木に守られて

小学生の娘さんが食べることができなくなっているという。
食欲が落ちて体調が良くないのかな、何か悩みや心配ごとがあるのかなと思い、本人に確かめたのだけど、
学校も友だちと遊ぶのも楽しい。食べたい気持ちはあるのだけれど、喉を通らない、そう言うのだそうです。

最初のうちは食べることができていたものも徐々に食べられなくなって、今のままだと入院だと病院で言われたとのことでした。

ご相談に見えた女性に、じっと手を当てて耳を澄ませました。
すると、ほんの一瞬「木」の声が届きました。

「家の敷地内の木に、何かを巻きつけていませんか？　成長を続けている木が、何かが巻きついているために痛み、苦痛を感じているようです。」
家に帰られた女性が庭の中を見回すと、鯉のぼりの棒を立てるために、木に巻きつけた紐があり、その紐がギュッと木にくいこんでいたとの事でした。

その紐をはずしていただいた後は食欲が戻って、それから何年も経って、今ではダイエットを気にする元気いっぱいの娘さんになっています。

昔々、そのもっと昔、そこの地域は木の精霊たちが多くお住まいの場所だったのでしょう。
そういった場所では、今でもとりわけ木の声が届いてくるのです。