新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

箕面山 夏の山熱る  7月25日の記録④

2020年07月29日 | おでかけ

 象の足? バオパブの木のようなずんぐりむっくりな奇木か奇岩でもあるのだろうか。


  


 「象の足のように見える巨樹」ということらしい。写真を見返したら、最初の看板にもきちんと「もみの木」と書いてあった。





 うん。もみの木だ。もみの木である。もみの木以外の何物でもない。

 でも、象の足?





 寄りで撮った写真は、象の足に見えなくもない。象を最後に見たのは、20年以上前で、どんな形状かはっきり覚えているわけではないが。象の足は意外にシュッとしていて、スラリと伸びていたような気もする。だから最初の写真でもいいのかしれない。

 行く先に、誰か道端にうずくまっていた。チューリップハットにコートのようなものを羽織った、『無能の人』の鳥師のような風体の人だ。




 行きの滝道では行き違っても誰も挨拶をやりとりしなかったが、山道ならマナーとして挨拶は必要だろう。しかしこの雨の中、山の中にいるなんて、きっと変な人に違いない(おまえもな)。哲学的な質問をされたり、サギを売りつけられたりしたら面倒なことである。近づくと、人ではなく、伐採した丸太を積み重ねてあるだけだった。




 完全にハイキングコースに入り込んでしまった。駅前までウォーキングがてら買い物に行くだけのつもりだったのに、人生何がどこでどう転ぶかわからない。

 三叉路に到達した。この案内標識はいい感じである。





 裏側になっているもう一方向は、行きで通過した昆虫館や瀧安寺に抜ける道らしい。




 帰りに昆虫館も寄って行こうかと思ったが、今日は取りやめである。帰ってから同僚氏に聞いたら、ゴキブリの標本も展示しているそうだ。それはあまり見たいとは思わない。これも世界は一家、昆虫はみなきょうだいの笹川スピリットだろうか。

 雨も止んできた。15時になったので、きらファンを起動して、里の施設におでかけ中のキャラをタップする(100きららゲット。1時間ごとにスケジュールが変わるのです)。電波はしっかり入る。駅も近いはずなのだが、かえって道が険しくなってきた。





 山には霧がもくもくと立ちこめている。





 「イキる」のイキは、人いきれ草いきれのイキで、漢字で書けば「熱る」になるそうだ。山がむんむんと熱(いき)っている。

 丹波と気候条件が似ているかもしれない。栗の木を植えたらよい栗が育ちそうだ。まあ、猿にすぐやられてしまうか。今日は雨のせいか、猿は一匹も見かけなかった。

 怪鳥のクチバシのようにエッジの立った岩が、ワイヤーロープで結わえてあった。落石防止のためだろうが、噛みついてこないように口枷をしているようにも見える。





 山の霧を見て、奇岩を見て、高山や岩石を「雲根」と呼ぶことを思い出した。雲海に包まれた高山、放射冷却で生じた石の水滴から、「雲は石より生ずる」と昔の人は考えたのだ。この道も、岩石の不思議な力を求めた修験者の道だったのだろう。だんだん急傾斜になってきた。





 だらだらと坂道が続く。




 降りきった。駅も近そうである。




 道も舗装されている。




 ようやく出口が見えてきた。警備員さんらしき人が立っている。降りてくる私を認めて、置いてあった通行止めのバリケードを斜めに動かした。 私が出やすいようにという配慮らしい。この道が通行止めだったことを、そのとき初めて知った。

 「ここまでしなくても、と思うんですが、管理事務所がね」

 警備員さんはバリケードを元に戻しながら申し訳なさそうに言った。

 「失礼しました。英世さんを見た帰りに、この道に入っちゃいましてね」

と頭を下げると、警備員さんもホッとしたように、

 「ああ。それなりに山道でしたでしょう」

 「はい。いい道でした。でも、通行止めにして正解だね」

 公園管理事務所としても、想定外のケースだろう。滝道から英世象に行きながら元の滝道に戻らなかった私というバグが発生したことで、警備員さんの仕事を増やしてしまったかもしれない。

 滝道に戻ってきた。カブトムシの店を過ぎたら、ブックカフェがあった。お休みである。



 絵本のラインナップをながめる。かこさとし、なつかしい。





 『おしいれのぼうけん』もある。ブックレビューを書いたとき、ご覧になった吉田足日先生から「ぼくの世界を深く理解し、やさしく書いていることにおどろきました」というお礼状を、「憲法九条を全人類の財産に!」というメッセージ入りの絵はがきでいただいたことがある。本作の挿絵の田畑精一さんも最近お亡くなりになった。おふたりがお元気なうちに最初期の読者の声を届けることができてよかった。宮沢賢治にもざしき童(ぼっこ、と読むらしい)の話があったのか。小野不由美さんの怪談えほんも気になる。子どもがいたら連れてきたいお店だね。

 箕面温泉スパーガーデン「大江戸温泉物語」まで戻ってきた。車でないと行けない山の上の方にあるかと思っていたら、駅からすぐである。入口で無料の足湯でしばし疲れを癒やした。温泉には劇場も併設されている。長らく休演していた大衆演劇も9月1日から再開の予定らしい。大衆演劇好きのお姉さん方にも知らせておこう。エンタメ業界も商売あがったりで、早くコロナ禍が収まればいいと思う。



 箕面駅に着いた。入線してきた電車に乗り、石橋阪大前まで戻り、宝塚線に乗り換え、梅田に戻る。まだ16時20分過ぎ、飲みには早い。古書漁りに行くことにした。

(続く)


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