2012 年6 月27 日(水)、変動地形学専門の渡辺満久氏が超党派議員5 名とともに大飯原発敷地内に入り、実地に断層の状況を確認した結果が報告されています。
「S クラスの重要構造物である非常用取水路はF-6 を横切って設置されている。このため、F-6 破砕帯(断層)が活断層と認定された場合は、3・4 号炉の使用は不可能となる。」と結論づけられています。
早急の調査が必要です。この調査抜きに大飯原発3、4号機を再稼働させることは許されません。
※大飯原子力発電所敷地内観察結果(PDF 美浜の会)http://www.jca.apc.org/mihama/ooi/watanabe_doc20120628.pdf
以下テキストです。
2012.06.28
大飯原子力発電所敷地内観察結果
東洋大学教授・渡辺満久(変動地形学)
2012 年6 月27 日(水)、超党派議員5 名とともに大飯原子力発電所敷地内に入り、敷地の現状を確認してきた。目的と結果は、以下の通りである。
1.目的
F-6 破砕帯(断層)が活断層であるか否かを確認するためには、掘削調査を実施して、断層面の状況を直接確認する必要がある。このため、F-6 破砕帯(断層)が敷地内を通過する複数の地点において現況を確認し、掘削可能であるかどうかを判断してきた。
2.観察所見
建屋がある場所における掘削調査は不可能であるので、F-6 破砕帯(断層)が道路などを横切るA~Eの5 地点(図1)を中心に観察し、関電職員から現況に関する聞き取りを行った。
(1) A 地点(図1・道路)
厚さ数m 程度の盛土があると思われものの、埋設物はない。このため、アスファルトを剥がして掘削することは可能である。ただ、F-6 の延長部が南西方向にずれる可能性があるので、掘削範囲は長く取る必要がある。物資の搬出入のための車輛が頻繁に通行しているため、実質的に道路を掘削することは難しいということであったが、搬出入の制限を設ければ、掘削は可能ではないか。また、A’地点(入り口周辺)でも、掘削が可能であると思われる。
(2) B 地点(図1・道路)
1980 年代トレンチ調査地点である。掘削は可能かもしれないが、沖積層が厚い可能性が高く、岩盤にたどり着けるかどうか不明である。掘削場所としては不適切であろう。
(3) C 地点(図1・道路)
地下の埋設物が多く、掘削は困難である。
(4) D 地点(図1・道路)
厚さ数m 程度の盛土があると思われものの、埋設物はない。このため、アスファルトを剥がして掘削することは可能である。海水をくみ上げるポンプ車の移動ルートにあたり、安全確保のためには道路を掘削することはできないということであったが、別ルートを選定すれば掘削は可能ではないか。
(5) E 地点(図1・林)
敷地北部の林の中であり、山地斜面基部に断層が想定される。この部分を掘削することに関しては、ほとんど支障はないであろう。
(6) S クラス施設(図1・水色線)
現地において、関電担当者から確認したところ、3・4 号炉用の非常用の取水路(S クラス)が、F-6破砕帯(断層)を横断するように設置されていることが明らかになった。その取水路の位置も図示する(図1)。
3.結論
大飯原子力発電所内を横断するF-6 破砕帯(断層)の掘削調査は、不可能ではない。掘削したのち、断層が確認できれば、その観察は1 日で終了すると思われる。アスファルトやコンクリートを剥ぎ取る工事を行ったことはないが、1 週間程度で掘削・観察・現状復帰は完了すると考えられる。掘削は複数の地点で行うことが望まれるが、掘削地点が増えても、同時進行で進めればよいので、工期はそれほど延長する必要はないであろう。
F-6 破砕帯(断層)は、原子炉の直下にはない。しかしながら、S クラスの重要構造物である非常用取水路はF-6 を横切って設置されている。このため、F-6 破砕帯(断層)が活断層と認定された場合は、3・4 号炉の使用は不可能となる。
図1
赤線は破砕帯(断層)であり、最も長く図示されているものがF-6 である。S クラスの重要施設(非常用取水路)は、F-6 を横切って通っている。青色多角形は1980 年代のトレンチ調査位置を、A~E は観察地点を示す。
以上
(ハンマー)