コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

PBLのこと。

2009-02-23 18:56:10 | 
私は、本を読まないし、当座必要なこと以外は調べもしない。直感で生きている。
大学院に入ったあとで、指導教員から「キミのやりたいのは“実録”というジャンルなのだよ」と教えられたと言う……。

よく言えば無手勝流。
あぁ、生活の中で学んだと言えば、ムンバイのスラムの少年と一緒だ。


だから、アッパレ会の原型を立案した時、他の事例も、何も知らなかった。
それでも、故・山本肇氏を筆頭に、当時の山本学部長、大川事務長、それからアッパレ会発起人の皆さんは、私の思いを更に大きくしながら、ものすごい早さで現実化してくださった。
思い出しても震えるような体験。
改めて感謝。

それから数年、そこそこの成果も出て、地域からも大学からも認知されているように思えるのだけれど、相変わらず私はなにも学ぶことをしていない。
やりたいことをしたいだけだからねぇ。


と言うのが前置き。



先週の金曜日に大阪でイベント(別に書きます)に参加する予定があり、同じ趣味の同志社の山田和人教授を誘ったら、翌日主催企画があるので行けない、と言う連絡があり、逆に私が土曜に同志社に行くことになった、と言う経緯があり……。

文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム「学びの原点―プロジェクト型教育の挑戦!!-地域・社会が学生を育てる-」第2弾シンポジウム

に参加してきました。

細かいことはさておき、まずパネリストとその仕事にリンク。

鈴木 敏恵/千葉大学 教育学部 特命教授、中部学院大学 客員教授
宮木 いっぺい/法政大学 地域研質の高い大学教育推進プログラム究センター 特任准教授
森 玲子 /広島大学 キャリアセンター 教授
  *フロントランナープログラム
森 正美/京都文教大学 人間学部 准教授
 「現場主義教育充実のための教育実践~その現状と課題~
山田 和人/同志社大学 文学部 教授、プロジェクト科目検討部会長

これらは、文科省の質の高い大学教育推進プログラム(GP=Good Practice「優れた取組」)と言うのに採択されて予算を取って活動して、大きな実績を挙げている大学。
静岡大学も、同じカテゴリーで応募したんじゃなかったかな。

 私学はさておき、それから、鈴木氏を「特命教授」で雇った千葉大も「特殊」だと片づける(ホントのことを言えば、彦星先生もこういう雇い方だって出来たんじゃないのか)にしても、同じ国立大学として、広島大学の取り組みとの差は衝撃的。

みんな、地域の人たちや学生が、自分で企画して動いている。
しかも、広島は、今年度まで単位を出していない。同志社の一部の企画もだ。
門前塾のような学外活動メインではGPには応募できないと頭ごなしに否定した静岡大学の認識はなんだったんだろう?


それにしても、経済的な基盤など、簡単に比べられるモノではないとはいえ、同志社のプロジェクト科目ローム記念館の活動は、確実にアッパレ会のずっと先を行っている。

大学が組織を挙げて、本気で取り組めばこういう事が出来る。
そして、一度大きな流れを作れば、全国的な情報を共有して、更に良い物にすることも可能になる。

静岡大学はどうだろう?
このシンポジウムについて、静岡大学には案内もなく、また、本部でも把握していなかったらしい。
GPに採択されて活動している大学からはスルーされているし、そのことを気にして情報を集めてもいないと言うことらしい。

勿論、私自身、積極的に情報収集していないのが悪い、ということは前提として認めている。
事例研究は正直好きではないし。
それにしても、大学も、私と同じくらいやる気がない、で済まされるのか。
こういう“評価”は喉から手が出るほど欲しいはずなのに。

今回のシンポジウムを通して、それぞれの大学のサポート態勢、大学全体の意志や懐の深さを感じないわけに行かない。どのプレゼンでも、建学の精神を実体化しているのも印象的だった。
学生達の発表に感動し、それぞれの事例に感心しつつ、自分の非力さ、静岡大学の弱さを再認識した一日だった。


さて、そういう、知的興奮と淋しい体験をふまえて、じゃぁどうすればいいんだろう、と言う話。

これには、二つの筋がある。

一つは、私自身の問題。
今ひとつは、大学としての取り組みのあり方。

前者。
私は、今回、自分が、こういう問題を組織的に取り組むのには向いていないぞ、と言うことを心底理解しました。
従って、今後は、自分自身の授業を徹底的に改善することに傾注しようと決めました。
そういう意味では、鈴木氏の「ポートフォリオ」活用の方法は素晴らしいヒントになったと思います。
今までも「情報意匠論」のやり方を大分拝借してきましたが、この辺を掛け合わせることで、専門の授業を相当アクティブに変えられるのではないかと考えています。
来年度の受講生は、実験台みたいで申し訳ないけれど、後悔はさせませんよ。
これ、絶対面白い。品質保証。
お楽しみに!


さて、問題は大学の取り組み。
静岡大学は、どこを向いているのかよく分からない。
綺麗な評価を得ることより、学生一人一人が幸せになることの方が先じゃないのか。
結果はついてくるはずだ。

今回、シンポジウムのあとで山田氏・鈴木氏と少しだけ話をし、「必ず仲間はいますよ」と、慰められたのだけれど、正直の所、学内に連帯できる教職員がいない。
それは勿論、私の性格上の問題が一番なのだし、積極的に探し回ってもいないのだから、自業自得なのだとは思う。
しかし、他にも、そうやって“孤軍奮闘”状態の人がいるのではないか。
学長や理事は、少なくとも私の活動を知っているように、そういう“有志”の活動を把握しているはずだ。
だから、自己評価や数値目標の話をする前に、そういう人たちを繋げて欲しい。

それから、先進的な取り組みをしているところの情報を、整序して配信して頂きたい。
CCCからの告知はメール配信されるのに、各部局で行っているいろんな催しについては、情報共有が出来ていない。
GPのメールマガジン大学改革GPナビ-Good Practice-は、そのまま配信されているから、却って殆どの人は目を通していないのではないか。

それからもう一つ。
やっぱりサテライトオフィス的なものが街中にあった方が良いなぁ、と言うのも、改めて実感した。
B-nestは産官学共用施設だけれど、大学のスタッフは常駐していないし、たまり場的な使い方は出来ない。
地域の人・教職員・学生が、簡単な事務手続や相談を含め、交流できるカフェのようなオフィスが街中にあるだけで、相当違うと思う。
前例がないわけではないぞ。


事例研究は好きではない。
しかし、自分がやりたいことのヒントならいくらでも欲しい。
自己評価や数値目標のためではなく、学生一人一人が本当に、積極的に学び、充実した生活が送れるようにする為に何が出来るのかを考えたい。

結局は、そういう意志のある人たち個々の集合体でしか動かせないのではないかと思う。


メモ:ここでいう「PBL」は"Problem Based Learning"ではなく"Project Based Learning"なんだそうです。
日本PBL研究所なんて言うのもある。

知らなくたって、やってることだ。
しかし、知ることで、更に磨くことは出来る。

先に方法を知ってしまうと、それに合わせようとして却ってゆがみが出来る。

まだ、我々は間違ってはいないと思う。


長くなりすぎた。
続きは別に。

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