『路地恋花』2 麻生みこと (講談社)
ろぉじこいばな。京の路地に集う若き職人たちの恋物語。
カバー絵が美しい。和紙風合いのエンボス模様紙もいいね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/8b/bf0fee2289162d11e1b27cac0f5d2ae9.jpg)
第1巻では、何と言っても元作家の喫茶「夏菊」主人と、ゴスロリ少女ナオミの年齢差ラブストーリーだった。
本を読むナオミに声をかけている和装の女性が、「布小物屋佐倉家」のヒロイン・佐倉(気に入りました)。カバー見返しに描かれたトルソーの、意味ありげなドレスの作者でもある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/7d/abd129de46f73287684780937e002ffa.jpg)
クールビューティ。少しアンニュイな感じもいい。
このセリフは「えきすぱぁと」とひらがな表記してみたい。京女ぽくてグッとくる、
……が、実は生まれも育ちも、丹後の山奥(うまく化けたね)。
その実態は、友禅職人の師匠に、弟子入り志願のストーキング娘。
高校の体験学習で友禅に出会い、その美しさに取りつかれた佐倉。
卒業直前、美術系学校に進路変更。
師匠に弟子入りを断られ続けて、もう3年になるらしい。
一人で友禅染の練習するうちに、染めた布が山ほどたまり、
この路地で布小物屋を開業。
(ブ○イスやド○フィーのお洋服も置いています!)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/41/84374b1898617a8a001425ba96c5dceb.jpg)
えきすぱぁと目指して、新作を持っては、師匠の意見を求めて追い続ける。
「100年早い!」といわれても、佐倉はめげない。
師匠の娘さんを情報源に、行きつけの居酒屋、カラオケスナック、競馬場、あらゆる場所に出没する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/a6/c38d24c0cefb4659c81b853428508792.jpg)
しかしかたくなに「帰れ!」と追い払い続ける師匠。
「花札の会社」「体温計の会社」やらに入って、
給料をためて、ばんばん着物を買ってくれた方がいいのだ。
この師匠のせりふには、苦笑い。
(その他、陶器の会社。下着の会社。くちさがなきものは京の人なりけり、か)
あきらめの悪い佐倉に、師匠はあきれ顔でいう。
「あんさんもこんなやもめにストーカーするより
もっと他に見るモンあるやろ
そやな 海外行き 海外
視野を拡げといで」
すると、佐倉は……
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/b9/ae8fa8d8e883e088a4b4a330ce23a699.jpg)
この天真爛漫な佐倉に、笑ってしまった。
ほんまにこの娘は。
師匠も負けた。初めて工房に上げてもらえる。
なぜ、師匠はかたくなに弟子を取ろうとしないのか。
その理由は、少しせつない。
しかし佐倉も負けていない。
絶望するには、百年早い。
師匠をまっすぐに見つめ返す、佐倉の表情がいい。
この作者は、瞳を描かせると本当にうまい。
ストイックな趣のこの師弟物語が、全編中最も美しく、胸を締め付けられるラブロマンスに仕上がっている。目も腕も手も、すべて自分のものにしたいという佐倉の一途な願いを、「恋」と呼ばずに何というのだろうか。
『夏菊』が『痴人への愛』へのオマージュなら、この作品は川端康成『片腕』へのオマージュかもしれない。佐倉は文字通り、師匠の「片腕」になるのだから。百年の恋は、惜しみなく与える無償の愛に至る。
佐倉の親友、ヒキコ・ニート・キリンさんな万華鏡作家もいい感じだ。(路地の住人も、住んでいることを知らない)。おっとり育った京女と、なにわ男(ガラス職人)のデコボコぶりが楽しい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/82/30f67e5d8097b92e1531e97b9d619157.jpg)
大阪人にオチのない話は禁物?
