山に恋して

山ガールの彼女は、いつも我が家の階段を颯爽と昇ってきます。

「今の思いを手放したかったら、新しい風景を見たかったら、どんなにつらくても今自分が立っている山を降りきらないとね。降りきらないと、次の山には登れないから。」
そんな話をしてどのくらい経った後でしょうか？

何度も後ろ髪を引かれただろうけれど、迷いに迷いなかなか勇気を持てなかっただろうけれど、
いったんその瞳を閉じ、覚悟を決めてからの彼女の潔かったこと！

長い髪をショートにして、バイクの免許を取得し、一人暮らしを決行し、
輝きに満ちた笑顔でまた颯爽と階段を昇ってきてくれました。
過ぎてみれば、降りるための準備がそのまま新しい山に登る準備に直結していたのだそう。

焦がれる夢や、恋。
降りきる勇気と行動力があった彼女は、新しい恋と生きがいを見つけ、今週末もまた、きっとどこかの山に登っているんだろうな。