コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

おじさんは嬉しい。

2008-12-22 23:26:03 | 
最近“コンテンポラリー”づいていたので、通し狂言を観たのは本当に久しぶり。
しかも、明治26年初演作の復活で、遠山の金さん。

このハチャメチャぶりは、古典だけれどポストモダン。

近現代演劇を観て、あれこれ屁理屈こね回しながらここに書く日々が続いていたんだけれど、久々にこういう芝居を観ると、自分が本当に好きな物がなんなのか、改めて自覚させられる。

正直の所、歌舞伎を一番観ていた大学院生時代は、教養を高めるというか、話を知ることが目標のように片っ端から観て、何が面白いのかよく判らなくなっていたところがある。
静岡に来てからも、しばらくは学生を連れて出かけていったんだけれど、今はそう言うことも殆ど無くなって、たまたま静岡で公演があれば出かけていく程度。

それが、今回は縁があって、ご招待いただいたこともあって行ったわけだけれど、本当に観て良かった。
これが、観たい芝居なんだと思ったよ、わたしは。

ばかばかしい程閉じた人物関係、様式的な動きと台詞。
先行作のほどよい引用。
楽屋落ちのくすぐり、あり得ない当て込み。

人生に対する洞察も何もありはしない。
ただ、仕掛の愉しみ、見せ方の工夫。
それが、“祝祭”。


菊五郎親子が似てきたなぁ、とか、松になった辰之助君が、相変わらずぷくぷくしてるけど、良い役者になったなぁ、とか。
そう言うことでちょっと感動できる世界って、いいよねぇ。
客席のオジサンもオバサンも、あれは誰の息子で、とか。

いや、ホント。
先代の辰之助ファンだった私としては、本当に久しぶりに観た松にちょっと落涙しそうになった。

ここまで大まじめにばかばかしい芝居をしてくれれば、みんな幸せになれる。

ずっと文楽贔屓できた私だけれど、歌舞伎、やっぱり好きなんだなぁ、と思えたことが、またなんだか幸せな一日でありました。


重ね重ね、M本さん、有難うございました。

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