21日連休の土曜日を利用して京都に行ってきました。
はじめは22日の予定だったのですが、お天気を見て21日にしました。こんな時はJR西日本お出かけネットは便利です。なにしろ切符を受け取るまでは何回でも乗車予定の列車を変更できるのですから、しかも無料で。
朝8時15分の金沢発サンダーバードで京都には10時37分着。学生時代を京都で過ごした私ですから、勝手知ったる京都の街と言いたいところですが、40年も経つとまるで様子が違います。光陰矢の如しとはよく言ったもので、あの頃は、そこここに普通に存在している超有名社寺仏閣に知識も関心もなく、ましてや紅葉に心を動かされるなんてまず考えられず、もっぱら人間様ばかりが興味の対象でした。まさか、お金を払って電車に乗ってわざわざお寺にお参りし、春は桜、秋は紅葉をめでに出かけるとは想像だにしていませんでした。人生とは奇異なものですね。そうはいっても、当時からそういった所に目を向けていた友人がいましたから、単に人間的資質の差かもしれませんね。
いつもは渋滞を避けるために鉄路で回れるところを選ぶのですが、今回は東福寺から泉涌寺で紅葉を楽しみ、智積院で長谷川等伯の障壁画を、そして国立博物館で開催中の「琳派 京を彩る」という企画展を鑑賞という計画なのでバス利用です。京都駅を出る208系列のバスには、となりの清水寺方面行の長蛇の列を尻目に待つことなくすぐに乗れ、しかも座ることが出来、幸先のいいスタートでした。
紅葉の超名所・東福寺は案の定大変な人でした。人混みに紛れながらですが並ぶことなく入園できたのですが、肝心の紅葉がもう一ついやもう二つという感じで赤くない、何年か前に感動させられた通天橋から見下ろした時のあの赤さがないのです。
今年の紅葉は10年に1度の不作(やはり紅葉の名所・真如堂のHPより)らしいのですが、まさにその通りで、こんなんちゃう、こんなはずではと思いながらに撮ったのが掲載の写真です。
他もこのくらいなのかなーと不安を感じながら東福寺をあとにし、お隣といった感じの泉涌寺に向かいました。東山通りのバス停泉涌寺道からの長い長いゆるやかな登り坂を、日ごろの運動不足を嘆きながらようやくにして登り切り、泉涌寺の一番の特徴である山門から仏殿に向かう下り坂に差し掛かったところ、赤くない、紅葉が全くといっていいほどないのです。
写真で何度も見ていますので、仏殿を見下ろすという特異な光景には驚きはなかったのですが、真っ赤に紅葉した木々を眺めながら下っていくという想像が、まさか彩の乏しい中を歩く羽目になろうとは思っていなかったです。
がっかりしながら坂を下り、仏殿に足を踏み入れた途端に目に入ったのは狩野探幽の「白衣観音像」、天井に目をやりますと狩野山雪の「蟠龍図」と、桃山から江戸を通じての日本画の最大派閥・狩野派の大立者二人の作品があるではありませんか。今度の旅は、最近読んだ直木賞作品・安部龍太郎の「等伯」に触発され、前々から気になっていた郷土の大芸術家・長谷川等伯の作品を見るというのが大目的ですので、安部の「等伯」にも最大のライバルとして登場する狩野永徳の、その孫の探幽の作品を目にするとはなんという幸運でしょうか。
東山通りまでの戻り路の長い長い下り坂も、タクシーを利用しようかと思うほどに足に来ていたのですが、足取りが少し軽くなったような気がしました。
帰宅してもう1度確認しましたところ、山門からの下り坂は常緑樹が多く、もともと紅葉はそれほどでもないようで、泉涌寺での紅葉とは御座所や霊明殿あたりが見どころだそうです。
(その2に つづく)