糖尿病患者なので、半年に一回、眼科で定期検査があります。糖尿病網膜症のステージ1で、ただいま経過観察中です。
今のところ、網膜症の進行は食い止めています。
さらに、視力検査も、右1.5 左1.2と、若いころと変わりありません。
まあ、視力検査も、後半はほとんどぼやけてしか見えず、カンで答えているだけなんですけどね。
いまの私が校正を担当するお客さんの媒体は、本文は約10Q、キャプションは約7Qです(1Q=0.25mm)。ポイントでいうと本文約7ポイント、キャプション約5ポイントです。ワードの初期設定では、フォントサイズは10.5ポイントと決まっているので、いかに小さいかわかってもらえるでしょうか。メインユーザーはアラフォー、アラフィフ世代で、これが肉眼でみえる、ギリギリの文字の大きさかもしれません……。私もかろうじて読めます。しかし私のしごとは校正で、パッと見はよく似た漢字(戴と載とかね)、英語のスペルのチェックなどもあるので、老眼鏡は欠かせません。
気になるのは、私より年長の年金世代向けの媒体が、本文8Q、キャプション6Qなのです(本文約5.7ポイント、キャプション約4.3ポイント)。老眼鏡をかけた上に、虫眼鏡で見ながらチェックしています。これは、あまりにも、あまりにもかな?
若いころ、初めてのレギュラーのタブロイド紙の本文の写植の指定「HM16Q ↓16H ツメS」(本蘭明朝12Q 行送り16歯 詰め組み)はいまも諳んじています。比較的読者の年齢層は若かったですよ。あれから幾星霜。高齢化も進み、ユニバーサルデザインも奨励されたというのに、なんでこんなことになってしまったのか。
ユニバーサルデザインとは「文化・言語・国籍や年齢・性別・能力などの個人の違いにかかわらず、出来るだけ多くの人々が利用できることを目指した建築・製品・情報などの設計のこと」(神戸市HPより)です。自動ドア、センサーの反応で自動的に水が出る蛇口、大きな電気の点灯ボタン、段差のない歩道と横断歩道、文字以外に直感的に理解できるイラスト等で書かれた案内サインなどですね。
出版物・印刷物では、メディア・ユニバーサルデザインといって、健常者、障がい者(弱視・色覚障がい)や高齢者、小さな人や外国人など、全ての人たちに正しく情報を伝えるために、「読みやすい・見やすい・使いやすい」ことを目的としたデザインのことです。
近年は紙の価格も上昇し、ページ数を減らして少なくなった紙面に情報を詰め込もうとしたり、デザイナーがいわゆるデザイン性(装飾性というべきかな。デザインとはお化粧ではなく設計のことです)を重視したり、読みやすさが後回しにされる傾向が目立ってきました。弊社もMUDに熱心に取り組んだのは10年前で、当時のスタッフの多くが離職し世代交代しています。人間は忘れる生き物です。ユニバーサルデザインを一時の流行に終わらせないために、教育や啓発が必要ですね。老眼おじさんのぼやきでした。
