疲れていたのか、わたしは深い眠りに落ちた。
車両の揺れですぐに覚醒したが、意識の薄い状態でまどろんでいた。
無重力の体液の中で、脳細胞のひとつひとつが剥がれて浮遊するのを自覚しながら、わたしは刹那的な幸せをむさぼっていた。
夢を見た。
小学生の頃、草津の叔母の家で釘を踏みつけて、残りの夏休みを棒に振ったこと。
幼稚園でお漏らしをして、女児のパンツしかなくて、屈辱感な思いに打ちのめされたこと。
笑いが止まらないのだけど、それが何故だか分からないことなど…
車体の揺れで夢が途切れた。
ひたひたと迫る視線を感じた。
彼だ!
だが手前の女性の髪に隠れて、顔の大半が見えない。
わたしはことのほか焦っていた。
女性がドアにむかって移動した。
その瞬間、隣の男性が吊革に手をかけ、またもやわたしの視界を遮った。
一瞬見えた彼の目が、無表情にこちらを凝視しているのが分かった。
どこか見覚えがある…
わたしは我慢できずに立ち上がると、彼は背を向けて顔を隠してしまった。
わたしは我を失い、彼に歩み寄りながら、視界を遮っていた男性の腕を払っていた。
振り向いた彼の眼差しは、この世のものとは思えないほど慈悲深いものだった。
彼は、何と青年時代のわたしだったのだ。
…………………
今日は蓄音機隊の出動でした!
車両の揺れですぐに覚醒したが、意識の薄い状態でまどろんでいた。
無重力の体液の中で、脳細胞のひとつひとつが剥がれて浮遊するのを自覚しながら、わたしは刹那的な幸せをむさぼっていた。
夢を見た。
小学生の頃、草津の叔母の家で釘を踏みつけて、残りの夏休みを棒に振ったこと。
幼稚園でお漏らしをして、女児のパンツしかなくて、屈辱感な思いに打ちのめされたこと。
笑いが止まらないのだけど、それが何故だか分からないことなど…
車体の揺れで夢が途切れた。
ひたひたと迫る視線を感じた。
彼だ!
だが手前の女性の髪に隠れて、顔の大半が見えない。
わたしはことのほか焦っていた。
女性がドアにむかって移動した。
その瞬間、隣の男性が吊革に手をかけ、またもやわたしの視界を遮った。
一瞬見えた彼の目が、無表情にこちらを凝視しているのが分かった。
どこか見覚えがある…
わたしは我慢できずに立ち上がると、彼は背を向けて顔を隠してしまった。
わたしは我を失い、彼に歩み寄りながら、視界を遮っていた男性の腕を払っていた。
振り向いた彼の眼差しは、この世のものとは思えないほど慈悲深いものだった。
彼は、何と青年時代のわたしだったのだ。
…………………
今日は蓄音機隊の出動でした!