四連休は雨続きだった。三日目の土曜の昼ごろ、雨がやんだ。例年なら天神祭だ。弊社のスタッフにも、毎年奉仕の動員がかかるのだが、今年はお休みである。
遅めの朝食を済ませ、家を出た。ちょっと買い物のつもりだったが、駅前に来て気が変わり、梅田まで飲みに行くことにした。
梅田には出たが、まだ日が高い。逸翁美術館をめざすことにした。現在は、「わびとサビとはどう違う?」というテーマ展をやっているようだ(2020年5月30日~9月6日)。
最近、たまたま、「わびさび」の話になり、「わび」と「さび」の違いって何だ?と思って調べたら、逸翁美術館のサイトに辿り着いたのだった。
それまで、「わび」は心理的なもの、「さび」は物理的なもの、という漠然とした理解をしていた。待ち人は待ちわびるが、来なくて寂しいのはその人がここにいないからだ。金属も腕もさびるが、それをわびるのは人の気持ちで、腕や金属はただ錆びついているだけで、如何ともしがたい。
「わび住まい」といっても、「さび住まい」とはいわない。いや、嵯峨に「寂庵」というのがあるね。「寂する」といえば「入寂する」という意味だから、寂聴さんは生きながらに死んでいるようなものか。
しかし逸翁美術館の解説によれば、それぞれ英訳するなら「わび」=Incomplete(不完全な)、「さび」=Impermanent(永久的でない)というニュアンスらしい。
同館の解説が大変わかりやすかったので引用しておきたい。
///引用///
しばしば「わびさび」という言葉を耳にしますが、実のところ「わび」と「さび」とは異なる美意識です。それでは「わび」と「さび」とはどう違うのでしょうか。多様な解釈があるとは思いますが、美術工芸品を例にとってこれを説明しますと…
余白の多い簡略な筆遣いの絵。割れてヒビが入った茶碗。不完全な物。Incomplete。
けれども他の物に無い固有の姿に、かえって面白さが感じられる。それが「わび」。
燻し銀。煤けた古竹。時を経て色味や肌合いが変質した素材。無常。Impermanent。
けれども新品ピカピカの物には無い、落ち着いた味わいが感じられる。それが「さび」。
いずれも本来ネガティヴな評価であったものに対し、ポジティヴに楽しむ心を働かせています。そんな逆転の発想が共通することから「わびさび」として一緒に使われることになったのでしょう。
本展では、上述の解釈にしたがって書画や工芸品を陳列し、「わび」「さび」をめぐる細やかな美意識の違いを示してみたいと思います。
http://www.hankyu-bunka.or.jp/itsuo-museum/exhibition/2402/
///引用おわり///
「わび」は「ポンコツ」の不完全さを、「さび」は「へたれ」の経年変化を愛でる美学ということか。そんなことを考えながら、阪急電車に揺れる。
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