久保敬元校長の文書訓告取り消しを求める応援団(ガッツせんべい応援団)

久保敬さんの「文書訓告取消を求める人権侵害救済申立」を応援します!

ドイツ報告③ なぜ学校で学ぶ意義があるのか

2023-10-29 15:48:08 | 辻野けんまより

ドイツ報告③


ハンブルクにて教育支援センターの訪問調査と研究会報告を行いました。

センターのミッションは様々な状況にある子どもや家庭の支援で、主には心理・特別支援教育の専門家が担うカウンセリング部門と教員が担う教育部門があります。不登校の背景が様々である点は日本とも通底していますが、ハンブルクでは公的に設置された支援機関がかなり整備されてきている印象を受けました。逆に、日本ではパブリックな自治体の支援センターだけでなく、プライベートなフリースクールまで多様な機会があることは、ドイツの人たちには珍しく映るようです。ハンブルクは都市州(日本の政令指定都市に近いイメージ)ですが、市内各区域にセンターが設置されているため、地域性の異なる2つのセンターを訪問させていただきました。

その後、ドイツ各地から研究者が集い、スウェーデンおよび私たち日本からの参加者を加えて研究会が二日間開催されました。安原先生に加えて東京外国語大学の布川あゆみ先生との3名で共同発表をしました。日本の不登校、フリースクール、居場所づくり、就学義務の特性などに焦点をあてた内容です。

ドイツでは手厚い支援の反面で不登校が就学義務の履行違反になるなど厳格な法適用がなされていますが、日本では進級や卒業などが教育的にも法的にも「正当に」行われてきている、という特性がドイツとの比較から浮かび上がります。フリースクールなどはドイツでは認められていないため非常に関心を持っていただきましたが、公的支援がなければ、「利用料が払えない貧困家庭はどうなるのか」といった質問も寄せられました。

プライベートな支援に公行政が依存するのではなく、就学義務を課している国家みずからが、まずもって「なぜ学校で学ぶ意義があるのか」に責任をもって応答してほしいと思います。そして、その意義とは「愛国心」や「公共心」などの国家に都合の良い目的ではなく、一人ひとりの子どもの人生にとっての中身が説明される必要があります。さらに言えば、意義が説明しきれない部分も当然に出てくるはずですので、それほどに広がってしまった就学の義務については適正な射程に収める必要があるかもしれません。


ドイツ報告② 国家の人間管理装置の恐ろしさ

2023-10-27 14:59:37 | 辻野けんまより

ドイツ報告②

ベルリンから北部のロストックへ移動。旧東ドイツ地域にあたるメクレンブルク=フォアポンメルン州の都市です。ここではロストック大学国家保安省シュタージ博物館などを訪問しました。歴史写真家Gerhard Weber氏が第二次大戦で崩壊した町並みから東ドイツ時代の町並みまでの写真と対比しながら町案内をしてくださいました。共同研究者のギゼラ・シュルツェ教授(オルデンブルク大学)が、東ドイツ時代の生活やシュタージに拘留された経験などを話してくださいました。その後、シュタージ博物館を訪問し「あらゆる手を使って人間性を崩壊させる」「罰と見返りの操作により情報提供者に仕立てていく」という国家の統治を目の当たりにしました。強制収容所にも通じる国家の人間管理装置の恐ろしさを実感します

その後、ロストック大学では州教員組合(GEW)代表および州父母会代表へのインタビューを行いました。教育政策形成過程への教育参加や教師教育改革、教育上の自由、法的係争などを教えていただきました。教員組合からは法務担当の方も参加くださり、あらためてドイツ社会における教育と法、権利の密接な関係を感じることができました。

他に、1419年から続くロストック大学の歴史ガイドなども専門の方から受けることができました。インタビューにも協力していただいたギゼラ・シュルツェ氏やロストック大学教員のマイク・ヴァルム氏がドイツ料理のレストランまでご一緒くださり感謝に堪えません。また、ロストック調査からは獨協大学の安原陽平先生(教育法学)がご参加くださっており、非常に心強いです


