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東武佐野線沿線CITY-GUIDE 〔カテゴリーからお入り下さい〕

こならの森183号

2008-06-21 | 101号~200号
       ■こならの森183号■2003.7発行
表紙 「 田沼蓮の花」
C・o・n・t・e・n・t・s

■こならの森8月号■

結婚しました。……………………4
青春レストラン……………………5
「レンガつくりアーチ橋」………6
JCジャーナル……………………14
風の独り言…………………………16
書評/絵本紹介……………………17
三鴨の窓辺から……………………18
各市文化会館情報…………………20
インフォメーション………………22
 [映画・CD・ビデオ・コンサートetc.]
 イベント情報/協賛店マップ

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【本文抜粋記事】

日本の近代化遺産
レンガ造りアーチ橋


■日本の近代化遺産
 180号に引き続き今回は、邑楽郡にあるレンガ造りトンネル(正確にはアーチ橋)を紹介。前号では今までのところ、佐野市内にはレンガ造りトンネルは一つしか確認できなかった。伊勢崎線には2つほどが現存しているというので、むかってみた。利根川を挟んでほぼ同位置にアーチ型トンネルがある。
 まず邑楽郡側の明和町へ。本当に土手の直ぐ間際にあった。複線化などにともなって増築された物であろう、西側の入り口はコンクリート造、東側は建築当時のレンガ造りである。直ぐ近くに、川俣事件発祥の地跡がある。川俣事件勃発は1900年。
 東武伊勢崎線は1902年に、加須-川俣間が開通しているので、このトンネルが作られた時期は事件とほぼ同時期である。もしかしたら、事件勃発時も職人がレンガを積んでいたかもしれない。そう思うと、当初の予定には無かったが立ち寄ってみたくなった(後述)。

■川を渡って反対側のトンネルへ。
 デザイン的には同じ造りであるが、邑楽郡側の方は、その上に遙か高くレンガパネルが張られていて巨大なトンネルのように見える。その前後の鉄道橋もレンガが使われている。直ぐ近くに、またもやレンガのトンネルを発見かとむかってみると、レプリカだった(葛西用水取り入れ口跡)残念。

■明治の貴婦人
 あらためて、富岡町のレンガトンネルを、見てみる。よくもまあ、こんなところに(失礼)日本の近代化遺産が存在する物だと感心してしまう。ひいき目ではあるが、今まで見てきたうちでも佐野のレンガ造りトンネル(アーチ橋)が一番優雅で気品があるようにも思う。レンガ造りトンネルの貴婦人だ。邑楽郡のものもそれなりに趣はあるのだが、少し大柄か。羽生市の物は、少し寂れていて朽ち果て乾燥したイメージだ。ペンキで落書きされている点もぞんざいに扱われているのだなと残念に思ってしまう。
 ■その他のレンガ造り構造物
 前回と今回の取材中には、トンネル以外のレンガ造り構造物を多く発見した。それから、こならの森168号で以前に紹介したレンガ造りの塀も気になりだした。そして、東武佐野線葛生駅近くにあるレンガ造りアーチ橋。よくよく見ると、同じレンガを使っているのではないのだろうかと思えるほど、色使いやら時代の趣などが似通って見える。
 今までなぜどうしてだろうと思われたことが、水系を念頭に置いて推測するといとも簡単につながってくる。百年前を考えると、今で言うところの高速道路よりも輸送能力や利便性があったとも思える。下りは水の流れという力を利用したエコ・エネルギー。動力などハナから付いていない。
 水運を利用した、レンガの運送が施工を容易にしたとも考えられる。ひとつ水系が違ってしまうと、その間、川と川とを何らかの方法、陸運などで運ばなければならない。今に置き換えると、新幹線で運んできた物をトラックに積み替えるほどの煩わしさと、同時に発生する経費であろうか。
 確かに館林でみたレンガ造りの塀。それから、加須市でみた我が町の文化遺産ともいえるレンガ造りの塀(こならの森168号参照)など、どれも利根川水系である。川という線でつながっている。
 葛生のレンガ造り眼鏡橋と富岡町のトンネルは同時代の物だと推測される。東武線の一連の架橋の延長線で制作された物だろう。つまり、コンクリート構造にレンガパネルを張り付けるという、近代的「エセ」レンガ造りのようには一見して思えないからである。年季の入ったレンガの枯れ方は、時代がかっている。
 それから佐野市富岡町のレンガ橋、葛生のレンガ造り眼鏡橋、そして邑楽郡のレンガ造りアーチ橋、いずれもお寺さんが近くにある。葛生眼鏡橋はお寺への架け橋でもある。ある意味では、当時豪華で最新鋭の技術だったレンガ造りは、参拝者に配慮した物だったということだろうか。
 そして特殊な存在としてのアーチ構造。その二つがかさなる先には何があるのか。次回は「レンガつづき」最終章。


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