新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

船戸与一さん

2011年04月03日 | 読書
コメントをもらう。
AmazonのURLって長くなるんだよね。
URL短縮くんをどうぞ(いろいろある)

http://p.tl/
http://egachan.net/mini/

エンタメでは、最近、船戸与一作品を2冊読んだのだった。
船戸作品は『猛き箱舟』で終わっていて、それ以降の作品はほとんど読んでいなかった。

隠れキリシタンの五島列島の島が舞台の『龍神町龍神一三番地』(1999)、カンボジアが舞台の『夢は荒れ地を』(2003)。

どちらも「山猫の夏」のバリエーションだとはいえる。前者は二つの勢力の争いがあり、後者はある理想のための「義務としての暴力」である。衰えは感じない。あいかわらずおもしろい。

「おや?」と思ったのは、美少女趣味が出てきたところ。前者は中学生のような新人教師、後者は17歳のクメール人メイド。どちらもオヤジの理想のような可憐で純真、そして芯のある美少女。いい。とてもいい。灰色熊の元部下のブラック警備会社社長のように、「へへへ、ダンナもこれからはおれの仲間ですぜ」というべきところか。

冗談はさておき、どちらのヒロインも、主人公(オヤジ)とは恋愛やセックスには至らない。この傾向は、若い頃はなかった。

好きなのは『龍神町龍神一三番地』。全編にみなぎる長崎弁がいい。これは繰り返し読んだ。公共事業に依存しなければならない、過疎の地方の現実をえぐっている。島の駐在所の悪徳警官も、嫌われ者の一匹狼の警部補も、リアリティがある。初映像化作品だったそうだ。
http://www.tbs.co.jp/tbs-ch/lineup/d1441.html

本筋には関係ないけれど、町長の葬式の場面に違和感が残る。最近は地方の葬式も都会化しているという。地方でもしきたりは違う。過疎と高齢化の進み人手不足の地方のほうが、都会より合理的という可能性もないとはいえない。しかし理恵先生がまだ教師になって1年めだからといって、礼服を持っていないのはどうだろう。社会人になると同時に作るものでないのか。

町長クラスの葬式なら、国会議員、県会議員、知事などからも弔問がある(秘書クラスとしても)。やはり町長の後任も、町内部だけでは決まらないのではないか。

『夢は荒れ地を』では、クメール・ルージュに対する見方が修正される。カンボジアの複雑な権力構造、地雷利権や人身売買の現実まで。しかし本多勝一の本が参考文献になっていると、「週刊金曜日」クオリティだったら困るなあとも不安も残る。





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