久保さん退職に寄せられたドイツの教育学者ザビーネ・マイゼさんのメッセージ

2023-10-26 15:20:29 | 世界から

🌹久保さん退職に寄せられたドイツの教育学者ザビーネ・マイゼさんのメッセージ

私はザビーネ・マイゼです。快晴のベルリンからメッセージを贈ります。ベルリンでは新しい建物が増えていて、後ろでも工事の音がしています。とにかくこのメッセージが皆様に届きますように。

久保先生、私はこれまでの数ヶ月間にわたって一緒に議論してくることができ、本当にうれしく思います。あなたの「提言書」は、これから先も多くの人に読まれ続けていくものと思います。今あなたがご退職を幸せな気持ちで迎えているものと願っています。

今回の訓告措置をあなたは全く動じていないわけですが、しかし若い世代にはよりつよい影響与えていると案じています。おそらく行政職員は、学校の中で教師たちが経験してきた現実に基づく知見をにわかには受け入れないでしょう。子どもたちがひたすらテスト勉強ばかりをし、評価に追われ、子どもたちが主役となるような人間的な教育が損なわれているのにです。

ここドイツで50年前の1970年に起こった出来事を紹介させてください。「反急進主義者令」と呼ばれているものです。多くの先進的な教師たちが「急進主義者」とラベリングされ、学校から排除されました。一部の教師は、裁判などによって、その後再び学校に戻ることができましたが、50年が経過した現在でもなお多くの教師が名誉回復されていません。

この「反急進主義者令」に抵抗して学校に復帰できた教師が書いた記事を最近読みました。彼はその後、長年にわたって、学校に勤務しましたが、過去の「反急進主義者令」の深刻な影響を見てきました。多くの若手の教員たちが自らの意見を表明せず沈黙するようになり、自分の考えを表現することをとても恐れるようになっていったのです。

私は久保先生が訓告措置にびくともしないしていないことを知っていますが、若い世代の為にも放置してはならない問題だと感じています。私はあなたが、これからも若い世代に自らの考えを伝えたり、一緒に議論したりしてくれることを願っています。あるいはそうした道を選ばずに、今度は平和の退職後の人生を送るのも私は嬉しく思い思います。

ザビーネからのご挨拶でした。

https://youtu.be/KbdefwHnzso?si=LWWdjpaMDlmSMgbm

画像は辻野けんまさんがドイツで再会されたザイーネさん


ドイツ報告記① 市民が監視しないと権力が暴走するのが国家というもの

2023-10-26 10:42:54 | 辻野けんまより

ドイツ報告記①

ただ今、辻野けんまさんは「難民と教師教育に関する調査」のためにドイツに出張中です。FBに投稿された報告記を漸次紹介していきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1年ぶりにドイツ調査にやってきました。写真のザクセンハウゼン強制収容所はナチスの強制収容所の中核的機能を果たしたところです。国家が人間を恐るべき方法で非人間化したナチスの狂気です。到着初日に電車内のコンパートメントがたまたま同室になった老夫婦が、「市民が監視しないと権力が暴走するのが国家というものです」と話しておられました。ベルリンの壁があったブランデンブルグ門、戦後に政治の透明性を高めるためにガラスのドーム天井を備えた連邦議会、などを共同研究者のザビーネ・マイゼ氏と訪問しました。3日間の滞在で研究協議もじっくりできました。マイゼ氏は12月から2ヶ月ほど日本に研究滞在されます。


🌹10/9ガッツせんべい応援団集会報告とお礼🌹

2023-10-10 21:29:51 | 集会・イベント

🌹10/9ガッツせんべい応援団集会報告とお礼🌹

      ―人権侵害救済中間報告―  

   ガッツせんべいの処分はやっぱりおかしかった!! 

      情報公開でわかった衝撃の事実

  久保敬元校長の文書訓告取り消しを求める応援団主催

 

会場には78名の方、そしてオンライン参加の方が24名 計102名の方にご参加いただきました。まことにありがとうございました。

午後2時、共同代表のひとりである足立須香さんからの、大阪人らしいユーモアたっぷりの開会の挨拶から始まりました。私たちの運動が、怒りばかりではなく、楽しんでいる一面が表れていました。これがガッツせんべい応援団ー大阪人の運動です!

