今回は今年の夏にマッキントッシュのMC275Rのオーバーホールを行った福島のM氏からの依頼でフィリップスのLHH1000のオーバーホールです。
1988年発売のフィリップスのフラグシップでトランスポートとDACとリモコンを合わせて60万円と当時としては非常に高額です。
しかし使用している部品や構成を見れば納得の金額かと思える内容です。
トランスポートはトレイの動作を手で補助しないと駄目な状態で、DACはランプ切れが発生しているとの事です。
上の写真は修理後なのでブルーの表示が点灯しています。
最近の携帯ゲーム機等と同じ位の大きさのリモコンです。
内部にはワンチップマイコンが使用されており30年位前のプログラム電卓と同じ様な外観ですね。
早速トレイベルトを確認するとベルトが滑る状態になっていましたので汎用ベルトと交換です。
この頃のフィリップス系のドライブユニット機構はプーリーでの減速ワイヤーでの駆動といかにも機械屋さんが作ったと思われる構造をしていますね。
基板の半田は年数相応にはっきりとわかる半田クラックが発生していました。
電解コンデンサの交換と半田増しを実施してほぼオーバーホールは完了です。
ピックアップもレーザー電流の状態を見ながらアイパターンを測定し波形の電圧幅を標準値辺りに調整です。
25年近く使用している事を考えるとこのピックアップは非常に良い状態を保っています。
次はDACのオーバーホールです。
天板を取るとDACだけなのに3個のトロイダルトランスが目に入ります。
デジタル部・D/A部・アナログ部とそれぞれ別々のトランスを設けているそうです。
右側には同メッキされたカバーが付きそれぞれの基板を遮蔽する様になっています。
D/A変換のICにはダブルクラウンのTDA1541Aが搭載されており使用している回りのコンデンサも質の良さそうな物を使用しています。
電解コンデンサはELNA製でこの頃のフィリップス系の日本向けオーディオ製品の定番と言った所でしょうか。
電解コンデンサを外すと電解液が漏れた跡がみえます。
年数的には仕方がないのでしょうかね。
切れていたランプはムギ球が使用されていたので、今後玉ギレの心配をしなくていいLEDに変更です。
バランス出力を使用との事なのでバランス回路の電源補強とオペアンプ交換等を行いこちらもほぼオーバーホール完了です。
元々は繊細で柔らかい音でしたが音質改善により音域が広がり繊細さの中にも輪郭のある余韻の気持ち良い音が出る様になりました。
これで当分はCDを聴くのが楽しくなると思われます。
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この当時の音質改善より、数段レベルアップしたのが2018年度のLHH500です。
代理、もともと、LHH 500 の以前の音質改善でも、
素のLHH1000より、数段・・もっと、良いと思っていましたが、
(OHなし・音質改善なしで比べるのも、無理がありますが・・)
そのLHH500の音質改善がさらに進化。
LHH1000他にも、お勧めの改善ですが・・・
CDM-1 がね・・・・
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今回は大阪のT氏からの依頼でLHH500の修理・オーバーホール・音質改善です。
現状はトレイの開閉が悪いとの事です。
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肝心なピックアップの状態確認から実施です。
電圧幅は有りますがレーザー電流は寿命判断値を超えている状態でした。ただCDRの再生も難なくこなしていたのでこの時点ではまだ使用できると判断していました。
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いつもの如く電解コンデンサ交換や半田増しを行うと共に、今回はピックアップが使えそうなので予算的に余裕が有ると判断し、音質改善はWADIAのBlue化に準じる手法を用いました。
上の写真は音質改善後のD/Aコンバーターの回路基板です。
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オーバーホール・音質改善と予定の作業も完了し音出し開始1日後にCDの認識・再生が出来なくなりました。
半田増しの実施は劣化しているパーツにとどめを刺す場合があるのでサーボ回路・RF信号回路に関係するICの交換を行いましたが、そうではなくピックアップの寿命での不具合だったので最初の判断が甘かった様です。
ピックアップは過去に購入していた新品のCDM-4(フィリプス製)が有ったので交換する事で対処できました。
手持ちのピックアップがなくなったので販売を確認すると新品のCDM-4はまだ入手は出来るようなので暫くは安心です。
ただSONYのピックアップと同様でフィリプス製では無くアフターマーケット品の様です。それでも販売がないよりは良いですね。
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今回は新しい音質改善を行いましたので音の表現力がアップしなかなかの音に成ったと思います。
これで完了のと成るはずでしたが返却後にRCA出力に不具合が出てT氏には御迷惑をおかけてしまいました。交換したパーツの初期不良だったので不具合部品を交換して対応完了です。
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珍しく元箱だったので写真に撮っておきました。
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