弁理士近藤充紀のちまちま中間手続27
【請求項1】砒素で汚染された土壌を、酸化剤を含む洗浄液およびアルカリを含む洗浄液で順次もしくは同時に洗浄することを特徴とする砒素汚染土壌の浄化方法。
拒絶理由通知
新規性・進歩性
引用文献1には、砒素汚染土壌を浄化するに際し、酸化剤とアルカリを併用することが記載(特に段落【0019】参照)されている。そして、酸化剤とアルカリを同時に作用させること、洗浄後に中和処理をすること、洗浄温度を限定することは、当業者であれば必要に応じて適宜なし得る事項に過ぎない。
手続補正書
【請求項1】 3価及び5価の砒素で汚染された土壌を、酸化剤を含む洗浄液で洗浄し、3価の砒素を5価の砒素に変化させ、次に、アルカリを含む洗浄液で洗浄し、5価の砒素のアルカリ金属塩とすることを特徴とする砒素汚染土壌の浄化方法。
意見書
引用文献1には、酸、アルカリ、酸化剤、キレート剤の少なくとも1種を用いる砒素汚染土壌の浄化方法が記載されている。
しかしながら、引用文献1では、実施例1においてアルカリ処理を行ったもののみが記載されている。
したがって、引用文献1には、「3価及び5価の砒素で汚染された土壌を、酸化剤を含む洗浄液で洗浄し、3価の砒素を5価の砒素に変化させ、次に、アルカリを含む洗浄液で洗浄し、5価の砒素のアルカリ金属塩とする」ことは開示されていないので、本願発明は新規性を有する。
また、引用文献1に基づいて、本願発明の上記構成に想到することは容易ではない。よって、本願発明は進歩性も有する。
拒絶査定
引用文献1には、該通知書でも指摘した段落【0019】に、ヒ素が汚染物質の場合にはアルカリ剤で処理を行うが、ヒ素が3価の形態の場合には酸化剤で予め処理を行うことでヒ素を5価の形態と変化させてアルカリ剤による除去率が向上する旨記載されている。
本件については、有効な対応策がなかったため、非常に難しいものとなった。「引用文献1では、引用文献1では、実施例1においてアルカリ処理を行ったもののみが記載されている」点をもった追究すればよかったかな、とも思うが。。引用文献1の検討が十分でないので、もっと深く読み込めば、なんらかの他の方法はあったかもしれない。