新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃん姉妹とお父さんの日々。

慰安婦はやはり「性奴隷」だといわねばならならない

2019年09月27日 | アート/ミュージアム

 きのう、 「文化庁は「あいちトリエンナーレ」に補助金を交付せよという記事を書いた。

 文化庁が「後出しじゃんけん」で決めた補助金不交付は、表現の自由を侵害する検閲であり弾圧である。強く抗議したい。

 この企画展そのものには、思うところもないではない。しかし、それ以上に、表現の自由を脅かす共通の敵である、弾圧者や脅迫者に対しては、共に手を携え、反撃して、津田さんや大村知事たちを守り抜いてゆかなければならないと思う。

 芸術祭実行委員会会長の大村知事が、 「表現の自由」「検閲の禁止」を定めた憲法二十一条も争点に、国を訴える考えを示したことを強く支持したい。

 大村知事は、昨日25日に、脅迫などのリスク回避策を講じた上で、10月14日までの会期中に同展の展示再開をめざすことを表明していた。文化庁の発表があったのは、この記者会見の翌る日の、今日26日である。これは愛知県と大村知事に対する「報復措置」といわざるをえない。こうした、批判や異論を脅しやいやがらせで沈黙させようとする、安倍自民や大阪維新やN国などのハラスメント政治を、いつまでも許しておいてはいけないと思う。

 私は慰安婦問題を通じて、オモニとその支援者たちと、国境や世代や性別を超えて連帯していきたいと願っている。

 今さらだが、リハビリや再入院のバタバタで書けなかった『主戦場』の感想を記しておきたい。

 だいたい、入管局の収容者や、外国人研修生に対する、人間を人間とも思わない非人道的な扱いを見ていたら、戦前の日本政府や日本軍が、朝鮮人や台湾人、植民地や占領地の女性たちにどんなひどい仕打ちを行ったのか、想像もつく。

 「奴隷」というと、鎖につないで地下室に幽閉されているようなイメージを抱くだろう。そうではなく、奴隷制とは人間をモノ扱いにすることを意味している。

 このあたりは、マルクスに学んだ私たち左翼のがんばりが足りないのが良くない。「性奴隷」の「奴隷」とは、労働者を「賃金奴隷」と呼ぶのと同じ、経済学上・社会学上の用語である。このことを、これを機会に、皆さんにも知ってもらえたならうれしい。

 資本主義下の労働者を、マルクスは、「賃金奴隷」と呼んだ。労働者も、実際に鎖につながれているわけではない。「自由」に労働力の買手となる資本家を選択することができる。映画や旅行に行くことも、おいしいものを食べることも、結婚することも、ガチャで廃課金者になる「自由」もある。しかし、「自由」といっても、資本家に労働力を提供して、賃金を得なければ生活していけない、惨めな存在である。だからマルクスは、この労働者を資本家に繋ぎ止める強制力(今風にいえば「社畜化」する力)を指して、「奴隷」状態だと表現したのである。

 「賃金奴隷」は、自分の体と命と時間を切りしなければ、一秒たりとも生存しえない。私は、慰安婦問題を考える人たちに、生きた人間を「労働力」商品に変える資本主義を批判したマルクスの理論や思想を武器にしてほしいと願う。

 企業が「法人」として法律上のヴァーチャルな「人間」の地位を得る一方で、人間は企業にとっての「資源」に貶められてしまった。そして、国家や企業などのヴァーチャルな「ニセ人間」が、本物の人間の自由を奪い、食い物にするようになった。慰安婦問題は、ブラック企業やブラック労働の問題とも一繋がりなのだ。

 ここからは、つまらない「自分語り」になるが、昭和の終わりと平成の始まりに、いわゆる新左翼の活動家だった私にとって、慰安婦問題は、左翼運動の正の遺産、負の遺産、双方に関わっている。

 全共闘のバリゲートで、女性活動家を「飯炊き女」として扱い、「自由恋愛」という名の「肉体オルグ」要員にしていた新左翼党派の女性差別問題を告発し、女性解放に立ち上がった女性闘士の下で学べたことは、私にとって今も誇りであり、大きな財産になっている。今も左翼党派幹部や左翼文化人による女性差別問題は絶えない。慰安婦問題は、人間解放や女性解放をめざす左翼内部にも存在し、企業や大学や家庭で「いま」「ここ」で起きている問題なのだ。決して74年前の歴史上のできごとではない。

 わが国で最初の、企業内のセクシャルな言動に損害賠償責任を認めた裁判は、対立している労働組合の一方が、対立する組合に属する女性組合員の容姿を「チビ・ブス」と侮辱した事件だった(1985年11月27日)。人間解放と女性解放の先頭に立つべき労働運動の当事者が、女性差別を平然と行ったことの罪は重く、その意味は大きい。

 いまでも「男性社会」である労働組合にも、女性差別は陰に陽に残っているだろう。私だって例外ではない。組合員には女性も、在日をはじめ外国がルーツの人もいる。そのことを忘れないためにも、労組活動家として、私は慰安婦問題に取り組んでいくつもりだ。


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