

今週末は、摩耶に登り、丹波に泊りがけで農作業でした。
今回は、猟師さんに差し入れいただいた、鹿肉をごちそうになりました。
鹿肉を食べるのは初めてだったかもしれません(忘れているだけかも)。
あれは、もも肉だったのかなあ。野趣あふれる味でした。
正直な感想をいえば…
不味くはないけれど、筋張っていて、決して美味いものではありませんでした。味は羊に近いかな?(羊もジンギスカンを出すお店が閉店してしまい、ごぶさたですが) 筋張った食感はクジラに近いものがありました。牛や豚や鶏の肉は、長年の畜産の歴史があるだけあって、やっぱりうまいんだなあと思ったものです。
しかし前言を翻すようですが、そこが「よい」のですよ。
鹿肉がおいしくないとしたら、鹿肉そのものの問題ではなく、食肉処理のプロではない猟師さんの解体技術に問題があるとおっしゃる人もいます。
私が小さなころは、牛肉も豚肉も鶏肉も、いまより獣臭かったような覚えがあります。詳述は省きますが、解体処理技術の向上が大きく貢献しているようです。
「みんなの農園」の園長さんが、鹿肉を頬張りながら、こんなことをおっしゃいました。
「鹿肉は、干し肉にして、携行食にするには最高ですな。うまいとかまずいとかじゃない、生きるため、たたかうための食い物です。ジャーキーにしたら売れるんちゃうの?」
鹿肉の味は、生きるため、たたかうための味です。
うまいとか、まずいとかじゃない。
カロリーとタンパク質を補給するためだけのまさに「the行動食」です。
しかし、
「わかります。でも、商品化はむずかしいかもしれませんね」と私。
都道府県別のデータで、駆除された鹿肉の利用率は、鹿肉を最も食べる北海道でも16%にすぎません。兵庫県では3%。ジビエブームとはいえ、せめて北海道のレベルに至るまでが、まず課題でしょう。
鹿肉が大量廃棄される現状を憂え、「もったいない」と鹿肉をペット用のジャーキーにしたメーカーさんがあります。道の駅にもコーナーがありました。地域貢献、駆除された鹿の供養になるならと、購入して、猫を飼っている方々や地域猫の関係者にお配りしました。
しかし、小ロット生産のためか、人間用のビーフジャーキーの倍以上するんですよね。さらに、私のリサーチの範囲では、猫さんたちからは微妙な反応だったようです。そもそも全員食べなかったとか、食べてはくれたけれど、オス猫だけでメス猫は見向きもしなかったとか。
結局、道の駅でも売れなかったのでしょう。気づいたら、売らなくなっていました。
しかし、鹿肉が、生きるため、たたかうための食い物だという園長さんのことばには、大藪春彦ファンの私には、深く感じ入るものがありました(『黒豹の鎮魂歌』には、北海道の原生林を逃走中、敵のヘリが自動小銃を乱射し、鹿が大量に死んで、鹿肉の干し肉を大量に作ってサバイバルするエピソードがあります)。
ちなみにこれが鹿肉です。

さて、農作業を終え、コロナ禍前は丹波の帰りに良く立ち寄ったそばのチェーン店に寄り、ビールセットを頼みました。
締めにざるそばを頼み、食べようとしたのですが……。
テーブルに唐辛子がないのです。隣の席にも向かいの席にも。
ざるそばに唐辛子。私がこの食べ方を知ったのは、そばに直接、唐辛子をかける食べ方が好きだった池波正太郎のエッセイでした。
しかしこの食べ方は、『そばもん』によれば、唐辛子の粒がせいろの間に入り込み、洗うのが大変だそうで…。以後、私は薬味やアテの小皿に唐辛子を乗せ、そばにまぶしてから、つゆに浸して頂いてきました。
テーブルから唐辛子がなくなったのは、例のペロペロ動画の余波ですかね? 温かいそばを頼んだ人には、個別に七味入れを持ってきていました。いわゆるスシロー迷惑動画事件が1月29日。半年ほど足が遠のくうちに、世の中、面倒くさくなってしまったものです。
わが農園にとって、鹿くんは最大の天敵ですが(最小の敵はアブラムシ、いや細菌類かな?)、鹿くんは、唐辛子のにおいを嫌うのだそうです。去年も、今年も、お腹をすかせた鹿くんにより、わが農園の栗の苗木は、壊滅的な被害を受けました。
これからは、唐辛子スプレーで食害被害を防ごうかなと思っています。業務スーパーで買った、使いきれずにいた1キロの唐辛子が役立つ日が来ました。このほかにも、鹿の習性を調べて、いろいろ対策を考えていこうと思います。
私は大人になるまで獣肉の臭いが苦手で、獣肉の食べられない人でした。
それなのに数年前に行った奈良県の天川村でいただいた鹿肉は美味しくいただけましたから余程料理の腕がよかったのでしょうね。以来増えすぎる鹿の駆除のためにわれわれは鹿肉を食べるべしという考えになりました。
鹿肉は獲ったその場で解体するようですが、肉に雑菌が混じらないように、皮を剥ぐナイフと肉を解体するナイフは別々にしなければならないそうです。
水仙さんの能勢の農地も、栗の木やじゃがいも畑が鹿の食害を受けておられましたね。
五月山も鹿が花を食い荒らすと、地元のベテランハイカーさんが嘆いていました。