコギリ、ねじ回し、トンカチ、普段使わない筋肉を使って、明日絶対に筋肉痛だろうな。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/b4/49b6b88dbf1ee9d07a4f725e76eef089.jpg)
材料は、贈答用梅干しの箱3つ。適当な、短めの釘とねじ。
調べてたら、ムクドリ用の巣は、入口が直径5.5cmだそうで。
丸く切る道具がないので、真ん中の箱の壁を5・5cm切りました。
出来上がってから、いきなり箱にヒナを入れても、親鳥がそこにヒナがいると認識してもらえるかわからないな、と思ったので、木の入れ物をまず、設置しました。
これも、どう置いたら水平になるのか試行錯誤して、なんとかできました。
ヒナをそこに入れると、ヒナが勢いよく鳴いて、木の枝を移動しながら親鳥を呼びます。
ヒナを探していた親鳥は、ほどなくヒナを発見してくれました。
よかった、と思ったら、ヒナが巣に向かって飛ぼうとして、地面に落ちてしまいます。
ヒナがじっとしていないなら、「別宅で子育て」作戦は成立しません。
巣箱は、せっかく作ったけど、使い道がなくなってしまいました。
再び、どうしたものか。
家にある一番長いはしご(祖父作の木製。重い)を、うんせ、うんせ、と運んできましたが、やっぱり1階の高さまでしかありませんでした。
また、うんせ、うんせ、と元の位置に戻しました。
そうだ。物干し竿の先に、2mの棒をくくりつけて、巣に戻してみよう。
ひもでは不安定だから、ガムテープでぐるぐる巻きにして。
試してみると、1階の屋根から巣に届く!
ヒナを棒の先に乗せて、落とさないように、手を持ち替えるときに揺れないように、
慎重に、慎重に。
物干し竿って結構重い。けれど、ゆっくり、ゆっくり・・・届いた!
またヒナがなかなか移動してくれません。怖いものね。
頼む・・・また腕がぷるぷるしてきた・・・
そしてついに、ヒナが梁に移動してくれました。
まだおしりが見えていて、そこがどんな構造でどう巣を作っているのかわからないけど、あとは親鳥に任せることにしました。
しばらくするとおしりも見えなくなり、ヒナも落ちてこなくて、巣に戻れたようです。
ああ、よかった・・・
疲れた。他のことは、人間のごはんも、そっちのけ。
かわいかったなあ。
けれど、こんな「不幸」は手放したいな、と思いました。
1回巣から落ちたヒナは、また落ちる可能性があるらしいです。
翌日、母鳥が地面の方を見ながら、ガーガー騒いでいるので、もしや、と思ったら・・・
やっぱり、いた! またまた落ちてた!
拾ってみると、昨日と同じくらいの成長度だけど、別のヒナのよう。
顔や毛色が違う。3羽目・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/6d/359ca7ff9b80e5da47b62e85322c407e.jpg)
またとりあえず洗濯かごにいれて、余っていたヨトウムシをあげました。
虫をつかんだ箸をもっていくと、ぱくぱく食べてくれます。かわいい。
昨日成功した方法を、再び試しました。
けれど、ヒナが巣の手前で飛ぼうとしたり、梁に移動してもまた落ちてきたり、なかなかうまくいきません。
雨が降ってきて、日が暮れてきたので、翌日試すことにしました。
風と雨と暗さで、私が屋根に上るのが怖いし。
ごはんは大事なので、雨の中畑に出かけ、ヨトウムシを取りました。
そろそろ虫を見つけるのも難しくなってきました。明日こそ、必ず。
と思っていたのですが、翌朝、ヒナは亡くなっていました。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_naki.gif)
野生で生きられない子だったのかもしれません。
野生の動物は、そういう子の世話をしない場合があると、聞いたことがあります。
思い返すと、拾った時からしんどそうでした。写真も。
それでも、一生懸命ごはんを食べて、一生懸命生きようとしていました。
よく頑張ったね・・・
短い間だったけど、かわいい姿に、人間の心はほっこりしたよ。ありがとう。
ヒナが亡くなった朝、親鳥が必死に鳴いてヒナを探していました。
その様子には心が痛みました。
半日探して返事がなかったので、残りのヒナの子育てに戻っていきました。
もう大丈夫でしょう。(大丈夫であってほしい。私の願望)
そうして、ようやく、怒濤が終わりました。
ブログを書く時間と余裕もできました。
ムクドリ、私、お疲れ様。
ブログを書けてよかった。