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「正義とはなんだろう」
実はこの本を読んだのはとあるきっかけがあったからだ。
最近まで公開されていた(現在は不明)「Winny」という映画がある。詳細は避けるが,ファイル共有ソフトの制作者が逮捕され,無罪を勝ち取るという話である。
この映画の中で並行して描かれていたのは愛媛県警であった「裏金」の内部告発である。Winnyの件もこの件も確かに当時ニュースや新聞で報道されていたなあという記憶がある。映画の中ではこの話は決着をみていなかったので(確かに主となる内容ではない),その後どうだったのかを調べてみると,告発した巡査部長が本を出していることが分かった。
それがこの本である。早速読んだ。
映画の中でも描かれていたが,いけないと分かっていてもやってしまう心理。組織としてやれという圧力。私服を肥やす快感。正義を貫くことの難しさ……。様々考えさせられた。警察官としてやってはいけないことを拒否することがこんなに難しいこととは。
こういうこと(裏金に限らずだけれど)って,最近の社会情勢を見ていてもあるよなあと思う。映画よりもさらに事実は壮絶なものだった。「正義ってなんだろう」そんなことが頭の中をグルグルと駆け巡る。
時には怒りに震え,涙しそうにもなった。
「やってはいけないことはやらない」
人間は弱い。でもやはり正しい心は持っていたい。そんなことを痛感させられた本である。