弁理士近藤充紀のちまちま中間手続24
【請求項10】請求項1~9のいずれかに記載の方法によって得られた・・・触媒。
拒絶理由通知
新規性・進歩性 対象は請求項10のみ 上位クレームの方法により製造される物
意見書
引用文献1には、活性炭担体にルテニウムとアルカリ金属等とを担持してなるアンモニア合成触媒であって、活性炭にルテニウムを担持後、水素還元処理を行って得られた触媒が記載されている。
これに対して、本願の請求項10は、本願請求項1~9のいずれかの・・・触媒の製造方法において、不活性ガス雰囲気での熱処理を300℃で行うことによって得られたものである。
引用文献1の触媒と本願請求項10の触媒との・・・合成の反応速度を単純に比較することはできないが、本願明細書の段落[0023]を参照して明らかなように、引用文献1の触媒に相当する本願比較例1と本願請求項1~9の方法を行うことによる実施例1とを比較すると、互いに遜色のない・・合成活性を有している。
さらに、本願明細書の段落[0024]~[0025]および図1には、本願請求項1~9による処理を行った場合においても、さらに不活性ガス雰囲気での熱処理を300℃で行ったものが、格段に優れたアンモニア合成活性を有することが示されている。
本願実施例1では、本願明細書の・・・に示されるように、110℃で不活性ガス雰囲気下の加熱処理を行っており、図1を参照すると、2mmol/g/g(触媒)程度の活性を有している。実施例1と比較例1との比較から両者が同等の活性を有していることを・・・で示したので、引用文献1の触媒も2mmol/g/g(触媒)程度の活性を有するとみなすことができる。これに対して、300℃の不活性ガス雰囲気下で処理を行った場合には、図1に示されるように、8mmol/g/g(触媒)以上の活性を有しており、これは、実施例1の場合の4倍以上に相当する。
引用文献1には、ルテニウムを担持した活性炭に対して水素還元処理を行った触媒が記載されているが、その製造方法は本願発明の製造方法とは全く異なっており、まして、300℃の不活性ガスで加熱処理を行うことによって、格段に・・・合成活性が向上した触媒が得られることは記載されておらず、そのような触媒が得られることを予想することもできない。
したがって、本願請求項10の発明は、新規性および進歩性を有する。
本願の請求項10は、本願請求項1~9のいずれかのアンモニア合成触媒の製造方法において、不活性ガス雰囲気での熱処理を300℃で行うことによって得られたものである。
その製造方法は本願発明の製造方法とは全く異なっており、まして、300℃の不活性ガスで加熱処理を行うことによって、格段にアンモニア合成活性が向上した触媒が得られることは記載されておらず、そのような触媒が得られることを予想することもできない。
拒絶理由
特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない
補正後の請求項10についても、平成17年10月12日付け拒絶理由通知書に記載した理由1、2は維持されることに留意されたい
意見書
本日同時提出の手続補正書により、請求項10を削除した。
特許査定
プロダクトバイプロセスクレームに対する新規性・進歩性の拒絶理由
今なら、36条6項2号の拒絶理由が来るところ。
製造方法の相違を主点として対応しているが、方針自体が間違っている。
「格段に・・・合成活性が向上した」触媒は、引用文献から得られないことをきっちり説明したうえで、優れた効果は、構造・特性の面から説明できない・・・からの方法により特定するほかなし・・・の流れにもっていくべきだったかな。