コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

必見

2008-10-15 21:14:14 | 
今年も牧野宗則氏の木版画展が開催されます。
静岡伊勢丹。10/16~21(最終日は16時まで)。無料。
詳しくは今週の「伊勢丹通信」2ページ上段参照。

ネット上でいくつかの作品を見ることは出来ます。
これとか、これとか、これもだ。

さしあたり、こういうのを見ると、ふーん、綺麗な絵だねぇ、ということにはなる。
しかし、実物を目の当たりにするとこうした電子メディアや画集が本当に備忘でしかないことに気づかされる。

このブログの中でも、何度も牧野氏の展示や作品について触れてきた。
それは、少しだけお近づきであることを自慢したいから、ではない。

浮世絵の伝統木版画の技法を受け継ぎつつ、下絵から刷りまで、全ての過程を一人で行うことで極められた表現。
そして、自然や世界に向けられた誠実なまなざし。

あぁ、色々解説っぽく書こうと思ったけれどやめる。

ポップアートの極致としての木版多色刷りの中に、西洋風の風景画の美意識を持ち込むというのではなく、彼自身の内側から興る祈りの気持ちを彫り込み、摺り込むこと。
これは本当に、特異な体験。

是非。



是非、といえば、11月、12月は歌舞伎が面白い。

歌舞伎座の顔見世で久々に『盟三五大切』をやる。
この芝居がどんな評価を受けてきたのかは、ちょっと検索してみればわかる。
南北歌舞伎の中で、ということに留まらず、江戸歌舞伎の中でも突出した出来栄え。
実は、それだけではなく、私にとっては色々思い出の作品。
大学院に入って南北を読むようになり、日文協近世部会でこれも読んだ。
当時、最長老だった森山重雄先生に少し褒められて有頂天になったこと、「褒められてる内はまだまだだよ」と先輩研究者にたしなめられたこと。
M1の時にレポートで作品論を書き、放置してあったのを就職してから『静大国文』に掲載したこと。これが私の唯一「作品論」と言える論文になった。
国立劇場の内装が変わったこけら落とし公演がこれで、辰之助の凄み、孝玉の美しさ。良い物を見た。
そのあともう一度か二度見ているはずなんだけれど、今回は仁左衛門・時蔵・菊五郎。期待して良いでしょう。
見られる時に見ておくべき作品。


もう一件、12月の国立が『遠山桜天保日記』の通し。
半世紀ぶりの上演で菊五郎二役。これは良いでしょう。

ちょうど大岡を授業でやってるタイミングでもあり、学生にも行って欲しいですねぇ。

と思っていたら今日、国立劇場から電話があり、上演資料集に私が昔書いた事典記事を掲載したいとか。
おぉ! 素晴らしい。
真面目に調べて書いていた頃の良い仕事だぁ。
見つけてくれて感謝です。

というわけで、こちらも見にいきましょう! そして、筋書きだけでなく、上演資料集も買いましょう(って、私に印税が入る分けじゃないんだけどね)。

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