日程:2020年2月1日(土)~2日(日) 前夜発一泊二日
天候:両日とも
形態:テント泊冬季アルパイン
同行:ヒロイ(我が社の山岳部)
例年、一月最初の連休から冬山スタートとなる自分だが、今季は12月からのフリーの宿題(湯河原幕岩「コンケスタドール」)に丸々2か月を費やしてしまい(^^;)、ようやくこれが2020年の山始め。
まずは久々のアイゼン慣らしということで、八ヶ岳定番のアルパインへ。
金曜夜に愛車フリード+で美濃戸口入り。シートをフルフラットにし、車中泊で朝を待つ。
一日目 美濃戸口7:40-行者小屋テン場11:20~12:30-赤岳主稜・取付き13:00-赤岳山頂16:10~20-行者小屋テン場17:30
朝5時起きを約束していたが、二人とも爆睡。目が覚めた時には6時をとうに過ぎていた。
そそくさと朝食、そして身支度を整え、歩き出す。
昨年同様、今年も雪は少なめ。特にアイスは氷が発達せず非常に厳しい状況と聞いていたが、山道に入るとそこそこ雪はある。
それほどガツガツと急ぐわけでもないが、普段けっこう強い弟子は本日やや遅れ気味。
お互い、秋からはもっぱら岩が中心なので、久々の重荷(といってもせいぜい15kg未満)はやはりシンドい。
他の登山者に抜かれ抜きつつ、行者小屋のテン場へ。
南沢の登山道の昨秋の台風の影響か、従来の沢沿いからかなり高い位置に付け替えられていた。地元の関係者の方々に感謝である。
本日の行者小屋テン場はそこそこ賑わっているものの、今週は赤岳鉱泉で「アイスキャンディ・フェスティバル」とやらのイベントが開催されているということで、全盛期ほどではない。
適当に空いているスペースを整地し、アライのRAIZ1を張る。
二人ではちょいと窮屈だが、まぁ一泊だし、軽量化優先ということで。
時間的にも何とかなりそうだったので、サブザックにロープとギア類を詰め直し、予定通りまずは赤岳主稜へ向かう。
文三郎道を小一時間登り、上部の分岐から左手の斜面を下り気味にトラバースし、主稜取付きへ。
ちなみに自分は2003年12月に今は亡きたけちゃんと登って以来、16年振り。相方の弟子は今回が初めてとのこと。
一応、ここまでロープはダブルの8.5mmを二本持ってきたが、まぁ一本で大丈夫そうだったので、一つを基部にデポ。
以下、ルートスケールは個人的な感覚で、はっきりしたものではない。
1P目 自分のリード 20m
門のような岩のルンゼを行く。出だしのチョックスト-ンはほぼ埋まってホールドが取れず、その上、雪はパウダーのためピックが刺さらない。
少し悪く感じたが、出だしだけなので、まぁ何とか。
ルンゼを登り切った所で、ピナクルにスリングでビレイ点を取る。
2P目 弟子リード 10m
岩壁の基部を雪のトレースに沿って右上。雪が不安定な個所が1ポイントあったが、特に問題なく。短くピッチを切る。
3P目 自分のリード 15m
正面に残置ハーケンが豊富な割と立った岩のフェース。
以前、こんな所登ったかなぁ。まるで記憶が無く、ちょっと手強そうにも見える。
でもしかたない、登りますか・・・と思ったら、文三郎道の方から声がして「そこは左!」と手振りを交えて教えてくれるパーティーあり。
リッジを挟んで左側を覗くと、たしかにそちらの方が弱点を突いて容易に思える。
無理はせず、あくまでファンクライムがモットーなので、すかさずそちらへ。快適でした。
4P目 コンテ 150m
トレースが残ったきれいな雪稜をほぼコンテで登る。
雪が少ないと言いながら、雪稜としては十分。
5P目 自分のリード 25m
岩のピッチ。上部にも岩のパートがあるのは覚えていたが、以前登った時の記憶とルートの様子がまったく異なる。
ホールドがサラサラの雪に隠れてけっこう悪く、しばらく逡巡したが、何とか突破。
この辺りはよく観察すれば、もっと簡単なルート取りができるのかもしれない。
6P目 弟子のリード 100m?
緩い斜面を頂上まで。
頂上には他にも何人か登山者がいて、お互いに記念写真を撮り合う。
夕陽が傾く中、遠く富士山までくっきり見渡せ、最高の天気だが、さすがに夕暮れ近くになって気温がグッと下がり、メチャクチャ寒い!
