昨年2月に英科学雑誌ランセットに書簡を送って「陰謀説」を批判し、中国の研究者・医師・医療関係者との連帯を表明した科学者達が、再びランセットに書簡を送りました。書簡は彼らが昨年表明した考えを変えておらず、いまでも中国と世界中の新型コロナと実を減らして闘っている医療関係者に連帯を表明しています。同時に、早い時期からの遺伝子配列の解析と、これまでの新興感染症の経験から、新型コロナウイルスの起源は自然由来の可能性が高いと改めて表明しています。そして「研究所漏洩説」が査読を経た科学雑誌の論文としては何一つなく、科学的証拠に裏付けられていないと指摘しています。彼らは、科学的に厳密な調査を求める声を歓迎しています。そのためには、世界保健機関WHOと世界中の科学的パートナーが、中国の専門家や中国政府との最初の調査を継続し、さらに拡大するために迅速に動くことが必要だと言います。そして、次のパンデミックがいつどこで発生しても、それを食い止めるための準備を整えるには、今こそレトリックの熱を下げ、科学的な調査の光を強めるべきだと述べています。
以下に書簡の要約を紹介します . . . 本文を読む
新型コロナウイルスの起源を巡っては米政府と欧米メディアが次々と「研究所漏洩説」がさも正しいかのような顔をしながら、しかし何の根拠もないプロパガンダをばらまいています。さらに、その背後では科学的立場から「研究所漏洩説」はあり得ないと考える科学者達への嫌がらせが知られていました。その典型はアンソニュー・ファウチ氏に対する共和党からの嫌がらせでした。共和党支持者、トランプ主義者、さらには極右の過激派からの攻撃は、嫌がらせに止まらず命を脅かす脅迫にまで至っています。7月7日のグローバル・タイムズ氏は国際的に知られた科学者達に対する嫌がらせ・脅迫の有様を伝えます。 . . . 本文を読む
トランプ政権とメディアによる反中国プロパガンダの最大のものは、新型コロナウィルスが中国の「生物兵器」である、あるいは武官のウィルス研究所から漏洩したものだというものだ。もちろん、だから中国の責任だとあげつらうことになる。情報の隠蔽・対応の遅れ(本論の(1)参照)と並んで、この主張が前面に出ている。しかし、ここでもプロパガンダに真実は一片も含まれていない。証拠が全く示せないために、トランプでさえ「生物兵器」説は主張できず、「ウィルス研究所」起源説も「可能性がある」「調べている」と言質を与えずに疑惑を煽るだけである。
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