新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃん姉妹とお父さんの日々。

愛があれば視える 『うみねこのなく頃に』Episode 4

2010年08月30日 | コミック/アニメ/ゲーム
『うみねこのなく頃に』Episode 4 
原作:竜騎士07/作画:宗一郎 
 (ガンガンコミックスONLINE)


 『ひぐらしのく頃に』も『うみねこのく頃に』も、かなり読者を選ぶと思う。

 しかし『うみねこ』Episode 4の作画担当・宗一郎さんは、いまイチオシのマンガ家さんの一人。ヒロインの縁寿が、クールで男前なハンサムガールなのだ!

 「ならば行こう その理由を探しに」
 


 あの事件で家族を全員失い、友人もいない孤独な少女が、真相を暴き、運命を打ち砕くために、高層ビルの屋上から飛び立つ。この場面には、「Fate」OPの遠坂凜への限りない愛とオマージュを感じる。ビルの夜景をバックに、追っ手たちに告げる「じゃあまたね シーユーアゲイン」もクール!

 宗一郎さんの作品は、ひぐらしのアンソロジーの頃から、群を抜いていた。「胡蝶ノ夢」の羽入には、本当に度肝を抜かれたものだった(『語咄し編』3巻所収)。あのかわいい羽入が、あぅあぅいいながら、あんなことになるなんて……

 Episode4の2巻では、ゲームの開始を告げるベアトの表情だろうか。こわさ倍増。「もふもふ」や「どっきゅん」のベアトが最高にラブリーなだけに、そのギャップがすごい。


 萌えキャラが突然豹変して、楽しい部活の日常世界がホラーに急転回するのが、「ひぐらし」がヒットした最大の理由だった。しかし、豹変したキャラも、ひき裂かれた愛や、こわれた生命の別の形なのだ。怖いだけ、グロテスクなだけ、みにくいだけなんてことがあるだろうか? 最愛のお兄ちゃんとの思い出を馬鹿にされ、陰湿ないじめに立ち向かう縁寿の姿は、神々しい。孤独な少女の愛と存在をかけた、命がけの怒りだ。


 もちろん、こんな穏やかな微笑も魅力的だ。

 


 魔女の日記から召喚した真里亞、親友にして忠実な下僕のマモンとのコンビは見ていて楽しい。ベアトやさくたろ、天草や小此木、霞さんも全員いい。煉獄の七姉妹の登場シーンも必見。男も女も、ロリもショタも、老いも若きも、人も人外も、全員魅力的だ。

 縁寿が瞼を閉じた描写が多い。魅力的な瞳の表現を、あえて殺している。それが静から動、日常から非日常への場面転換の「タメ」になる。縁寿の深い悲しみを表現するのに、最愛の戦人にはもちろん、読者にも表情を見せない描写が、深く心に残る。

 カバーの表紙絵は損をしているかもしれない。1巻の縁寿は、ウェストのあたりが背景色と溶け込み、一瞬、おデブちゃんに見えてしまう。2巻のマモンとさくたろもかわいいのに、制服とマフラーも同系色の赤だから、瞳の色くらいは変えた方がよかったかな。

 絵を単体で見たら、また印象が違うのかも。バックの地紋と喧嘩しているんだろうな。配色のポイントを絞り込んで、キャラをもっと立たせてあげたほうがいいように思った。2巻の扉絵、縁寿のボディーガードの天草が、刷毛を握って緑のラインを描いている絵がすばらしいだけに。勢いがある。この扉絵をそのままカバーにしたいくらい。


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