そそくさと文三郎道を下り、取付きにデポしておいたもう一本のロープを回収し、テン場へ帰還。
夜は弟子が「麻婆ミートボール」という荒業?新作メニューを作ってくれるが、見た目の予想を覆して旨かった。(^^;)
二日目 起床4:30-行者小屋テン場出発6:20-中山尾根・取付き7:20-上部岩壁10:05-終了点12:40-地蔵尾根-テン場撤収14:20-美濃戸口16:00
寒い一夜を過ごして、本日は中山尾根へ。
こちらのルートは二人とも以前それぞれ別のパートナーと登っているが、自分はやはり16年振り。
ヘッデンを点して、中山乗越への登りにかかる。
乗越から先はありがたいことに新しいトレースあり。
しかし、登山道から直角に折れてそのまま真っ直ぐ東進すると思っていたトレースは、けっこう行者小屋へグイグイ戻る方向に延びており、あれこんなだったかなと疑心暗鬼。
でも他にバリエーションのルートもそうそう無いだろうと信じてそれに従って行ったら、やはりそれは中山尾根のアプローチだった。
人間の記憶なんて、本当当てになるもんじゃない。
先行が男女ペアの1パーティー、既に最初のピッチが取付いている。
こちらも取付きへ進み、スタンバイ。念のため今日も2本ロープを持ってきたが、相談の結果、やはり1本で登ることにし、もう一本はそのまま自分がサブザックに納める。
以下、ルートスケールとグレードはあくまでも個人的体感。
1P目 自分のリード 35m Ⅳ-
先行Pがいたため、ショートカットで正面のハンガーボルトが打たれた岩壁を登ろうとしたが、ホールドがどれも丸く外傾していてグローブ、アイゼンでは心許ない。
二人してリードを試みるが、特にこだわりはなくすぐに断念して、正規ルートの右側のルンゼへ。
以前登った時は階段状で易しく感じたが、昨日の赤岳主稜と同様、サラサラのパウダースノーが不安定で、けっこう慎重な登りを要求される。
フォローの弟子も「悪い!」と共感。
2P目 弟子のリード 20m Ⅳ
正面の短いクラックを直上するか、左手の半分凍った斜面を行くかだが、後者は意外とランナーが取り辛そうに思えたので、正面を行く。
下から見ると簡単そうだが、そうでもなく、弟子が果敢にリードし、突破。
そこを越えてからも灌木帯をしばらくロープを延ばし、切りのいい所でピッチを切る。
3~5P目 コンテ 150m
自分がロープを引っ張る形で綺麗に雪が繋がったリッジを進む。
途中、ロープがいっぱいになってコールがまったく届かなくても、この2~3年でお互い「あ・うん」の呼吸が出来ているのが頼もしい。
6P目 弟子のリード 50m Ⅳ+
核心ピッチ。前回、弟子はここで相当奮闘したらしく、一応「どうする?」と聞いてみるが、「リードします!」との返事。その意気や良し!
しかし、ここも自分の記憶の中では幅の広い掘りの浅いフェースといった印象だったが、今こうして目の前で見るとけっこうルートとなる凹角ははっきりしている。
「核心の途中でピッチ切るかも。」と行っていた弟子だが、いやしくも12クライマー、思ったよりも鮮やかに上部の被り気味のピッチも抜けた。
いやぁ、やりますね!
7P目 自分のリード 30m
雪稜。以前登った時は左へ左へとトラバース気味に登って行った記憶があるが、多少は左へ向かっているもののそれほどではない。
先行Pは誤って悪いルートを選んでしまい、大胆なムーブで突破していった。
自分はここは左上していくピッチというイメージがあったので、ルート取りに注意していたが、まさに的中。部分的に雪が不安定なポイントはあったが、特に問題は無かった。
稜線間近のトサカピークの手前でピッチを切る。
振り返ると、後続はさらに三人組が2パーティー。
本日の中山尾根は盛況であるが、お互いちょうど良い間隔で、特に大きな渋滞となることはなかった。
8P目 自分のリード 50m
深雪のトラバース。
トサカピークを越えてさらに上部まで抜けるルート取りもあるが、通常はここから岩峰沿いに右へ巻いて横岳の縦走路へ。
冬でもあまり雪が付かないイメージだったが、今回はテンコ盛り。
ヘタすると雪崩るんじゃないかと思ったが、見た目よりは随分安定して無事、終了点の縦走路へ。
風も無く、厳冬期にしては穏やかな小春日和の下、しばしランチタイムで余韻に浸る。
ちょっと早いけど、バレンタインということで弟子がチョコをくれた。(^^*)
下りは地蔵尾根。
さっと下り、行者小屋前のテントを撤収。皆さん、引き際は素早いようで、あれだけあったテントも我々のを含めてあと二張を残すのみだった。
毎度だるくも行程をソツなく完了した満足感に浸りながら美濃戸口へ。
「もみの湯」で冷え切った身体をほぐし、帰りは河口湖で食事。
二日間好天に恵まれ、サクッと良い訓練となった山行だった。