コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

和本リテラシーのこと

2012-04-18 09:51:03 | 
新年度が始まって、いくつかの授業で和本リテラシーの話をしている。
『爆問学問』最終回が、中野“本道樂”三敏先生だったので、みんな見たかなぁ、と期待するのだけれど、驚く程見てない。
あの番組、人気あったんじゃないのか……。
まぁ、番組は短いし、正直ホストの二人も途中に登場する若手も今ひとつピンと来てない感じで、かみ合わないまま終わってしまった感はある。それでもこういう“啓蒙”活動は大事だと思う。

中野先生の和本リテラシーに関する呼びかけは、岩波新書『和本のすすめ―江戸を読み解くために』含め、数々の御著書で展開されている通り。
また、長いけれど九州大学での講演が動画で観られるので是非。



と。ここまでは枕。
私の授業で使っている和本リテラシー入門教材をここで紹介してみようかな、と。
とにかくまず、崩し字が読めたら愉しいだろうなぁ、世界が拡がりそうだなぁ、と思わせることだと感じているので。
古典やってる皆さん、みんなでちょっとずつでも、こういうのやりましょうよ。


“基礎演習”で配布したのはおもちゃ絵のカラーコピーです。
ちょっとした“アハ体験”ができます。


遊び方は少し経ってから書きますので、しばらく楽しんでください。



県立大学の講読で配布したのは二種類。
一組目は“実語教”の冒頭部分です。
これはなかなか有効な教材です。


その1  
その2 
その3  
文字が読めないと、何が面白いのかピンときませんね。

しかも、興味深いことに、この3冊は、大きさも違います。


これも、解説は別に書くことにしましょう。


もう一つは、崩し字判読練習用教材です。授業で演習式に扱う時間は無いので、興味のある人だけ独習してくれれば良いかなと思っています。





何か判りますか?
授業と同じように、1つだけ解説しておきましょう。

一番上の画像、右側の一列を縦に見ます。
1こまめ「福神(ふくじん)すご六トかけて」
2こまめ「こんれいのさかづきトとく」
3こまめ「心ハめでたくあがる」

これは明治の物ですが、こういうのをたくさん読むことで、当時の人たちが何を普通に連想し、おもしろがっていたのか、リアルに感じることができますよね。

そうして、この本は上の“実語教”の一番小さい本よりさらに小さい、ポケットサイズです。
本の大きさと内容の話も、あとですることになるでしょう。


中野先生も力説されるように、日本中に何百万と存在する、崩し字資料の多くが、誰も読めないという事情で廃棄されています。
しかし、ここには我々の先達たちが大切にしてきた文化があります。
“文化”なんてかっこつけて言う物でさえない、生活が見えてくるような資料ほど、どんどん捨てられているのが現状です。

外国語を使いこなせるようになるのは、勿論大切なことです。
しかし、ちょっと興味を持てば簡単に読むことのできるこうした資料が消えていくのに見向きもしない人たちが多いのはとても悲しいことです。

アダム・カバットさんやロバート・キャンベルさんのように有名な人ばかりでなく、外国人留学生でも読める人は育っているのに……。

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1 コメント

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コメント削除 (小二田)
2012-04-18 11:08:02
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