次に、久保敬さんもこれまた大阪人らしく「なんで『文書訓告』やねん」のタスキをかけられ、退職後、一市民としておかしなことはおかしいと、まず大人が言っていかなければならないと、今回の人権侵害救済申立をすることになった気持ちを話されました。もちろんいつものQちゃんも一緒です。そして実はこの日サプライズゲストの登壇もありました。

さて、いよいよ、この日のひとつ目のメイエベント!!

「大森不二雄大阪市「特別顧問」の指示?! ~公開されたメールから分かったこと~」とタイトルで、応援団員である松田幹雄さんと井前弘幸さんから、公文書開示請求により入手した詳細な資料をもとに、大森不二雄大阪市特別顧問が、教育委員会事務局の職員に、直接、指示とも言えるメールを頻繁に出していることが報告されました。

特に、久保「提言」の後に教育委員会がどのように対応を取ったか、誰もが知りたいと思っていた点ですが、「大森メール」により明らかになりました。提言を読み提言に応えようとしたところは一切なく、逆に「大阪市教育振興基本計画」を広く周知するために提言を「利用」したことがありありと見てとれました。

教育委員会事務局が示す案に対してことごとく修正を迫る「大森メール」により、現在の大阪市教育行政の大きな問題点を共有することができたと思っています。

引き続き、ふたつ目のメインエベント!!

大阪公立大学の辻野けんまさんによる教育行政と教育委員会制度についてのお話でした。題して、「大阪の〈教育問題〉の問題〜学校はスケープゴードだったのか〜」

前半は、知っているようでよくわからない教育委員会の在り方や仕組みについて、わかりやすく教えていただきました。その後、大阪の教育行政の問題点を、具体に話され、最後に、それでも大阪に根付いてきた草の根民主主義ともいえる市民運動の紹介もありました。講演で使われたパワーポイントスライドは公開させていただいています。後日資料と共に紹介します。

また、辻野さんは、先日発刊の『世界』(岩波書店)11月号にも、「大阪の教育と草の根民主主義」を寄稿されています。これは是非ともお読みいただきたい論考です。

その後、会場からの質疑応答がありましたが、いくつかを紹介しておきます。

・そもそも、この大森不二雄大阪市特別顧問とはなにものなのか?

・夜間中学廃校問題に取り組んでいるが、弁護士会への人権救済とはどういふうにすればいいのか?

・朝鮮学校無償化排除に反対して毎週府庁前で抗議行動をしている。

・久保さんの提言とガッツせんべい応援団の運動を是非全国に広げて欲しい。

その他、不登校の問題も、インクルーシブ教育の問題も。中には、行政が権力的に私たちの市民生活に入り込んできている今、文書で求め、また記録することが大事だと注意喚起される方もいました。

それらを聞かれた辻野けんまさんは、こう言われました!

久保先生の提言は教育行政への提言なんです。弁護士会への人権救済の申立は自分の権利が侵害されたからというより、こんなおかしなことが起こっていることを訴えたものです。みなさん、一緒にやりましょう。何もバラバラにやる必要はないんです。民の声を無視する行政に対しては、バラバラにやるのではなく、是非一緒にやりましょう!

まさに、私たち応援団の姿勢とも言えます。それぞれの課題を訴えるだけでなく、行政や権力に対するたたかいはもっともっとつながることが必要ではないでしょうか。

最後の〆は、足立さんと一緒に共同代表をされている増田純一さんからでした。

この間ずっと久保さんを取材してこられた朝日新聞社の宮崎亮記者が書かれた『僕の好きな先生』を紹介され、是非多くの方に読んで欲しい、特に教師を目指している若い人に、教師という仕事のすばらしさを伝えたいと言われました。その一方で、これほど働きにくい職場にした教育行政への怒りも言われ、大森メールによって明らかになった教育行政の問題について、今後みなさんと共に考えていきたい、みなさんからの声もいただきたいと締めくくられました。

そうです。是非とも、みなさんの声を私たち応援団事務局にお寄せください。市民として行政に対し共に声をあげていきたいと思います。