考えたこともないし、いわれたこともないが、そんなところは事実ある。(東京の方は、オチはつけなくてもいいので、お話は簡潔にお願いします)
「金魚鉢の万華鏡」は、あったら欲しいね。最後になるが、全編を通じて、京ことばの美しさも特筆に値する。
ろぉじこいばな。京の路地に集う若き職人たちの恋物語。
カバー絵が美しい。和紙風合いのエンボス模様紙もいいね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/8b/bf0fee2289162d11e1b27cac0f5d2ae9.jpg)
第1巻では、何と言っても元作家の喫茶「夏菊」主人と、ゴスロリ少女ナオミの年齢差ラブストーリーだった。
本を読むナオミに声をかけている和装の女性が、「布小物屋佐倉家」のヒロイン・佐倉(気に入りました)。カバー見返しに描かれたトルソーの、意味ありげなドレスの作者でもある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/7d/abd129de46f73287684780937e002ffa.jpg)
クールビューティ。少しアンニュイな感じもいい。
このセリフは「えきすぱぁと」とひらがな表記してみたい。京女ぽくてグッとくる、
……が、実は生まれも育ちも、丹後の山奥(うまく化けたね)。
その実態は、友禅職人の師匠に、弟子入り志願のストーキング娘。
高校の体験学習で友禅に出会い、その美しさに取りつかれた佐倉。
卒業直前、美術系学校に進路変更。
師匠に弟子入りを断られ続けて、もう3年になるらしい。
一人で友禅染の練習するうちに、染めた布が山ほどたまり、
この路地で布小物屋を開業。
(ブ○イスやド○フィーのお洋服も置いています!)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/41/84374b1898617a8a001425ba96c5dceb.jpg)
えきすぱぁと目指して、新作を持っては、師匠の意見を求めて追い続ける。
「100年早い!」といわれても、佐倉はめげない。
師匠の娘さんを情報源に、行きつけの居酒屋、カラオケスナック、競馬場、あらゆる場所に出没する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/a6/c38d24c0cefb4659c81b853428508792.jpg)
しかしかたくなに「帰れ!」と追い払い続ける師匠。
「花札の会社」「体温計の会社」やらに入って、
給料をためて、ばんばん着物を買ってくれた方がいいのだ。
この師匠のせりふには、苦笑い。
(その他、陶器の会社。下着の会社。くちさがなきものは京の人なりけり、か)
あきらめの悪い佐倉に、師匠はあきれ顔でいう。
「あんさんもこんなやもめにストーカーするより
もっと他に見るモンあるやろ
そやな 海外行き 海外
視野を拡げといで」
すると、佐倉は……
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/b9/ae8fa8d8e883e088a4b4a330ce23a699.jpg)
この天真爛漫な佐倉に、笑ってしまった。
ほんまにこの娘は。
師匠も負けた。初めて工房に上げてもらえる。
なぜ、師匠はかたくなに弟子を取ろうとしないのか。
その理由は、少しせつない。
しかし佐倉も負けていない。
絶望するには、百年早い。
師匠をまっすぐに見つめ返す、佐倉の表情がいい。
この作者は、瞳を描かせると本当にうまい。
ストイックな趣のこの師弟物語が、全編中最も美しく、胸を締め付けられるラブロマンスに仕上がっている。目も腕も手も、すべて自分のものにしたいという佐倉の一途な願いを、「恋」と呼ばずに何というのだろうか。
『夏菊』が『痴人への愛』へのオマージュなら、この作品は川端康成『片腕』へのオマージュかもしれない。佐倉は文字通り、師匠の「片腕」になるのだから。百年の恋は、惜しみなく与える無償の愛に至る。
佐倉の親友、ヒキコ・ニート・キリンさんな万華鏡作家もいい感じだ。(路地の住人も、住んでいることを知らない)。おっとり育った京女と、なにわ男(ガラス職人)のデコボコぶりが楽しい。
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大阪人にオチのない話は禁物?
考えたこともないし、いわれたこともないが、そんなところは事実ある。(東京の方は、オチはつけなくてもいいので、お話は簡潔にお願いします)
「金魚鉢の万華鏡」は、あったら欲しいね。最後になるが、全編を通じて、京ことばの美しさも特筆に値する。