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東武佐野線沿線CITY-GUIDE 〔カテゴリーからお入り下さい〕

こならの森171号

2008-06-08 | 101号~200号
       ■こならの森171号■2002.7発行
表紙 「 あじさいの花」
C・o・n・t・e・n・t・s

■こならの森8月号■

結婚しました。…………………………4
ヤンバルのー子の青春レストラン……5
ドライブガイド「大滝村・栃本 」 …6
JCジャーナル…………………………14
風の独り言………………………………16
書評/絵本紹介…………………………17
新釈・現代国語辞典……………………18
新・エッセイ 三鴨の窓辺から………19
各市文化会館情報………………………20
インフォメーション……………………22
 [映画・CD・ビデオ・コンサートetc.]
 イベント情報/協賛店マップ

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【本文抜粋記事】

風の独り言
極東ロシア紀行

 ロシアの旅も2日目をむかえ、今日は大型ヘリコプターに乗ってシベリアの少数民族ナナイ族の村を訪問することとアムール河のクルーズが予定されている。
 朝食後バスに乗り近郊の小型機専用飛行場に向かう。わずかに1時間のフライトだが不思議なことにパスポートのチェックがある。そして上空からの写真撮影は禁止だそうだ。ロシアは変な国だ。乗せられたヘリコプターは思った通りかなりの中古機で、15人乗りの座席の脇に大型のドラムカンが据えられている。予備の燃料を入れるらしい。まさしくこのヘリは少し前までは軍用ヘリではなかったか。本当に飛んでくれるのか、心配になった。それでも、ツンドラの大地と悠久のアムール河を眼下に500mの上空を飛行する。
 しかし、ナナイ族の村に着いても着陸地点が見当たらない。どこに降りるのかと思っていたら、なんとアムール河の川岸で泥の部分がちょっと出ている所に2、3度やり直した後、降りた。日本では考えられないアクロバットだ。機外に降りて見たら後輪はめり込み、後部は水の上に出ていた。
 少数民族ナナイ族の村は予想に反し、小博物館になっており民族資料館、昔の跡と言ったほうが正しい。つまり生活の匂いがしない。少数民族も永い時間の流れとともにロシアに同化して、昔のまんまの生活をしている人はいないらしい。
 今回はヘリコプターに乗れたが、ロシアではお金を出せば何にでも乗せてくれるらしい。先日も20億円出してロシアのロケットに乗り宇宙旅行をしてきた人が話題になった。インツーリストのガイドに聞いてみた。
「今度来た時はジェット戦闘機に乗りたい。」
「手配してみる。」
ロシアは本当に変な国だ。
 その又翌日、ハバロフスクのごく普通のご家庭を訪問した。家庭料理をご馳走になり、1時間ほど話をさせて頂いた。名前はクジノフさん。奥さんと二人。64才。年金暮らし。子供さん一家はウラジオストックに住んでいるという。年金は月に米ドルで40$(5200円)10階建てアパートの5階に住み、部屋代は5000円だそうだ。アルバイトをしないと生活が出来ないと言う。この家庭訪問ツァーもアルバイトらしい。いろいろ話をしたが最後に北方領土の返還問題について聞いてみた。
「クリル諸島は元来日本の領土と思うがロシア人は返還する考えはないですか。」
「いや、クリル諸島はロシアの領土だ。日本に返すことは将来にわたってないだろう。」
「なぜですか。」
「本来領土とは戦争によってのみ変わるものだ。だから今はロシアの領土だ。」
一瞬自分の顔がこわばるのを感じた。
「話合いによって返還する気はないのか。」
「ないだろう。」
「それでは又、戦争をしなければいけない事になる。」
「……。」
 ヨーロッパの永い歴史の中で獲った獲られたの戦争の明け暮れを経験した民族の考え方なのだろう。
「極東ロシアの人々にとって、クリル諸島は日本に返還された方が幸せだろう。なぜなら日本人全員がロシアに感謝する。ロシア人に対する考え方を変え、日本の資本が大量にロシアに流れ、皆さんの生活が今よりはるかに楽になるでしょう。」
「領土とはそんなに簡単なものではないでしょう。」
 帰り際に握手をすべくさし出した手が形式的で力を感じられなかった。
 改めて問題の難しさを思い知らされた。
      次回は「サハリン、タラナイ川の魚釣り。」


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