資生堂企業資料館、企画展「うつす-鏡-」(期間終了後はこちら)関連で、大妻女子大学大学非常勤講師 横田尚美氏の講演会、『100年前のファッション雑誌が映すお洒落心』を聴講。
資生堂の研究紀要、『おいでるみん』23(2010.3)所収の「『ガゼット・デュ・ボン・トン』が映す鏡と女性のファッション」に沿った話だが、カラー図版を多用してかなり踏み込んだ“解釈”を披露されたので、非常に楽しく有意義な講演会だった。
*今回“鏡”は、資生堂の化粧文化研究会の共通テーマだったようで、他にも興味深い論文が掲載されている。
「ガゼット・デュ・ボン・トン」と言うファッション誌は、フランスで、1912~25の間(戦争中休刊)刊行された、月刊誌らしい。
フランスのファッション誌は18世紀後半には存在したが、挿絵は銅版画に手彩色だった由。19世紀に印刷技術が進化し、20世紀初頭のこの雑誌はポショワール(ステンシルプリント。カッパ刷り)のカラーイラストが多用されている。
現在のグラビア誌のようなもので、図版面をファッションプレートと呼ぶ(今検索したら古書店のリストに図版が載っている)。
横田氏は、この、約十年分の雑誌の図版(本文だけでなく、広告面も含む)から、今回の展示に関わる鏡の登場する絵を抜き出し、そこに込められた意味を分析する。
この雑誌の刊行期間が短いことは、研究対象の量として非常にありがたい。それだけでなく、刊行中に第一次世界大戦が挟まっていることで、ヨーロッパのライフスタイルが激変した時期のファッションを映す事になったという、なかなか興味深い資料だ。
レンピッカがロシア革命を逃れてパリに来た頃。
コレットの「シェリ」は1920年。
シュルレアリスム宣言が1924年。
ちなみに、1912年は、大正元年。
つまり、この雑誌は、ほぼ大正時代に刊行されたことになる。
これだけ見ても、なかなか興味深い時代の風俗/アート資料だと言うことが判る。
服装の変化、ライフスタイルの変化が、戦争をはじめとする社会の変化と切り離し得ないこと。
電灯や映画や刊行物や……。
オートクチュールと既製服と……。
ドレッサー、姿見、手鏡、コンパクト、そして鏡面と化したショウウインドウ。
化粧道具の変化や携帯性等々、雑誌の図版や通販カタログを駆使してこういう研究が出来るというのは、風俗史研究の王道とも言えるんだけれど、江戸の絵を読む作業をしていながらしっかり見てこなかった自分に改めて気づかされる。
論文より踏み込んだ箇所には更に検証を要するところもあったようだが、図像学的研究の見本のような講義でした。
色々知りたいことも増えたけれど、勉強になった。
今回の講座では“おまけ”で、江戸時代の鏡を実際に手にする貴重な体験も。
そして、全く予想していなかった資生堂の広報映画『銀座と花椿』の上映(前半部のみだったらしい)は、かなりの衝撃度。
取りあえず出演者の豪華さに目がいくが、表現技法としても秀逸だし、もちろん風俗資料としても貴重。
これは是非、解説付き上映会をお願いしたい。
資生堂の研究紀要、『おいでるみん』23(2010.3)所収の「『ガゼット・デュ・ボン・トン』が映す鏡と女性のファッション」に沿った話だが、カラー図版を多用してかなり踏み込んだ“解釈”を披露されたので、非常に楽しく有意義な講演会だった。
*今回“鏡”は、資生堂の化粧文化研究会の共通テーマだったようで、他にも興味深い論文が掲載されている。
「ガゼット・デュ・ボン・トン」と言うファッション誌は、フランスで、1912~25の間(戦争中休刊)刊行された、月刊誌らしい。
フランスのファッション誌は18世紀後半には存在したが、挿絵は銅版画に手彩色だった由。19世紀に印刷技術が進化し、20世紀初頭のこの雑誌はポショワール(ステンシルプリント。カッパ刷り)のカラーイラストが多用されている。
現在のグラビア誌のようなもので、図版面をファッションプレートと呼ぶ(今検索したら古書店のリストに図版が載っている)。
横田氏は、この、約十年分の雑誌の図版(本文だけでなく、広告面も含む)から、今回の展示に関わる鏡の登場する絵を抜き出し、そこに込められた意味を分析する。
この雑誌の刊行期間が短いことは、研究対象の量として非常にありがたい。それだけでなく、刊行中に第一次世界大戦が挟まっていることで、ヨーロッパのライフスタイルが激変した時期のファッションを映す事になったという、なかなか興味深い資料だ。
レンピッカがロシア革命を逃れてパリに来た頃。
コレットの「シェリ」は1920年。
シュルレアリスム宣言が1924年。
ちなみに、1912年は、大正元年。
つまり、この雑誌は、ほぼ大正時代に刊行されたことになる。
これだけ見ても、なかなか興味深い時代の風俗/アート資料だと言うことが判る。
服装の変化、ライフスタイルの変化が、戦争をはじめとする社会の変化と切り離し得ないこと。
電灯や映画や刊行物や……。
オートクチュールと既製服と……。
ドレッサー、姿見、手鏡、コンパクト、そして鏡面と化したショウウインドウ。
化粧道具の変化や携帯性等々、雑誌の図版や通販カタログを駆使してこういう研究が出来るというのは、風俗史研究の王道とも言えるんだけれど、江戸の絵を読む作業をしていながらしっかり見てこなかった自分に改めて気づかされる。
論文より踏み込んだ箇所には更に検証を要するところもあったようだが、図像学的研究の見本のような講義でした。
色々知りたいことも増えたけれど、勉強になった。
今回の講座では“おまけ”で、江戸時代の鏡を実際に手にする貴重な体験も。
そして、全く予想していなかった資生堂の広報映画『銀座と花椿』の上映(前半部のみだったらしい)は、かなりの衝撃度。
取りあえず出演者の豪華さに目がいくが、表現技法としても秀逸だし、もちろん風俗資料としても貴重。
これは是非、解説付き上映会をお願いしたい。
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