ビバーク地点は比較的広く吹き溜まりのところに穴を掘ることにした。深く掘りたかったが深雪の下の雪が氷ており1m程度の穴にしかならなかった。(スコップも軽量化のため小さく弱いもの)ザック・ザイルを下に引き3人でツエルトをかぶり長い夜を迎えた。夜積雪がありツエルトがつぶれそうになり雪かきを実施。翌4月30日は朝になっても雪がやまずこの時点で救助要請をかける。天候は回復せず視界がないため県警ヘリが飛べず、また下から登ってこれるルートでもないため、もう一晩ビバークとなる。携帯電話もつながり、県警からの連絡もあり「緊迫した状態」にはならずみな落ち着いていたように思う。ツエルトを張直し紅茶や、パン・チョコレートなどの行動食でをとりまたアルミシートなどを利用し保温に努めたが、それでも寒い。朝が待ち遠しく眠れない夜をまた迎えた。翌朝は快晴で風も止んでいる。朝5時に県警から電話があり6時ごろへりが向かうとの連絡があり、準備をする。6時前ヘリがら電話があり「ヘルメットとハーネスを装着、その他の装備は飛散しないようバックにパッキング(ピッケル・アイゼンも・・)その場に残置する。」とのこと。【チョッとショック】ヘリが頭上に来たが、すぐひき消していった?ヘリから再度電話があり、上空は思った以上に風が強く燃料を減らすためしばらく待つように連絡あった。15分ぐらいで戻ってきて、救助隊員がホイスト(ロープによる吊り上げ機能)により降りてきて吊り上げの順番と吊り上げる準備をし、状況写真を撮った後、一人ずつ吊り上げ上高地帝国ホテル裏にあるヘリポートまで運び、最後の一人は松本空港まで空輸となった。KとWは上高地から車で松本空港まで行き、Mと合流、松本市内の病院へ送ってもらった。Kは吐き気があったため、診断を受け「脱水症状と空腹による胃腸障害」と診断され点滴・胃腸薬を調剤された。K点滴中に、MとWで、タクシーで沢渡へ戻り車をとりに戻った。その後3名で松本警察署にて説明をして、名古屋へ戻ってきた。今回、「天候によるルート状況及び技術と体力を考慮しての的確な判断を誤った事により、各関係者に迷惑をかけてしまった。」ことについて深く反省する必要があります。以上
4月29日快晴!岳沢小屋の朝食を済ませ出発の準備をし6:30南稜に向け出発した。トレースがついており先行は2パーティと思われる。トレースをたどり高度を上げていくが、ピッケル・アイゼンを使用しバランスを取りながらの登攀となる。ルンゼ内の氷が非常に硬く、アイゼンをけりこんで登るが、ピッケルとアイゼンで身体を支えるため非常に疲れる。場所によっては、アイゼンが蹴りこんでも跳ね返される状態でピッケルでステップを切り少しづつ高度を稼ぐ登攀を強いられる。後ろから来た年配のソロの方はダブルアックスを駆使し非常に速いスピードで私たちを、追い抜いて行った。「僕らのスタイルは古くて遅すぎる」のを感じた。すべったたら下まで行きそうなためザイルをだしコンテで登る。それでも何とかルンゼから南稜に取りつく。雪稜を登り、10:30トリコニー直下到着。ここで、先ほど私たちを追い抜いたソロの方が「この先のナイフリッジがいやらしく引き返す。」とのこと。そのさきのチムニーで一苦労・・一度落ちてお尻をしこたまうつ。(イタイ・・泣き)第一トリコニーを終わったナイフリッジでさらに1パーティが引き返す状態に遭遇。Mさんはナイフリッジに挑戦中・・・苦労してわたってしまった。(ここはトレースもなく、つまりこの先はノートレースと言う事。ここで考えるべきであった。)その後は、雪稜・雪壁をラッセルし、またアイゼンピッケルに雪が付着し(団子状態)非常に遅いペースとなり第3トリコニーを抜けた時点で17:00となっていた。体力的にも限界状態でこの後、3-4時間かけて稜線に出ても暗くなり危険度が増すと判断、ビバークとする。
まずは、会員の皆様に御心配をおかけしたことをお詫びいたします。今回の春山に選んだ「奥穂東稜」は、初級のバリエーションルートと言われており山岳雑誌「ヤマケイ」にも紹介されているルートでしたが、山の基本中の基本である「天候と、雪の状態により難易度は変化する。」ことを認識していませんでした。結果的に、「2晩のビバーク」「長野県ヘリによる救助」を招き遭難事故を起こしてしまいました。幸い3名は無事下山できましたが、深く反省をし「二度と遭難を起こさない。」ことを誓い今回の顛末を報告いたします。
4月28日M・W・Kの三名(名前は恥ずかしくて出しません)は、名古屋を車で出発沢渡?経由で上高地に11:00到着。昼食をとり登山届を上高地のインフォメーションのBOXへ投函し、12:30岳沢に向かい出発した。天気はまずまずで明日の晴天も保障されていて気分は上々でゆっくり岳沢へ向かい登山道を登って行った。途中の沢にはデブリが発生しており4月26日に降った雪が、今日中に落ちているように感じていた。16:00過ぎに岳沢小屋に到着。2時間30分のコースルートを3時間30分かけて上がったことになる。こんなペースかな?・・・・小屋で情報を聞いたところ『「東稜」「コブ尾根」「前穂高」等条件(積雪のため)まだ誰も登っていない。またどのコースもラッセルは必須で大変な苦労をするだろう』とのことであった。この時点でトレースがないことが判明したが、2.3パーティ東稜に入る情報も入手していた。結果、朝朝食をとり先行パーティの後を追いかけ、無理な場合は上高地まで下りて温泉に行こうと決定して翌朝に備えることとした。